なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SOCIAL DISTORTION『Hard Times And Nursery Rhymes』

social distortion


70年代末から活動しているLA近郊出身のパンク/ロックンロール・バンドが、
1ヶ月ほど前にリリースした6年4ヶ月ぶりの7枚目のオリジナル・フル・アルバム。


2004年の前作『Sex, Love And Rock 'n' Roll』から
オリジナル・メンバーは本作のプロデューサーでもあるマイク・ネス(vo、g)だけになったが、
元YOUTH BRIGADE(LA)のジョニー・ウィッカーシャム(g)以外はそのアルバムから変わっている。
セカンドの『Prison Bound』(88年)以降の流れを感じさせるブルージーなパンク/ロックンロール。
チャック・ビスキッツ(元D.O.A.~BLACK FLAG~DANZIG)がドラマーだった、
4作目『White Light, White Heat, White Trash』(96年)に近いグルーヴ感とスピード感と言える。

ひたすら彫りの深いサウンドに聴き惚れるばかりだ。
特にレコードだと針がえぐる溝の深さも感じ取れるほどの音である。
サーフ・ロックの香りもチラリも漂うインストから始まり、
70年代のROLLING STONESやVELVET UNDERGROUNDっぽい2曲目へとなだれこむところで、
早くもメロメロになってしまった。
いちおう言っておくと昔からカヴァーしているとはいえROLLING STONESっぽいのはその一曲だけで、
全編重厚なロックンロール・パンクに磨きをかけており、
とにかく気合十分なのだ。

ブルース・スプリングティーンやニール・ヤングがパンク・ロックになったような曲もあるが、
微妙にポップなテイストの曲も混ざっている。
曲によってデリケイトなキーボードやソウルフルな女性コーラスも挿入。
伝説のカントリー系ミュージシャンであるハンク・ウィリアムスの「Alone And Forsaken」も、
スリリングなパンク・ロック・チューンに仕上げている。
単なるスタイルではなく喜怒哀楽が息をしている響きそのものに染み込んだブルースの香りが、
むせ返るほど濃厚だ。
いわゆるアメリカのルーツ・ミュージックが発酵してパンク・ロックとブレンドしたようなコクは、
極上のウイスキーみたいである。


皮膚がヒリヒリするほど音が熱い。
まったりしているようで加速して深いところをえぐってくる。
取ってつけた策を弄するだけのバンドなんか聴いていられなくなる。
結局どれだけおのれ自身を磨き上げるか、
それで勝負するかしかない。
余裕しゃくしゃく。
どっしり構えて動じない。
それでいて押しが強い。

ジャケットどおりの人間味が噴き出る歌詞には紆余曲折の人生が刻まれている。
家庭を持ってなくたって構わない。
“俺とあなた”の物語が大半だが、
“俺たちは母なる地球に立ち戻る”と普遍的な視座で歌う。
気恥ずかしいフレーズも豪快な歌いっぷりで押し切ってしまうのであった。

片面3~4曲収録だから短時間で盤を裏返すレコードで聴くのもどうかとも思ったが、
一曲一曲を噛みしめながら耳を傾けたくなる曲の連発だ。
CDだとやっぱり多少硬質な音にも感じるが、
LPもCDも声と音から溢れかえった歌心に圧倒される
聴き応えありまくりで問答無用の快作である。


★SOCIAL DISTORTION『Hard Times And Nursery Rhymes』(EPITAPH 87119-1)2LP+CD
トータル13曲入りの2枚のLPと約47分11曲入りの通常盤CDが、
手触りも匂いも良くて味のある紙質の二つ折りジャケットに封入されている。
ジャケット同様に適切な紙質によってプリントが映えているメンバーが写った両面刷りの渋いポスター付だ。


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コメント

Hoax

チャック・ビスキッツは死亡の情報が流れましたが、それは誤りだそうです。

pikalさん、指摘ありがとうございます。
不確かな情報を元に書いてしまいました。
手直ししておきます。

最高な盤ですね

大好きです☆☆ソーシャルディストーションを聴けなきゃ、ロックは何を聴いてもわからないでしょうね。METAL PUNKバンドをやっていますがソーシャルディストーションは永遠のアイドルなのです。

後、行川さんの単行本も(笑)あれ読まない奴は後悔しながら墓に行くんでしょうね。知り合いに薦めて周りはほとんど買いましたよ♪♪

ITOさん、書き込みありがとうございます。
メタル・バンドをやっていてSOCIAL DISTORTIONが大好きでアイドルというのもいいですね。陳腐な言い方ですが、やっぱり熱いロック!という点で通じ合うのだと思います。
本の件もありがたいです。単なる入門本ではなく、パンク・ロック/ハードコアの細分化された狭いジャンル内に意外と留まるマニアへの挑戦の意志もこめて書いたので、うれしいです。

素晴らしいです。

猛烈に熱く、かつ優しさが同居し最高ですね。
SOCIAL DISTORTIONには、いつも考えさせられるものがあるのですが、今回もやられました。マイク・ネスに励まされ、前を向く勇気をもらえ、個人的に凹んでた事も重なり、このタイミングでこの盤に向き合えた事に本当に感激です。
こちらでの書き込みで申し訳ありませんが、SQRMとCOMPLETED EXPOSITION、どちらも最高でした。
SEXDROMEも危険な香り満載でしたが、YOUTH ATTACKは良作連発ですね。たまたまゲットできラッキーでした ! COMPLETED EXPOSITIONは1st 7" にかなりの衝撃を受けたので、音源楽しみにしてたのですが、今作も間違い無しで、ますますライブ観たくなりました。
二つとも新作の情報、全く知らなかったのでありがとうございます。

YUJIさん、書き込みありがとうございます。
SOCIAL DISTORTIONに優しさ同居・・・上手い表現ですね。マイク・ネスがドラッグで刑務所に入っていた時期は別として70年代末から活動を続けて、レイドバックしているように見えて実はパワーアップしていて勇気もらえますね。
YOUTH ATTACKものはちょっと高額なので簡単に手を出すわけにはいかなかったりしますが、リリースしているもののセンスがブッ飛んでいるからマメにチェックしたくなります。COMPLETED EXPOSITIONもポイント押さえてよく聴いているバンドというイメージで、音楽の仕込みがいい印象です。東京に来るので久々にライヴ観てみたいです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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