なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CEPHALIC CARNAGE『Misled By Certainly』

misled_1400_convert_20100922115722.jpg


92年に米国コロラド州で結成された5人組の“デスグラインド・メタル/ヘヴィ・ロック・バンド”、
CEPHALIC CARNAGEの6作目。

昨年オリジナル・メンバーのギタリストの一人が去ったが、
新ギタリスト加入直後だったにもかかわらずグレイトだった昨年5月の来日公演が蘇る出来だ。
以前変態に思えたほどの曲の展開がいい意味でスムーズに感じられ、
ドラマ性も強まった素晴らしいアルバムなのである。


粘着質でありながら弾力性に富むサウンドが鋼鉄のコンニャクとゴムみたいで、
くねりうねる様はユーモラスにも聞こえるが、
どう聴いても真剣勝負だ。
コシが強い音をひねり出し叩き出す演奏の馬力と胆力に圧倒される。

ドゥーミーなスロー・パートも多いから“ストーナー・デスグラインド”とも呼びたくなるほど、
グツグツ煮立てたクサの匂いがムンムン。
むろん“そっちの方”だけじゃなく種々雑多な音楽を膨大に吸っている。

グラインド・コアとデス・メタルの肉弾戦に、
ジャズを応用したようなリズムや、
KING CRIMSONも多用したいわゆる“3連”のリズムを随所に仕込んでいる。
ブルータルなプログレッシヴ・ロックとして楽しむことも可能だろう。
変拍子ビシバシだけでなく、
BARONESSのようなゆったりしたメランコリックな曲も含み、
終盤の12分を越える曲は白眉である。
なにしろトータルでスリリングなヘヴィ・ロックとして楽しめるのだ。

高低の音域のスクリームと濁声に加えて心のこもったメロディアスな歌も聴かせ、
トラヴィス・ライアン(CATTLE DECAPITATION)をはじめとして、
多数のゲストも適度にヴォーカルで参加。
曲によって挿入されるサックスも効果的だ。


ガンジャでイカレたのか物事を突き詰めすぎてイカレたのか定かじゃないが、
歌詞は世界中の絶望を魚眼レンズでくまなく見渡してコラージュした如き壮絶な内容。
反権力とかナイーヴなことを言っているうちは余裕があると思ってしまうほどである。
音楽も世の中もビッグな視野で捉えたからこそ生まれたダイナミズムに打ちのめされる。

猛烈に濃密だが疲れない。
音にも表われている深刻な状況認識をどこかで笑い飛ばしている。
来日公演でもそんなことを思った。
痛快なタイトルの日本盤のボーナス・トラック「Grindcore Blastbeat Blues」は、
どブルースである。
CEPHALIC CARNAGEのデス・ヴォイスがブルースに根ざしているとわかったしだいである


感動的なほどグレイト!なアルバムだ。


★セファリック・カーネイジ『ミスレッド・バイ・サーテインティー』(リラプス・ジャパン YSCY-1187)CD
ボーナス・トラック以外の歌詞の和訳付。
言葉数が多いバンドだからありがたい。
歌詞の世界観も伝わってくる画にも彩られた16ページのブックレット付。


スポンサーサイト

コメント

凄いですね。

素晴らしいアルバムですね。これだけ様々な音楽を扱いながらも、曲がバラバラにならないのも凄いです。バンドの懐の深さと柔軟さという物を作品を出す度にいつも感じています。
あらためて過去のアルバムを聴き直したのですが、今作が私的には最高傑作です。猛烈にヘヴィーですが、より一層ドラマ性が強まり、60分弱の時間もあっという間に過ぎますね。
「どこか笑い飛ばしている」というのも、物凄く感じられますし、歌詞やブックレット、全てにおいて本当に素晴らしいです。
どんなジャンルでもそうですが、限界を超えようと常にチャレンジしている姿勢には、私自身、本当に勇気付けられます。

遅ればせながら、MASSHYSTERIのFERAL WARD盤、聞きました。こちらもヘヴィロテです。

YUJIさん、コメントありがとうございます。
CEPHALIC CARNAGEは変態!変態!と昔ぼくは言ってしまっていたのですが、
いわゆるミクスチャー・ロックはもとよりジョン・ゾーンやマイク・パットンがやっていることも、
元ネタ・ジャンルのパーツみたいなものが見えることが多いですが(それはそれでダメなわけでもないです)、
彼らの場合は煮込んで種々雑多なジャンルを溶かし込んでいる感じがします。
自分たちの血や肉や骨になってその音楽が息を吹き返して熱を発しているみたいな妄想すらふくらみます。
アメリカのヘヴィ系はお国柄かゴリ押しパターンも多いのですが、
抜きん出ているバンドは曲の大切さもよくわかっていますね。
ミュージシャンシップの高さや世界観も含めて、
これだけのことをやっているのにここらへんのバンドが一般メディアから黙殺されているのがもどかしいです。
MASSHYSTERIはその筋の人の情報によると、
スウェーデン国内でも場所によってはローカル・バンド扱いみたいですが、
他の国の一部のシーンではMASSHYSTERI のTシャツを着た人がいっぱいとのこと。
メンバー増えたからこそさらに贅を削ぎ落としたようなセカンドも大好きです。
CEPHALIC CARNAGEとMASSHYSTERIを同次元で楽しむアティテュードもうれしいですね。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/279-5734a86b

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (123)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん