なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GRINDERMAN『Grinderman 2』

JP_GRINDERMAN2_PackShot.jpg


BIRTHDAY PARTY解散後の83年からBAD SEEDSと一緒に活動している、
ニック・ケイヴ(vo他)が2004年に始めたバンドの3年ぶりのセカンド・アルバム。


今のNick Cave & the BAD SEEDSはSAINTSのエド・ケッパー(g)も含む7人編成のようだが、
ニックはGRINDERMANをBAD SEEDSの現メンバーの3人とやっている。
とはいえ両バンドの間で取り組み方に違いがあるようだ。

Nick Cave & the BAD SEEDSは基本的に曲のほとんどをニックが書いてきており
“ニック+バック・バンド”とまでは言わないが、
他のメンバーとの関係は“& the BAD SEEDSという名義に表われている。
ちなみに個性派揃いだったBIRTHDAY PARTY時代もメンバー個々が曲を書いていた。
だがGRINDERMANは作曲者として4人の名がクレジットされているように、
メンバー全員で一緒に曲を作る。
まさにバンドなのだ。
ニックとしては自分中心の場をNick Cave & the BAD SEEDSでキープしつつ、
BOYS NEXT DOOR時代などのバンドを始めた十代の頃の興奮をまた体験したくなったのかもしれない。

歌だけでなくギターやオルガン、ピアノを弾いてもいるニック以外のGRINDERMANのメンバーを、
簡単に紹介しておく。
●ウォーレン・エリス(g他)
別にやっているDIRTY THREEでは基本的にギターは弾かず、
ときたまGRINDERMANでも披露するヴァイオリンやブズーキなどを演奏している。
ニックと同じくオーストラリアのヴィクトリア出身のようだ。
●マーティン・ケイシー(b)
オーストラリア拠点のTRIFFIDSで活動したあと、
90年にNick Cave & the BAD SEEDSに加入したベーシスト。
●ジム・スクラヴノス(ds他)
リディア・ランチの8 EYED SPYやSONIC YOUTH、
さらにCRAMPSでもアルバムをレコーディングするなど様々なバンドを渡り歩いている音楽家。


DVD『All Tomorrow's Parties』でチラリと見せた雄姿と風格とちょっぴりのユーモアそのままのアルバムだ。
4人が発した音がそうであるように
Nick Cave & the BAD SEEDSの何倍もメンバー全員の心が煮込まれている。
ニックが演奏していることも大きいだろう。
一シンガーに留まらず、より一層音への関与が試されるからだ。
スタジオで演奏しながら曲を作っていき、
レコーディングは基本的に一発録りという制作体制。
しかも鮮度重視で極力最初に録音したテイクを採用するらしいから、
地に足の着いたパフォーマンスの中から緊張感が静かに波打つ。

といっても息詰まるようなものではなく、
“大人の不良ども”が楽しそうにやっている様子が伝わってくる。
“役者揃い”のミュージシャンとしてたちがワイワイ言いながら音を出して作ったと思われるし、
同時に妥協無き真剣勝負で向き合って紡ぎ出したサウンドなのだ。
むろん人生を焼きつけたブルースはアツアツだしサイケな隠し味もたんまりで、
ロックンロールのグルーヴ感も聞こえてくる。
そう、このアルバムはヘヴィにロックしているのだ。
綱渡りのプレイに80年代のNick Cave & the BAD SEEDSをイメージしたのはぼくだけではないだろう。

歌詞はすべてニックのペンによるものだが、
BIRTHDAY PARTY時代を思わせるブッ飛びようがたまらない。
固有名詞も頻発で危険な部分も多く、
「Evil」という曲もあるように、
デス・メタルなどのエクストリーム・メタル勢に対して“邪悪”な挑戦状を叩きつけたようにも聞こえる。
“サイケデリックな祈祷”などなど面白いフレーズ満載なのだ。


日本盤には、
ロバート・フリップ(KING CRIMSON)が延々ギター・ソロを弾く本編の曲の“リメイク”と、
メロウな曲の2曲が追加されている。
どちらもアルバム全体の流れからは外れそうな曲だが
(だからボーナス・トラックが始まる前に数分間インターヴァルを空けた気遣い十分の作りもうれしい)、
ユニークな仕上がりである。


★グラインダーマン『グラインダーマン2』(ビートインク BRC-274)CD
ストレンジな画に彩られた28ページのブックレットと、
脚注もありがたい坂本麻里子による歌詞の和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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