なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KILL THE CLIENT『Set For Extinction』

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テキサスのグラインド・コア・バンド。
スコット・ハル(AGORAPHOBIC NOSEBLEED、PIG DESTROYER)によるプロデュースの
オムニバス盤『This Comp Kills Fascists Vol.1』への参加に続き、
自国アメリカではRELAPSE Recordsからリリースしたサード・アルバムである。

グラインド・コアとしてはNAPALM DEATH以降の数世代目にあたるバンドだが、
ここ数年の米国産グラインダーの中でも群を抜く破壊力に磨きをかけている。
分厚い障壁をブチ抜くかの如き集中力が凄まじい。

2年前のアルバム『Cleptocracy』でINFESTをカヴァーしていたことも象徴するように、
これまでのKILL THE CLIENTの活動フィールドは、
アンダーグラウンドのパンク/ハードコア・シーンと言える。
サウンドの方はメタルとパンクとハードコアが渦を巻いて燃えたぎるグラインド・コアそのもの。
具がみっちり詰まって炸裂して焼け焦げ続ける。
BRUTAL TRUTHやDROPDEADや324やNASUMの怒涛の曲を一気に混ぜて次々とブッ放すみたいだ。

スロー~ミディアム・テンポをはさみこんでもスピードは落ちず。
若干デス・メタル入りのギターの微妙なリズムのズラしと、
ブラスト・ビートに色んなリズムを絡めて転がり加速し続けるドラムのセンスで単調に聞こえない。
ケヴィン・シャープ(BRUTAL TRUTH)がブッ飛んだようなヴォーカルにアジテーションも加勢する、
専任シンガーとギタリストによるツイン・ヴォーカルも渾身で約26分半19曲ぶっとおしなのだ。

歌詞にはポリティカルな要素もはらんでいるが、
ここいらのバンドは政府だけを悪者にして済ますナイーヴな発想はない。
免罪符はどこにもなくて人間に目を向け、
「No Justice No Peace」という曲名が皮肉とも本音とも解釈できる。

理想と現実の間で生じた熱い軋轢を突破する厳しいサウンドに痺れる強力盤だ。


★キル・ザ・クライアント『セット・フォー・エクスティンクション』(リラプス・ジャパン YSCY-1193)CD
日本仕様盤は歌詞の和訳付。


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コメント

強烈ですね。

まさしく現代の最先端グラインダー、って感じで全体的な暴れっぷりといい、破壊力といい、文句無しに最高ですね。
NAPALM DEATHやBRUTAL TRUTHは勿論ですが、この辺りのバンドっていうのは、パワーバイオレンスとの関係も深いバンドが多い気もするのですが、凄いのはどのバンドも単なる焼き直しでは無く、完全に自分達流に消化し、オリジナルとしての音を発している事が凄いですね。
本当にRELAPSEの充実ぶりには目を見張るものがあると思うんですが、行川さんも以前おっしゃっていたように、過去のEARACHEの反省をふまえて活動している気がする、というのは凄くわかります。
看板バンドは当然ながら、新たに契約したバンドや新人バンドも含め良い作品を出してくれるのは、やはり聞いてる側としても、嬉しいです。
「パンクロック/ハードコアの名盤100」、読ませて頂きました。丁寧に、分かりやすく書いてあり、これまでの本同様、愛読本です。

YUJIさん、書き込みありがとうございます。
歌詞も含めてパワー・ヴァイオレンスの影響も強いグラインド・コアのバンドは、音楽的にも面白いことをやっているケースが多いですね。
どんなジャンルでもそうですが、完成されたスタイルにも思えるグラインド・コアをアップデートさせているバンドたちに敬意を表したいです。
EARACHEは90年代後半にテクノに手を出したりロゴを変えたりしたあたりにブレを感じました。
KILL THE CLIENTはグラインド・コア界隈では知られているバンドですが、
RELAPSEは埋もれがちな他方面のバンドをフォローしていて開放的なアティテュードもたのもしいです。
本の感想もありがとうございます。
色々な情報を盛り込みすぎてビギナーの方にとってどうか?と思ったりしましたが、励みになります。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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