なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HATEBREED at 渋谷クアトロ 11月8日

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米国東海岸コネティカット州出身の“メタル・ハードコア・バンド”、
HATEBREEDの日本ツアー初日に行ってきた。

もう何度目かわからないぐらい日本に来ているし、
今年3月にもMACHINE HEADやBLEEDING THROUGHと来日公演を行ない、
昨秋も“ラウド・パーク09”に出演したばかりだから動員はどうなのか・・・とも思ったが、
甘かった。
ワンマン・ライヴを待ちわびていた満員のファンの期待にHATEBREEDもしっかりと応え、
イベントでは体験できない圧倒的なパフォーマンスを展開したのであった。

ぼくもHATEBREEDを見直した。
最初のうちは静観していたが、
“他流試合”も含めてツアーで徹底的に鍛え上げたパフォーマンスに見とれ、
まもなく身体を動かしていた。

DS7_7374.jpg

ファーストの『Satisfaction Is The Death Of Desire』(97年)を聴いた当時は、
タフ・ガイ系のニューヨーク・ハードコア・スタイルの決定打!という印象だったが、
キャリアを重ねて完全に独自の世界を確立。
MISFITSの曲の「Hatebreeders」をバンド名に引用したところにパンクの根っこが透けて見えるが、
デス・メタルやドゥーム・メタルを強引に取り込んで消化するメタル・ハードコアに磨きをかけ、
続々出てきたフォロワーを寄せつけないセンスと音の胃袋と腕っ節の強さを呈している。

音がメタリックだろうが、
速い曲も、スラッシュ・メタルやクロスオーヴァーというよりはシンプル&タフなハードコア・パンク。
スロー~ミディアム・テンポのパートを絶妙に折り込んで緩急織り交ぜた曲が大半だが、
一人ニコニコしながら演奏していたドラマーのビートやツイン・ギターを含めて、
タメを効かせた音に打ちのめされる。
まさにビートダウン。
誤解を恐れずに書くとまるで空爆であり、
ナタでも次々と振り下ろすかの如しなのだ。
ジェイミー・ジァスタ(vo)と共に94年の結成時からずっとメンバーの、
クリス・ビーティー(b)のゴリゴリした音がHATEBREEDの核だとも再認識。
こういう系統のバンドは意外と弱いベースが硬くて重いから全体がホント強靭に引き締まっている。
音のひとつひとつ声のひとつひとつがビシッ!と鳴っていた。
アタック感が強いのはひとつひとつに気合を込めているからでもある。

なにしろ風圧にも似た音圧の“残像”が凄まじかった。
激しい音やヘヴィなサウンドのライヴは結局それを肌が記憶できるか否かで勝負が決まる。
HATEBREEDが空間に渦を巻き起こしたこの晩の残像をぼくは一生忘れないだろう。


演奏陣は激しく動くわけではないが、
だからこそ地に足の着いた重み十分のプレイ。
何が起ころうが揺るがず、みたいな様相だ。

適度に動くジェイミーのヴォーカルはフィリップ・アンセルモ以降の咆哮だが、
むろん格段にハードコアなストロング・スタイルの発声である。
単調に陥りがちなタイプの曲ながらも小細工で逃げず、
徹頭徹尾“これしかできねえんだよ”ってな潔さで貫く。
ほとんど一種の打楽器みたいなヴォーカリゼイションだが、
確信をもって声を発していることがビンビン伝わってきたのだ。

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スポーティなイメージのベースボールキャップ姿ではなく、
この日のジェイミーはバンダナを頭に巻いていてビシッ!と引き締めた気持ちも感じさせ、
曲や歌詞との相乗効果でいい具合の戦闘的なムードも醸し出していた。
さらにわかりやすいMCを挿入してフレンドリーにファンを煽る。
NAPALM DEATHの『The Code Is Red...Long Live The Code』(2005年)にゲスト参加したのも、
ステージでのアティテュードの面で近いからかなとも思った。

フロアーのファンもノり方を心得ていて、
後ろから見ていて美しさすら覚えた。
ハード&ヘヴィな曲の連続にもかかわらずみんなタフで、
ホントにHATEBREEDが好きなんだなぁと妙なジェラシーを覚えるほどだ。
まさにバンドとファンがひとつのショウをクリエイトした夜だったのである。


開演予定時間の19時にほぼ定刻でスタートして圧巻の90分間30曲。
適度に曲間を空けてアクセントを付けつつ決してダラケず、
プロフェッショナリズムの塊のステージングだった。
当然ことだろうが、
すべての音に責任を負い、
大げさに言えば観客全員を高揚させる責任感すら感じさせた。
感謝しながらもファンに媚びず甘えずサウンドだけで有無を言わさぬ真剣勝負。
グレイト!なライヴだった。


写真撮影:Masayuki Noda


<セットリスト>
1 EVERYONE BLEEDS NOW
2 IN ASHES THEY SHALL REAP
3 MERCILESS TIDE
4 HANDS OF A DYING MAN
5 TO THE THRESHOLD
6 EVERY LASTING SCAR
7 TEAR IT DOWN
8 NEVER LET IT DIE
9 AS DIEHARD AS THEY COME
10 FACING WHAT CONSUMES YOU
11 LAST BREATH
12 UNDER THE KNIFE
13 DEFEATIST
14 EMPTY PROMISES
15 SMASH YOUR ENEMIES
16 BEFORE DISHONOR
17 THIS IS NOW
18 BURIAL
19 PROVEN
20 BETRAYED BY LIFE
21 ANOTHER DAY, ANOTHER VENDETTA
22 A CALL FOR BLOOD
23 MIND OVER ALL
24 STRAIGHT TO YOUR FACE
25 PERSEVERANCE
26 LIVE FOR THIS
27 DOOMSAYER
28 REMAIN NAMELESS
29 DESTROY EVERYTHING
30 I WILL BE HEARD


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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