なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DYING FETUS『Killing On Adrenaline』『Grotesque Impalement』

米国東海岸メリーランド州出身のデス・メタル・バンドDYING FETUSのリイシュー・シリーズ。
今回の2枚のCDもRELAPSE Recordsと契約する前の音源で、
リマスタリングにより各パートがよく聞こえてくる仕上がりだ。


KILLING_convert_20110301112441.jpg

『Killing On Adrenaline』は98年にリリースしたセカンド・フル・アルバムで、
本編の8曲に加えて今回は2曲プラスされている。

贅肉を殺いだ楽曲とアタック感を強化した音で一歩も二歩も突き抜けた作品だ。
ドライなのに粘っこくファットなベースがうねりまくり、
ブラスト・ビートを使ってないミディアム・テンポのパートでもスピード感が五割増し。
テクニカルなリズムも絡めながら終始戦闘状態の猛攻である。
押し一辺倒ではなくネチネチ責め上げるから
いわゆるブルデス(ブルータル・デス・メタル)とは違うスタイルかもしれないが、
当時RELAPSE Recordsと契約する直前の息吹みなぎる獰猛なデス・メタルが楽しめる。

現MISERY INDEXのジャイソン・ネザートン(vo、b)が書いた歌詞は政治も絡めて殺伐極まりないが、
サウンドと見事に共振している。
ツイン・ヴォーカルはガテラル系デス・ヴォイスもハードコアな咆哮&シャウトも、
胆力と憎悪と嫌悪感が十分だ。
ラップとは思わないが、
リズミカルな言葉の吐き出し方がニュースクール・ハードコアにも通じる。

80年代半ば以降の様々なハードコアに影響を与えたCELTIC FROST直系のリフも多いバンドだ。
というわけでクリーヴランドの極悪系を代表するメタル・ハードコア/ノイズ・バンド
INTEGRITYの「Judgement Day」のカヴァーはド真ん中のハマりようだ。
この曲の98年録音のライヴ・テイクが今回追加されている。
もう一曲のボーナス・トラックは97年のインストのリハーサル・デモである。

圧迫感はなくて音の抜けがいいから解放的なアルバムで、
極悪系デス・メタルとでも呼びたくなる佳作だ。


GROTESQUE.jpg

『Grotesque Impalement』はDYING FETUSの分裂症的なキャラが表れて面白い一種の企画盤。
自主レーベルのBLUNT FORCE Recordsからリリースした99年11月録音の作品が基で、
今回は3曲のボーナス・トラックを加えた約32分9曲入りCDでのリイシューだ。

まずは原点回帰とばかりに92年のデモ作品でレコーディングしていた2曲を再録音しており
(原曲は『Infatuation With Malevolence』に収録)、
ツイン・ヴォーカル体制で放つ超デス・ヴォイスのガテラル・ヴォーカルと怒号シャウト、
うなるベースとノイジーなギターとブラスト・ビートでタフな音に仕上がっている。
初期の彼らの意識がモロに表れた
ジャケットのアートワークとロゴが象徴するプリミティヴで残虐なデス・メタルそのものの2曲だが、
80年代の非エクストリームでキャッチーなメタルそのままのもう一曲のオリジナル曲も痛快だ。

さらに2曲+αのカヴァーが実にクール。
まずはニューヨークのデス・メタル・バンドのBAPHOMETが、
PEACEVILLE Recordsから92年に出した『The Dead Shall Inherit』の収録曲のカヴァーで、
これがまた強力だ。
もう一つが
同郷のメタリック・ハードコア・バンドNEXT STEP UPの『Fall From Grace』(95年)収録曲。
極悪系メタル・ハードコアとデス・メタルとがニアミスを繰り返していた時代ならではだし、
まったく違和感がないという点がDYING FETUSのキャラを浮き彫りにしている。
さらに英国のヘヴィ・メタル・バンドのGRIM REAPERの
『Fear No Evil』(85年)の一節をイントロに使ったりもしている。

ボーナス・トラックも興味深い。
2000年の未発表トラックと99年のライヴはストロングに迫るが、
2010年の録音のオリジナル曲が元メンバーのジャイソン・ネザートン(現MISERY INDEX)が歌い、
ゲイリー・グリッター・タイプのグラム・テイストでちょいとTWISTED SISTER風なのであった。


★ダイイング・フィータス
●『キリング・アン・アドレナリン』(リラプス・ジャパン YSCY-1202)CD
12ページのブックレットと歌詞の和訳付のデジパック仕様。

●『グロテスク・インペイルメント』(同 YSCY-1203)CD
三面デジパック仕様。

共に現MISERY INDEXのジャイソン・ネザートン(vo、b)のライナーの和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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