なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CHARLATANS『Who We Touch』

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89年結成の英国のCHARLATANSが今月半ばにリリースした11作目のアルバム。

当時STONE ROSES以降という感じで出てきたようなイメージも持っていたが、
いわゆるUKロックの流行りすたり関係なく活動してきたことは、
生き延びていることが証明する。
しかもMOTORHEAD並みにコンスタントな新作リリースを続けている。
こういうペースでアルバムを作って出すことは、
多少なりとも自分を追い込まないとできないと最近つくづく思う。
“仕事”だからとかではなく、
甘え無しで自分の創造力と向き合わなければないからである。

たとえ歌詞がラヴソングだとしても自分自身と戦った表現は胸に迫るものだ。
そんな集中力から生まれたパワーが、
とりたてて彼らのファンではないぼくにもビンビンに響いてくる。
やかましいギターの1曲目からして気合が入っている。
キーボードも効果的に使って薄っすらとサイケ・テイストに覆われたポップな曲で、
どれもフック十分のメロディ・ラインが耳に残るが、
マイルドなUKロックに見えて手強い。
音も歌も実はパワフルなのである。
かっこいい。


このアルバムを作るにあたってCHARLATANSは自国の“先輩”と仕事をしてインスパイアされている。
KILLING JOKEのユースがプロデュースし、
CRASSのジー・ヴァウチャーとペニー・リンボーが、
それぞれジャケットのアートワーク/デザインと作詞/ヴォーカルで参加しているのだ。
ティム・バージェス(vo)は語る。
「この作品のプロデュースはユース以外考えられなかった。
ペニー・リンボーの音楽は僕が初めて夢中になったバンドのものだし、
その彼とコラボレーションできるなんて、
いろんな意味で夢が実現した」。


初めて観たロック・バンドがKILLING JOKEということで、
ティムが今回プロデュースを依頼したというのもありそうだ。
ただしユースはVERVEやEMBRACE(英国)らのUKロック・バンドも多数手がけてきているから、
CHARLATANSのアルバムを制作しても不思議はない。

だがCRASSの元メンバー2人のメンバーの参加は意外でもあるが、
意外性がなきゃ面白くもなんともない。
ティムの13歳のときのフェイヴァリット・バンドがCRASSで、
『Penis Envy』(81年)は彼のオールタイム・トップ10のアルバムだという。
わりと最近ティムは人づてにペニーを紹介され
(CRASSの盟友POISON GIRLSのボックス・セットも出している本作の英国でのリリース元であるCOCKING VINYL Recordsの仲介だろうか)、
そのつながりでジーがアートワークも手がけるようになった。

特にCARCASSの『Swansong』のジャケットも手がけたジーはともかく、
ペニーはCRASS解散後に他のバンドの作品に顔を出すことはほとんどなかったと思われるだけに驚きだ。
ペニーのCRASS時代の担当パートはドラムだったが、
最年長のリーダーでプロデュースも行なっていた。
ドリーミーなCHARLATANSの最後の曲が終わってからしばらくすると聞こえてくるペニーの声。
ど迫力である。
いわゆるポリティカルな内容をストレートに綴っているわけではないが、
まるで悟ったような言葉の数々が興味深い。
ポエトリー・リーディングかと思いきや演奏も入っていてペニーは歌い、
Nick Cave & the BAD SEEDSを思わせる6分強のスロー・ナンバーに仕上がっていてこれまたカッコイイ。


CHARLATANSの曲の歌詞も意味深だ。
ラヴソングに見せかけてかなり隠喩も使ったようで、
「Smash The System」なんて曲もやっているのであった。

いわゆるUKロックに類するものでこれだけグッ!と来たアルバムは数年ぶり。
オススメ。


★シャーラタンズ『フー・ウィ・タッチ』(インペリアル TECI-24630)CD
ティムのライナーも載った12ページにブックレットに加え、
日本盤はボーナス・トラック2曲追加し、全曲の歌詞の和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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