なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ROLO TOMASSI『Cosmology』

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シンセサイザー/ヴォーカルの男性とシンガーの女性が兄妹という編成で、
英国中部シェフィールドを拠点にする5人組“ロロ・トマーシ”のセカンド・アルバム。
日本盤は2008年のファースト・アルバム『Hysterics』を別のCDに収めた2枚組だが、
値段は一枚ものというありがたい体裁になっている。


バンド名は映画『L.A. コンフィデンシャル』のキャラクター名から引用。
カオティック・ハードコア・・・と口を滑らしかねるが、
“プログレッシヴ・メタル/ハードコア”とでも言いたくなるサウンドだ。
なんとも引っかかるバンドである。

2005年の結成以来、
無数の音楽情報が溢れ返る中で創造と自己表現の可能性を探るべく果敢に挑んでいる。
まったりしたヴィジュアルから察するにそんな気負いもないバンドだろうが、
挑戦的な姿勢と向上心はホントたのもしい。
楽なことをしてないと思うが、
ROLO TOMASSIにとっては“他の誰かさん”の音楽をなぞる方が面倒臭いのだ。

ユニークなロックをやっている最近の英国のバンドにとっては、
馴れ合って甘えるシーンもヘッタクレもなく、
否が応でも音楽的にも自立心や独立心が必然になると思う。
ROLO TOMASSIが一緒にツアーをしているBIFFY CLYROにしてもそんなポジジョンに映る。


ROLO TOMASSIは、
DILLINGER ESCAPE PLANCONVERGE、AT THE DRIVE-IN、RED CHORDといったバンドが、
やはり大きなルーツのようだ。
スタイル的にはカオティック・ハードコアと呼びたくなるパートも多いが、
あまりエッジが尖ってなくて展開も忙しくなく、
ギタリストが一人のためかリフもそれほどメタルメタルしてない。
メンバーはYESやKING CRIMSONといったプログレッシヴ・ロック、
ジョン・コルトレーンのようなジャズやストラヴィンスキーのようなクラシックも聴いて吸収している。

『Cosmology』はやりたいと思っていたアイデアに体が追いついてきたような仕上がりで、
以前よりも滑らかな展開でナチュラルに聴かせる。
RADIOHEAD、ブリトニー・スピアーズ、マドンナなどのリミックスもやってきて、
DJとしても有名なディプロがプロデュース。
もちろんダンス仕様になっているわけではなく、
散らばりかねないROLO TOMASSIの音楽を適度に整理してアルバム一枚にまとめている。
音の響きに耳を傾けると内面的にハードコアっ気が濃いわけじゃないと思う。
シンセサイザーが鍵を握っていてRADIOHEADっぽい感覚も内包。
どことなくニュアンスはポップだ。

柔軟なのは女性がフロントに立っていることも大きい。
兄妹のツイン・ヴォーカル体制だが、
妹のエヴァ・スペンスがニュースクール・ハードコア/デスコア系の剛直スクリームで大半を押しつつ、
ところによっては柔らかいヴォーカルも入れる。
CURVED AIRやRENAISSANCEといった、
女性ヴォーカルのプログレッシヴ・ロック・バンドも頭をよぎるが、
そのへんのバンド特有のマジカルな薫りよりは現代的な香り。
エヴァはカナダのMETRICや米国のPRETTY GIRLS MAKE GRAVESといった、
いわゆるインディ・ロックのバンドからインスパイアされているのも納得の歌唱も聴かせるのだ。

『Cosmology』は、
映画『サスペリア』の音楽で知られるイタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドのGOBLINと、
フランスのシューゲイザー系バンドのM83から主に影響を受けているという。
彼らの音楽スタイルそのままではなく醸し出す佇まいを消化しているのだろう。
8分近くのラスト・ナンバーは、
シューゲイザーとソフト/サイケデリック・ロックが融合したような表情も見せてくれる。
フラストレイションの爆発で終わらず柔軟なトータル約36分10曲入りだ。


ちなみにファーストの『Hysterics』は44分11曲入り。
セカンドよりもDILLINGER ESCAPE PLAN色が強いと同時にポップでもあり、
アンビエント音楽やノイズ・チューンも混ざっている。
試行錯誤の跡が見られて全体的に未分化だが、
14分を越えるラスト・ナンバーは色々な意味で新時代のプログレと言える意欲作だ。


★ロロ・トマーシ『コスモロジー+ヒステリックス』(DOOM PATROL FOUNDATION DOOM 0031)2CD
日本盤はファーストと歌詞と、2作の歌詞の和訳付。
セカンドの歌詞もアート性を重視した12ページのブックレットに載っているが、
デザイン的に読みにくいからありがたい。
簡潔なバイオグラフィー付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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