なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DYING FETUS『Infatuation With Malevolence』『Purification Through Violence』


“ダイイング・フィータス(瀕死の胎児)”と名乗る
米国東海岸メリーランド州出身のデス・メタル・バンドの初期音源が、
リマスタリングとボーナス・トラック追加とジャケット変更などを施した上で再発されている。


infatuation_convert_20110217132545.jpg

『Infatuation With Malevolence』はDYING FETUSが初めて出したCDで、
今回のリイシュー盤は約62分16曲入り。
アンダーグランド・スラッシュ/デス・メタル・レーベルのWILD RAGS Recordsから
94年にリリースされたものの新装版である。
94年5月録音のデモの『Infatuation With Malevolence』と、
93年1月録音のファースト・デモの『Bathe In Entrails』で本編は構成されている。

当時のヴォーカル/ベースは現MISERY INDEXのジャイソン・ネザートンで、
歌詞の聞き取り不可能なウルトラ・デス・ヴォイスはガテラル・ヴォーカルと言えるだろう。
当時のアンダーグラウンド・デス・メタル特有のモコモコしたサウンドも地下臭ムンムンで、
否が応でも鬱々気分が盛り上がる。
SEX PISTOLSの「God Save The Queen」の百万倍NoFutureな気分も加速してくれる。
リマスタリング効果も手伝って必要最低限のメリハリで増幅されたモヤモヤ感がたまらないのだ。

93年にトリオで録音した方のドラムは、
現在もDYING FETUSを率いるジョン・ギャラガー(g、vo)が叩いており、
専門外ならではの非タイトなリズム感が風通し良くてブラスト・ビートもお手の物。
SUFFOCATIONやPESTILENCEらが築いたものを補強することが目的のデモだったらしいが、
当時から“モッシュ・デス・メタル”なグルーヴをひねり出していたこともオドロキだ。
ゴリゴリ重たい音の振り下ろしはビート・ダウン系メタル・ハードコアとも接点十分である。

ボーナス・トラックとして97年と98年のライヴなどが5曲追加されている。


purification_convert_20110217132635.jpg

一方の『Purification Through Violence』は
96年にPULVERIZER Recordsからリリースしたファースト・フル・アルバム。

完全にツイン・ギター体制となったが、
セカンドの頃のCARCASSみたいなギター・ソロも忘れた頃に聞こえてくるとはいえ、
中低音が沸騰しながら軋む徹底して重心の低いデス・メタルである。
にじり寄るスロー~ミディアム・テンポの不穏なリフから
せわしないブラスト・ビート・パートへとなだれ込んでいく。
後にMESERY INDEXの核となる過剰なまでのベースのうねりもクールで、
極悪系ハードコアの匂いも漂い、
後頭部をドツキまわして一般的なデス・メタルよりも暴力衝動を増幅させる独特のサウンドだ。

ブレイクダウンやグルーヴを敬愛していたという彼らだけに、
ベースの音からはブレイクビーツの弾力性も感じられる。
そんなに目立っているとは思わないが、
ハードコア・ラップからの影響もヴォーカルのリズムに表れており、
当時一世を風靡していたNWAやアイス・キューブを意識していたところもあったという。
ヴォーカルの掛け合いも含めて、
下水垂れ流しみたいなデス・ヴォイスとは一線を画しているのだ。

シリアスなパフォーマンスの狭間でオフザケ風味もソーニュー。
NAPALM DEATHの「Scum」を「Scum(Fuck The Weak)」と多少改題し、
乾ききってカラカラのビートを打ちまくる“ブラック・ドラマー”のロブ・ベルトンが
便所でゲロを吐く様子もイントロに付けているのであった。

こちらは本編の8曲に、
97年のデモと98年のライヴが一曲ずつ加えられたリイシューである。


★ダイイング・フィータス
『インファチュエイション・ウィズ・マレヴォレンス』(リラプス・ジャパン YSCY-1198)CD
『ピューリフィケイション・スルー・バイオレンス』(同 YSCY-1199)CD
共に三面デジパック仕様で、
当時ヴォーカル/ベースを務めていたジャイソン・ネザートン(現MISERY INDEX)のライナーの和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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