なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Omar Rodriguez Lopez『Telesterion』『Un Escorpion Perfumado』


MARS VOLTAの中核メンバーであり超多作で知られる
鬼才オマー・ロドリゲス・ロペス(g他)の2タイトルが日本盤でリリースされている。
昔ライナーを書いたAT THE DRIVE-INの日本デビュー盤が発売されたときのひっそりした状況を思えば、
以降の評価と人気の高まりは嬉しい。


SKMN-001_convert_20110326111356.jpg

『Telesterion』は日本独占販売のベスト盤。
2004年のソロ・デビュー・アルバムに始まりコラボレーション盤を含めた25作品の中から、
オマー自ら選曲と編集を行なった37曲入りである。
25タイトルすべてをフォローするのは難儀で、
ぼくが聴いたオリジナルのアルバムも数作だけ。
むろん片鱗にしか触れられないとはいえオマーの音楽の輪郭が見えてくるから、
たいへんありがたいコンピレーション盤だ。

プログレ、サイケデリック、ダブ、エレクトロニカなどなど
世界津々浦々を音楽でツアーしているみたいな万華鏡アルバムで、
JAGATARAみたいな曲もある。
まるでロバート・フリップ(KING CRIMSON)の数学的な音楽性が
ラテンがかってゆるくなったかのようだ。
MARS VOLTAよりもマニアックようでポップ。
誤解を恐れずに書けばムード・ミュージックとして流しっぱなしにしても楽しめる。

マニー・マーク、ザック・ヒル(HELA)、セドリック・ビクスラー・ザヴァラ(M ARS VOLTA)、
ジョン・フルシアンテなどの他のミュージシャンもたくさん参加。
ヴォーカル入りの曲が大半で、
メキシコ出身の女性シンガーソングライターであるヒメナ・サリニャーナらのゲストが歌う曲あり、
オマー自身が味のある喉を震わせる曲あり。
歌詞の大半がスペイン語と思われる言葉の響きがまた、
日本の音楽は言わずもがな一般的な欧米圏やアジア圏の歌もの音楽とは違う
スパイスの効いた異国情緒いっぱいの匂いでゾクゾクするのだ。

録音時期がバラバラの音源をまとめているにもかかわらず違和感ゼロ以下。
作為なく全部天然で音楽を発光しているがゆえに何ヤってもオマー一色であり、
すべてオマーの血の流れの一枚である。
音をぎっちり凝縮はせず、
やわらかい音に仕上がっているから2時間40分弱続けて聴いても疲れない仕上がり。
逆に言えばラフな作りとも言えるが、
CDによくある圧迫感とは無縁なのであった。


SKMN-004.jpg

『Un Escorpion Perfumado』の方は、
ソロ・アルバムとしては19枚目に数えられそうな目下の最新作だ。
オマーの弟のマルセル・ロドリゲス・ロペス(シンセサイザー)や、
MARS VOLTAでも叩くようになったディーントニ・パークス(ドラムス)とのレコーディング。
といってもすべてのヴォーカルをはじめとして大半のパートはオマーが担当している。

全体的にダブ風のアレンジ/コーティングが成された音作りが特徴なのだが、
これまた面白いアルバムである。
破壊的な音作りではなく、
NEW AGE STEPPERS(特にファースト)風のゆったりした佇まいで“ロック”している。
太宰治にインスパイアされたらしい「Aqua Dulce De Pulpo(淡水蛸)」の曲名からイメージできる
反復漂流するサウンドだ。
長めの曲とはいえ歌の比重も高い曲作りで、
歌い突き抜けるオマーの喉はPOLICE時代のスティングすら思わせる。
例によって実験的なテイストをまぶしながらも
ポピュラー・ミュージックとして仕上げているのであった。

基本的にダブは速いもんじゃないが、
踊るツボを微妙に外しているみたいな“スロー・モーション・リズム”も不思議な空気感を醸し出した、
極上の“ヘッド・ダンス・ミュージック”である。


★オマー・ロドリゲス・ロペス

●『テレステリオン』(スリープウェル SKMN-001)2CD
20ページのブックレットと、
MARS VOLTAも出しているGSL Recordsのソニー・ケイ(元ANGEL HAIR~VSS~今回の2作のアートワークも担当)の英文ライナーの和訳と、
一曲ごとの日本語解説付。
CD2枚の収録時間ギリギリのヴォリュームのトータル約160分37曲入りだ。

●『香水をまとったサソリ』(同 SKMN-004)CD
デジパック仕様の約38分6曲入り。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/398-65b37527

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (295)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (124)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん