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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Tom Verlaine with Jimmy Rip at 下北沢GARDEN 11月29日

VERLAINE.jpg


TELEVISIONのリーダーのトム・ヴァーレイン(vo、g)の3度目のソロ来日公演初日に行ってきた。
昔あれだけ聴きまくったにもかかわらず何年もヴァーレインの音楽から遠ざかっていたが、
約2時間たっぷり、
なつかしい気分になった。


TELEVISIONはニューヨーク・パンク・シーン黎明期から活動していたバンドで、
トム・ヴァーレインの歌い方はパンクそのものだが、
今ぼくは音楽的にパンク・ロック!と言い切ることに少なからず抵抗がある。
だから代表作のファースト『Marquee Moon』(77年)ですら、
拙著『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』の本編から外してしまった。
TELEVISIONのセカンドの『Adventure』(78年)やソロの音楽を聴くと明らかだが、
今回もパンク云々以前にヴァーレインのルーツにのっとったライヴだったと思う。


ソロ2回目のライヴは確か91年に九段会館で観た。
アコースティック・ギター弾き語りだったが、
ポジティヴな印象は残ってない。
翌92年にはTELEVISIONとしての初来日公演が敢行されたが、
印象に残っているのは「Marquee Moon」をやり直したことぐらいだ。
以降ぼくはトム・ヴァーレインの良き聴き手ではない。

トム・ヴァーレインのソロ初来日公演は確か87年の有楽町よみうりホールで観た。
記憶があやふやで、
「Glory」と「Marquee Moon」以外はソロの曲だったと思うが、
フレッド・スミスがベースを弾いていたためか鳴っていた音はモロTELEVISIONで興奮した
(ドラムはPatti Smith GROUPのジェイ・ディ・ドゥーティーだった気が・・・)。
そのライヴでギターを弾いて現TELEVISIONのメンバーでもある
ジミー・リップが今回もヴァーレインの脇を固めた。
Kid Creole and the COCONUTSの一員であり、
ミック・ジャガーの来日公演でも弾いていたギタリストとのことだ。


実は開演時間を少し間違えてしまって1曲目は聴けず。
ぼくが中に入った時点で「Souvenir From A Dream」を歌っていた。
79年のソロ・デビュー・アルバム『Tom Verlaine』の曲だからいきなり目が覚めた。

二人が椅子に腰掛けてギターを奏で、
トム・ヴァーレインが弾き語る。
ときおりフレンドリーで簡潔なMCをはさみつつ、
まったりした空気の中でひたすら弾き語るヴァーレイン。
アコースティックな音色の中でフォークともブルースとも言いかねる歌を綴っていく。

TELEVISIONの曲は「Prove It」をやって当然盛り上がったが、
やはりソロの曲がセットリストを占めた。
“ツイン・ギター”編成とはいえ、
エレクトリック・ギター2本でやるのとワケが違うからかもしれないが、
ジミー・リップと一緒にやるステージということも念頭に置いてそうだ。
サード・ソロ・アルバム『Words From The Front』(82年)以来の付き合いだから、
二人のギターの息はホントぴったりだった。
ジミー・リップに触発されているところも大きいのだろう、
この晩ぼくはギタリストとしてのトム・ヴァーレインの素晴らしさを再認識。
TELEVISIONにも持ち込んだジャズを感じたのである。

tom verlaine

トム・ヴァーレインのヴォーカルは相変わらずだ。
歌の上手さを求めているファンはあまりいないと思われるが、
ヘタウマを超えているヴォーカルは健在。
サーストン・ムーア(SONIC YOUTH)をはじめとして、
ギターだけでなく影響力大のヴォーカル・スタイルだ。
でも91年の弾き語りライヴでキビシく感じたパンク的な気負いみたいなものは薄らいでいる。
もちろんルー・リードのように年季が入って鍛え上げられた喉じゃなく、
ヴァーレインならではの還暦の歌唱とでも言おうか。
素直な歌い方で曲が進めにつれてぼくは切なくなってきた。
だが60歳には見えないヴィジュアルで安心したのである。


『Tom Verlaine』の収録曲でデイヴィッド・ボウイが速攻でカヴァーした、
必殺ナンバー「Kingdom Come」で本編は締め。
あのイントロが聞こえてきただけでやっぱり身震いした。

アンコールは『Words From The Front』のアルバム・タイトル曲。
大好きな曲だけに感激で、
しかもこれがまた筆舌に尽くしがたい甘美な“ギター・ソロ”に痺れたのであった。


トム・ヴァーレインに思い入れがあって観れる方は体験しておくことをオススメしたい。
30日には同会場で、12月2日には大阪MUSEでもライヴが行なわれる。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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