なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

IRON MAIDEN『The Final Frontier』

IRON MAIDEN_THE FINAL FRONTIER_JK(重)


8月にリリースされたブリティッシュ・ヘヴィ・メタル・バンドの大御所の新作。


ぼくがIRON MAIDENを熱心に聴いていたのは『Killers』(81年)までで、
ファーストは『Iron Maiden』(80年) は今聴いても燃えるし、
『Killers』直後の初来日公演も燃えた。
いわばIRON MAIDENに対する当時のパンク・ファンの典型だったから、
現ヴォーカルのブルース・ディッキンソンが加入した『The Number Of The Beast』(82年)以降は、
ハードコア・パンクに殺られた耳には物足りなくなってしまった。

そんなぼくが久々にIRON MAIDENをオッ!と思ったのが、
昨年の『Iron Maiden: Flight 666』のDVDとサントラのCDだった。
客観的に見てクオリティが高く、
ヘヴィ・メタル・ファン以外にもアピールしているのもうなずける。
グレイトな表現はそのジャンルのマニア以外も震わせると再認識したが、
昔の大ファンとしては素朴に“がんばってるなー”という感情に包まれたしだい。
そういう流れで15作目にあたるニュー・アルバム『The Final Frontier』が届いた。


影響を受けたMOTORHEADほどのペースじゃないが、
デビュー以来コンスタントなリリースをキープしていてたのもしい。
それはともかくチャート・アクションも絶好調で、
初登場1位の英国をはじめとして累計24ヵ国で1位。
全米チャートもIRON MAIDE史上最高の初登場4位でランク・インし、
日本でも洋楽チャート1位、総合チャートでも過去最高の5位に輝いた。
売れれば偉いわけじゃないが、
このアルバムみたいに売れてしかるべき作品が売れているのは勇気づけられる。

いくら奇抜な格好でステージに上がっても本物か否かは音に表われる。
音楽はウソつかない。
たとえばパンク・ロック/ハードコアでもしっかり音楽に取り組んでいる作品は、
30年後でも新しい。
本物だから。
当たり前のことだが、
『The Final Frontier』も表現に精魂を傾けていることが伝わってくるアルバムだ。
当然のことだがギミックはない。
自信があるから。
たゆまぬ向上心を胸に秘め、
まごころを込めてひとつのアルバムを作っていった様子が見えてくる。
そんな言葉が聴いているうちに湧き出てくる地に足の着いた作品である。


何しろ音そのものが生き生きしているのだ。
プロトゥールスも使ったとはいえ可能な限りライヴ録音でレコーディングが行なわれたためか、
メンバー6人の息遣いも聞こえてきそうなほど、
メジャー・フィールドのバンドにしてはかなりナマの作りだ。
バンド内の状態もいいのだろう、
ギター3本とドラムとベースとヴォーカルがよく馴染んでいる。

もちろんヘヴィ・メタルの音だが、
節度ある音作りとアレンジがとても印象的だ。
いい意味で紳士的と言ってもいい。
トリプル・ギターはギター・ソロを派手に弾きまくるわけではなく、
リフの強化やデリケイトなアルペジオの挿入で曲のドラマ性を高めている。
抜けのいいドラムで風通しも良く、
曲の舵を取るベースのみならずリーダーのスティーヴ・ハリスが適宜弾くキーボードも効果的だ。

楽曲クオリティも高い。
いわゆるロック・オペラみたいな作品ではなく複雑な構成をしているわけでもないが、
“ヘヴィ・メタル・プログレッシヴ・ロック”とでも呼びたくなるほどだ。
それこそファーストの時点から70年代のGENESISみたいな要素を楽曲に忍ばせていたが、
物語性たっぷりながらも、
だれずに凝縮しているところも見事である。

ちまちまと小ぢんまりとまとまらず、
堂々と展開して雄大。
ところによっては勇壮だが、
“オレ様”なトーンじゃないのがIRON MAIDEN。
パワフルでありながら民謡調のメロディやリズムのブレンドも、
おくゆかしさに一役買っている。

ファンタジックかつリアリスティックな批評性に富む詞を歌うヴォーカルも力強く、
ヘヴィ・メタルのロマンにあふれた約77分10曲入りである。


★アイアン・メイデン『ファイナル・フロンティア』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-66967)CD
初回のみジャケット・デザインのステッカーを封入し、
日本のファンへのメッセージ映像リンク情報付き。
伊藤政則執筆のライナーも毎度ポイントを押さえており、
言葉数が多いから歌詞の和訳もありがたい。


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コメント

行川さんは2ちゃんねるは見ていますか?
行川さんスレッドがありますね(^^)

agehaさん、コメントありがとうございます。
リリースやライヴなどの欲しい情報が得られるスレッドは見ることがありますが、ぼくのスレッドは見てないです。
ここのところずっと余裕がない状態なので。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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