なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SPIRITUAL BEGGARS『Return To Zero』

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ARCH ENEMYの前からマイケル・アモット(g他~元CARCASS)がやっている、
スウェーデン拠点のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンド、
SPIRITUAL BEGGARSの5年ぶり7枚目のオリジナル・アルバム。


マイケル以外の現メンバーは、
●ラドウィグ・ウィット(ds、per~FIREBIRD
●ペル・ヴィバリ(kbd~OPETH)
●シャーリー・ダンジェロ(b~ARCH ENEMY、WITCHERY
●アポロ・パパサナシオ(vo~FIREWIND)
である。

前シンガーのJBが自分のリーダー・バンドであるGRAND MAGUSの活動に専念するために脱退。
両者は友好的な関係をキープしているそうだが、
今春JBにインタヴューした際にもその件について一切口にしてなかったから、
何らかの理由でメンバー・チェンジは内密に進められていたようだ。
SPIRITUAL BEGGARSの方は今年の頭に、
オジー・オズボーンの今のバンドでギターを弾くガス・Gが率いるFIREWINDの現シンガーの、
アポロと一緒にレコーディングを始めたていたという。


IRON MAIDEN以前とも言うべきブリティッシュ・ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンドの曲を、
エクストリーム・メタル以降のヘヴィネスと90年代以降のフットワークの軽さで展開するような、
フック十分のヘヴィ・ロック路線に変わりはない。
多少まったりしているが熱湯ばかりに浸かっていられないというわけで、
いいあんばいの湯加減。
と同時にやはりメンバー個々が他のバンドで鍛え上げて活かされている音の骨格により、
懐古趣味にならずにサウンドの強度も格別だし、
一方では無意識のうちにストーナー・ロック・テイストも滲み出ている。

奥野高久執筆のライナーではDEEP PURPLEに加えて、
オジーがいなくなった80年代のBLACK SABBATH、
特に『Born Again』と『Heaven And Hell』の曲を引き合いに出しても語られている。
ぼくは70年代のBLACK SABBATHのやや渋い曲、
たとえば「Spirit Of The Wind」は「Hole In The Sky」、
マイケルがマンドリンを弾く静かな「The Road Less Travelled」は「Change」を想起したりもする。
ペレはオルガンやメロトロンも駆使しつつホンキートンク・タイプもピアノも披露し、
アルバム全体としても実はロックンロールの血に貫かれている。
曲によっては民謡を思わせるメロディも魅力的だ。


三代目シンガーのアポロのヴォーカルは、
男臭さはストロングな前任JBに譲るが、
まろやかでレンジが広い。
デリケイトで艶っぽいハード・ロック歌唱は確実にSPIRITUAL BEGGARSの音楽的な間口を広げている。

アポロはまだソングライティングに参加してなくて、
ほとんどの歌詞と曲をマイケルが書いている。
マイケルの奥さんでARCH ENEMYのシンガーのアンジェラ・ゴソウが、
故ロニー・ジェィムス・ディオに捧げる歌詞を作り、
キーボードのペルも一曲で作詞。
マイケルが書いた「We Are Free」も興味深い。
歌詞カードに老子の言葉も添えつつ音楽とロックンロールへの愛をシンプルに綴っている。
アルバム全体もロック賛歌と言えるのだ。

思い出しては何度も聴きそうな佳作である。


★スピリチュアル・ベガーズ『リターン・トゥ・ゼロ』(トゥルーパー・エンタテインメント XNTE-00021)CD
初回盤のみ、
箱状のスリップケースに、
大型ポスター(表裏ジャケットのデザインで表と裏に印刷)とジャケット・ステッカー封入で、
ピクチャー・ディスク。
歌詞の和訳付に加えて日本盤には、
URIA HEEPの「Time To Live(邦題:生きる)」という美味しいカヴァーも追加!


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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