なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OPETH『In Live Concert At The Royal Albert Hall』

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スウェーデンの“プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンド”が、
結成20周年を記念して今年4月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行なった、
スペシャル・ライヴの模様をCD3枚とDVD2枚に完全収録した作品。
特に映像は長編映画みたいなしっかりした構成だから彼らのファンは見ておきたいし、
全9枚のアルバムの曲をまんべんなくやっているからOPETHの入り口にもいいかもしれない。

二部構成になっていて、
CDのディスク1(8曲約67分)とDVDのディスク1で2001年の『Blackwater Park』を全曲再現し、
CDのディスク2~3(計8曲約99分)とDVDのディスク2でその5作目以外の曲を年代順に1曲ずつ披露。
CDとDVDには同じステージが入っているわけだが、
音の質感は違うし後者には+αありだ。


“プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンド”と言ってはみたが、
おおざっぱに言えばプログレッシヴ・ロックの曲をヘヴィ・メタルの音で展開するようなバンドだ。
ところによってヴォーカルがデス・ヴォイスも使うが、
ニック・ドレイク大ファンということもうなずけるクリーン・ヴォイスが大半。
まろやかな歌唱はグレッグ・レイク~ジョン・ウェットンにも似ているから、
60~70年代のKING CRIMSONも思い出す。
2005年からメンバーのペル・ヴィバリ(kbd~SPIRITUAL BEGGARS)もクラシカルな音を弾き、
麗しくメロディアスなパートが多く曲も長めだから現代のプログレと言ってもいい。


文句無しのライヴだ。
ギター2本ながらもテクニカルというよりは
落ち着いた動きにもかかわらずエキサイティングなパフォーマンスにじわじわハマっていく。
派手さを抑えつつ青~赤~紫を基調にした明るすぎない照明も効果的で、
ステージ後方に流された映像をクローズ・アップしてない作りも的確だろう。
この由緒正しき円形の会場に初めてデス・ヴォイスとブラスト・ビートが響いた夜になったが、
ライヴというよりコンサートという言葉がふさわしいロイヤル・アルバート・ホールの空間に、
OPETHの存在感と音楽が恐ろしくフィットしているのだ。

いい意味でカリスマ性の類はあまり感じさせず、
スウェーデンのバンドらしいまったりした佇まいも彼ららしい。
自分が向き合うべき音楽に対して誠心誠意を込め、
かなり自己鍛錬を積み重ねないと展開できない音楽にもかかわらず飄々としている。

DVDのディスク1には、
ファンからの質問にミカエル・オーカーフェルド(vo、g)が答える約42分のインタヴュー、
ディスク2では20周年記念ツアーの約43分のドキュメンタリー映像を追加。
後者は客入れのシーンや会場入り、別の日のライヴの模様、リハーサル、ファンとの交流などを、
半ばアトランダムに収めている。
そのへんにもキャラがよく表われている。

話を戻すとライヴの第一部ではアルバム『Blackwater Park』の曲を通してプレイするという趣旨のため、
MC一切無しで曲間もほとんど空けずに最後までやり抜いた。
全編で適度に緊張感が張り詰めている。
一方の第二部では曲間でミカエルがけっこうしゃべる。
もちろん「おまえら!」みたいに驕り高ぶった物言いはせず終始穏やかなトーンだが、
愛すべきお馬鹿である。
笑うに笑えないネタに観客もどう反応したらいいのか戸惑っているのも逆に笑えるが、
ナンセンスなユーモア込みのMCと荘厳な音楽のギャップもOPETHなのだ。
日本のプログレッシヴ・ロック界でもおかしいMCをするバンドが少なくないことを思い出すし、
やはりOPETHもお上品なプログレとは一線を画すのであった。


ロイヤル・アルバート・ホール内を撮影したジャケットも面白い。
この日のライヴが終了して観客が帰った後に撮ったという。
言うまでもなくDEEP PURPLEのアルバム『Concerto For Group And Orchestra』にならったものだ。

もちろん恒例になっているライヴのオープニング(この日は二部の方)のSEには、
クラウト・ロック・バンドPOPOL VUHによるヴェルナー・ヘルツォークの同名映画のサントラ盤、
『Nosferatu』(78年)の収録曲である「Through Pain To Heaven」が使われている。

こういったオマージュもまたOPETHならではだ。


★オーペス『イン・ライヴ・コンサート・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール』(ロードランナー・ジャパン RRCY-29217~21)3CD+2CD
日本仕様盤はライヴのMCとインタヴューの和訳と歌詞が載ったブックレット付。
3面デジパック仕様。


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白盤じゃない本チャンが来たから紹介したんですね

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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