なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BEHEMOTH『Evangelia Heretika』

Behemoth.png


ポーランドの“ブラック・デス・メタル・バンド”、
BEHEMOTH(ベヒーモス)による2枚のDVDと1枚のCDから成る作品。
CDにはDVDに収録されたうちの一つのライヴと同じ日のプレイが入っている。
実のところ少なくてもぼくが買ったDVD(一番↓に記したカタログ・ナンバー参照)は、
NTSC方式とはいえリージョン・コード1のようで、
一般的な日本製DVDプレイヤーでは再生できない。
でもPC等では見られるし破格の出来だから紹介したい。
ヴィジュアルも非常な大切にしているBEHEMOTHの真髄が堪能できる。

周知のように今年4月のBEHEMOTHの来日公演から数ヵ月後に、
リーダーのアダム“ネルガル”ダルスキ(vo、g)が白血病で緊急入院。
病気はかなり進行していたそうだが、
骨髄移植のドナーが見つかって手術を受けるというポジティヴな方向に進んでいるとのことだ。
彼もファンも元気づけるタイミングでのリリースとなった。


DVDのディスク1は、
アルバム『Evangelion』リリース直後の昨年9月のワルシャワにおけるステージ(約81分)と、
一昨年2月のパリでのステージ(約74分)が収められている(共に字幕無し)。
後者は2008年に出したライヴ盤『At The Arena Ov Aion – Live Apostasy』と同じ日のライヴで、
TURBONEGROの「I Got Erection」のカヴァーも含む19曲を披露。
もちろん2つライヴで曲はダブっているが、
カメラ・ワークや編集の違いも手伝って“全体の表情”や音質がかなり異なるから面白い。
画面の切り替わりは忙しいが、
テンポ・チェンジなどの変化が少ないパートは落ち着いたカメラ・ワークだ。
アルバムのジャケットによくある彫像のような色艶と肌触りがする映像である。

音楽的にはブラック・メタルからデス・メタルに移行していったバンドで、
ブラスト・ビートを多用してトリプル・ヴォーカルにもなるなど圧倒的なパフォーマンスだが、
不思議とツボを突く曲とテクニカルにもかかわらずテクニカルに思わせない演奏で虜にする。
何しろ並々ならぬ気合を音と声に注ぎ込んでいることがわかる。
印象的なメロディをはじめとして聴かせどころを心得た楽曲に加えて、
見せどころを心得たステージングでもぐいぐい引き込んでいく。

といっても火や血(糊)を吹くシーンはあるが、
それほど目立ってない。
トリッキーな仕掛けはほとんどない。
だが強烈なヴィジュアルでも魅せる。
特殊加工してあるマイク・スタンドも場の雰囲気を盛り上げ、
ステージ上の四人は死神のように映り、
凛然とした佇まいが実にクールなのだ。

ステージ中央に立つリーダーのネルガルは小柄(+比較的痩せ型)で、
両脇のメンバーは二の腕が太くてでかい。
そのためか昔のMISFITSも思わせる見栄えだが、
メイクもありきたりのブラック・メタル風ではなくホラーがブレンドされている。
メンバー全員の髪型も凝っているし(一時期の日本のMOBSも思わせる)、
タトゥーの入った腕にも“メイク”を施してライティングによって“模様”が移り変わる。
ワイルドな雰囲気だから宗教的というより、
淡い色を多用する照明効果か迷彩にも見える。

アメリカのハードコア/エクストリーム・メタルのバンドによくある、
強引さが目立つ侵略者みたいなライヴとは違う訴求力で。
来日公演ではソコに殺られたと再認識。
なにより真剣勝負の凄みに殺られる2ステージだ。


DVDのディスク2はドキュメンタリーとヴィデオ・クリップ+αで構成。
こちらはオマケ映像も含めて会話部分はすべて字幕が出せる仕様である。
大半はポーランド語で話していると思われるが、
英語の字幕付だから食らいついていけば何とか会話の意味を取ることができる。
ときたま出てくる英語で話すシーンではポーランド語の字幕を出すことも可能だ。

ドキュメンタリー映像は、
ディスク1のライヴを含む時期のツアー中のものと思われる2編(約57分と約56分)だ。
ステージの様子をはさみつつオフ・ステージの模様をたっぷり盛り込み、
インタヴューやファンとの交流シーンも入っている。
メイクの現場も興味深く、
素顔だとメンバー誰が誰だか一瞬わからなくなるのも面白い。
馬鹿話とシリアスな話も披露し、
VENOM、CELTIC FROST、KISS、RAMSTEINといったバンドがルーツというような、
BEHEMOTHの本質を明かす納得のネタも満載だ。

ヴィデオ・クリップは99~2010年の9曲分を収録(約40分)
曲によって音の大きさがバラバラなのは難ありだが、
一曲一曲選んで見るようになっているからヴォリュームを調整すればいいし、
何よりポーランド映画も思わせる映像美が素晴らしい。
オマケとして5曲のヴィデオ・クリップのメイキング映像も約30分入っている。


そして約79分のCDはDVDのワルシャワのライヴと同じで収録曲も一緒だが、
DVDの音よりもダイナミックで実際のライヴにかなり近い感触だ。
ギターもベースもドラムもヴォーカルもよく聞こえるし、
ステージ上の4人がしっかりつながっている“筋肉”すら見えてくる強靭な音。
やはり凄い。
曲間での観客の歓声も生々しくパックしている。


DVDがトータル約340分。
CDを含めればトータル約420分のBEHEMOTH煉獄。
だが時間を割く価値がある誠意に満ちた逸物である。


★BEHEMOTH『Evangelia Heretika』(METAL BLADE 3984-34062-9)2DVD+CD
三面デジパック仕様。
16ページのブックレット付


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コメント

行川さんのスレがありますね!
ここに書かれていることは本当なのでしょうか?
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/punk/1182909947

ヒロさん、書き込みありがとうございます。
見てないので何ともいえないですが、インターネット上も含めて世の中すべてと同じく本当もウソも存在しているのでしょう。
好きにやってもらって構わないですよ。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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