なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OBITUARY『Darkest Day』

Obituary_-_Darkest_Day.jpg



米国フロリダのOBITUARYがリリースしたばかりの8作目の『Darkest Day』、
こちらもヘヴィ・ローテーションである。
音そのものの邪悪な重圧感に耐えられないのか、
インテリ~サブカル~オルタナはもとよりパンクにも差別されるデス・メタル界の重鎮というのは事実。
けどデス・メタル云々以前にロックとして問答無用のブツ。
しち面倒くさい理屈なんかねじふせる。

昨秋の“ラウド・パーク”に出演して新しいファンをゲットしたことだろう。
ドラマーのドナルド・ターディはアンドリューWKのバンドでも叩いていて、
数年前の“サマーソニック”では千葉マリン・スタジアムの開放的なビッグ・ステージでも演奏していた。
そういう突き抜けた感覚が気持ちいい。

そのドナルドは弟のヴォーカリストのジョン・ターディーと、
TARDY BROTHERS名義で『Bloodline』を数ヶ月前にリリースした。
珍しくジョンが歌詞を公表しつつ音楽的にはOBITUARYに近いところもある佳作だが、
彼らと共にオリジナル・メンバーであるリズム・ギタリストのトレヴァー・プレスの存在が、
いかにOBITUARYにとって重要かを再認識したアルバムでもあった。

デス・メタルの中でもオリジネイターのひとつであるにもかかわらず、
いやオリジネイターのひとつだからこそ圧倒的に他と違う。
曲によってはスラッシュ・パートをブチ込むがブラスト・ビートは封印し、
あくまでもミディアム~スロー・テンポ主体。
このブログでもヘヴィ・ロックのセクションに入れたいほどだ。
ドゥーム・メタルとも接点をもつスロー・ヘヴィ・チューンだが、
そこいらの愚痴バンドなんか吹き飛ばす暴風メタル。
LED ZEPPELINが“ブルースの草”を吸うのをやめて思い切り歪んだみたいなグルーヴ感がある。
昨年の4曲入りCD『Left To Die』で「Dethroned Emperor」をカヴァーしたスイスのCELTIC FROSTを、
フロリダの晴天の青空の下で徹底的に乾かして発酵させたみたいでもある。
ドライな音が逆に怖い。

ソングライティングの上で新しい試みに挑みつつも、
デス・メタル・バンドの多くが進むテクニカルな方向性には進まない。
シンプル&ストレートの道を貫く。
要するに誤解を恐れずに言えば“ロックンロール”の方法論である。
進化ではなくて深化。
だからといって同じ場所に留まって安穏としているわけじゃないのは、
鮮血が沸騰しているサウンドの響きに耳を傾ければわかる。
スタイルを変えず作品をリリースするたびにウルトラ・ヘヴィな最高傑作を更新するのは並大抵ではない。
むろん奇妙な武勇伝だのスキャンダルだので“営業”もしない。
なぜなら音楽そのもので勝負できるから。
覚悟を決めている。

ヴォーカルはいわゆるデス・ヴォイスとは一線を画す。
おのれのはらわたをちぎっては投げ!ちぎっては投げ!みたいな粘っこいシャウトに磨きを掛けている。
要するに“作った声”ではなくて“生身の声”。
OBITUARYの慣例どおりに今回も歌詞を明かしてないが、
歌詞がどうだろうが彼らは最高だ。
系統は違うがISISが歌詞を公表したがらないのも近い意識と思ったりする。
歌詞で調子のいいことはいくらでも言えるから。
口が達者なヤツは信用できない。
歌詞も大切な表現ではある。
けどスピーカーに対峙して全身で感じられる“響き”が一番正直だから。


●OBITUARY『Darkest Day』(CANDLELIGHT USA CDL 436CD)CD
約53分13曲入りと彼らのアルバムの中で最長だが、あっという間に終わる。
ひたすらクール!




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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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