なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MAMIFFER関連の2タイトル

米国シアトル拠点のアーティストである女性フェイス・コロッチャ(p、vo他)が中心となり、
前作にも参加していたアーロン・ターナー(g、vo他~元ISIS他)が正式に加わった
MAMIFFER関連の2タイトルがリリースされている。


DYMC-135_convert_20110328113856.jpg

MAMIFFERの約3年ぶりのセカンド・アルバム『Mare Decendrii』は、
静かに疾走するピアノなどのコロッチャの鍵盤楽器が音の核で
現代音楽にヘヴィ・ミュージックをゆっくりと絡ませたような作品だ。
インスト・パート主体で長い曲ながらも聴かせどころを設け、
決して小難しくはない。
プロデュースとミックスはEARTHの前2作も手掛けたランダル・ダンである。

どこかの民俗音楽風のメロディや耽美系のサウンドも遠くの方から聞こえてくるが、
オルタナティヴ・ロックの類とはまったく違い、
流氷のようなアンビエント・チューンがゆっくりと加速している。
研ぎ澄まされた響きは単なる綺麗な音楽ではない。
何かが宿っている。
鍵盤楽器の特性を活かした静かでパーカッシヴな音の連なりが凛然と輝き、
テープ・サンプラーなどを挿入しつつシンプルな音で緻密に織り上げて
静かにドラマチックな展開をしていく。
コロッチャの歌唱もニコとジャーボーをゴスのテイストで割ったようなムードで、
女性ヴォーカルにうるさい輩も納得させる深い響きをたたえている。

コロッチャがリードしているようなところが多くアーロン・ターナーの立ち位置は見えにくいが、
ISISのリズム感が反映されていると思うのはぼくだけではないだろう。
インテリジェンスを内包した肉体的な“あのうねり”も持ち込まれている。
アーロンのヴォーカルも欧州のトラッド風で歌心いっぱいなのだ。

多数のミュージシャンが参加しており、
ジョー・プレストン(THRONES、元EARTH~MELVINS~HIGH ON FIRE)もヴォーカルで、
アーロン・ハリス(元ISIS)もパーカッションで関わっている。

日本盤には約16分の1曲入りのボーナス・ディスクが付いている。
“ヘヴィ・アンビエント・ロック”とでも呼びたい趣で、
ハモンド・オルガン主導と思しき音。
二人が録音してアーロン・ターナーがミックスしており、
本編とは違う生々しい光を放っているからこれまた聴きどころである。

ひとつひとつの音に意思を感じさせる。
ゆえにこれはロック。
かなりクセになる佳作だ。


DYMC-120.jpg

MAMIFFER/HOUSE OF LOW CULTURE/MERZBOW名義の『Lou Lou…In Tokyo』は、
昨年3月7日の東京EARTHDOMでのライヴを収録した
約46分5曲入りCDとDVDの日本独占企画の2枚組。
ISISの日本ラスト公演の翌日に行なわれたステージで、
録音とミックスとプロデュースは初期からBorisが自主レーベル名にもしているfangsanalsatanである。

CDとDVDでほとんどの曲はダブっているが、
DVDは1曲多い。
前述のMAMIFFERの4曲、
アーロン・ターナーのユニットのHOUSE OF LOW CULTUREの1曲、
日本のベテラン・ノイズ・アーティストのMERZBOWを含む全員が合体したDVDのみの1曲で構成。
アツオ(Boris)もパフォーマーとしてクレジットされている。

MAMIFFERは1曲だけダブる前述の『Mare Decendrii』につながる静謐な3曲だが、
やはりライヴはダイナミズムが格別だ。
とりわけほとんどISISみたいなうねりが反復するヘヴィな4曲目に殺られる。
HOUSE OF LOW CULTUREの約24分の曲は静かで間を持ったアンビエント・ドローンの趣で、
終盤にハーシュ・ノイズが炸裂。
曲の構成も含めてやっぱりISISに通じる佇まいなのも当然とはいえ嬉しい限りだ。

DVDを見ると実際にどういう演奏をしているのかよくわかる。
特に有機的なエネルギーを感じさせるMAMIFFERが見どころだ。
フェイス・コロッチャの凛とした佇まいがクールだし、
最小限の音で静謐そして熾烈な緊張感を生み出しながら
エレクトリック・ピアノとエレクトリック・ギターの間を静かに移り変わる様がカッコイイ。
ギターを駆使するアーロン・ターナーのシャーマニックなヴォイス・パフォーマンスは、
ますますディープになると思われる今後の彼の音楽活動の序章と言えるほどゾクゾクする。
人の心に訴えかける素晴らしいヴォーカリストになったと痛感させられるのだ。
最初から登場するアツオもここぞという場面で銅鑼などを鳴らす。

モノクロも多用した映像の色合もポイントを押さえた編集もさすがの仕上がり。
アートスクール出身のfangsanalsatanならではのプロフェッショナルな出来で、
このDVDも基本的に日本限定リリースなのはもったいない。
レーベル・ディレクターのアイデアを基に全員一致で決めたアルバム・タイトルは
日本語の“縷々”の英語読みとのこと。
ぴったりである。


★マミファー『メア・ディセンドリ』(デイメア・レコーディングス DYMC-135)2CD
約61分5曲入りの本編のCDと約16分1曲入りCDの2枚組。
16ページのブックレットと歌詞の和訳付の二つ折り紙ジャケット仕様だ。

★マミファー/ハウス・オブ・ロウ・カルチャー/メルツバウ『ルル…イン・トーキョー』(同 DYMC-120)CD+DVD
46分5曲入りCDと約66分6曲入りDVDの2枚組。
二つ折り紙ジャケット仕様で限定500セットとのことだ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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