なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CAVALERA CONSPIRACY『Blunt Force Trauma』(special edition)

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元SEPULTURAのマックス&イゴール・カヴァレラ兄弟が中心になったバンドが、
3年ぶりにリリースした真っ向勝負のセカンド・アルバム。
録音スタジオは彼らの出身国ブラジルではなくアメリカのLAだ。
11曲入りCDのみ通常盤もリリースされているが、
今回は限定の“スペシャル・エディション”について書いていく。


マックス(vo、g)は“ファミリー(≒家族)”をとても大切する人のようだが、
何年も前の来日時に周辺にいたとある関係者にもそれが過剰にも映るほどだったようで、
ひいきが目に余った他のメンバーの反感が高まってSEPULTURA脱退の主因にもなった。
弟のイゴール(ds)はその後もSEPULTURAのメンバーだったわけだが、
家族の範囲を広く解釈していけばマックスが弟を迎え入れるのは時間の問題だった。

リーダー・バンドだったはずのSEPULTURAを脱退した後のリーダー・バンドで
今やイゴール以外の3人はCAVALERA CONSPIRACYと同一メンバーの
SOULFLYでの活動も続行しつつ、
こちらはもっとストレートな怒涛のスラッシュ/ハードコア/メタル路線を突き進んでいる。
SEPULTURAが民俗音楽に目覚めなければ『Chaos A.D.』(93年)の後に出したであろう路線の作品だが、
SEPULTURAの『Roots』(96年)やSOULFLYで培った民俗音楽のニュアンスも加味。
BLACK SABBATH~AMEBIX~NEUROSISを消化して90年代以降のメタルを先導した、
マックス特有のヘヴィ・グルーヴに貫かれているのは言うまでもない。

緩急交えつつ、
ひたすら押しの強いマグマの如きマックスの灼熱のリズム・ギターが目立つ。
哀愁のメロディのギターやワザありのギターのソロ演奏も入るが、
SEPULTURAは繊細テイスト担当のアンドレアス・キッサーの存在が大きいことを再認識させられる。
とはいえ本作もブルータルといえばブルータルだが、
アメリカのB級メタルコア勢などと比べると格段に陰影や侘び寂びがあるし、
徹底して叩きつける荘厳ですらある。

毎度のことながら全く引くところがないヴォーカルに象徴されるようにマックスの集中力はすごい。
AGNOSTIC FRONTのロジャー・ミレットが作詞(+ヴォーカル)で参加した1曲以外、
すべての曲の作詞と作曲を行ない、
基本的にプロデュースも一人でやっている。
マックスに全部まかせるとこうなるってわけだ。
実際のところは知らないが、
英語のmaximumから引用したと想像できる“マックス”という芸名どおりに、
まさに最大限である。

エンタテインメント(もてなし)も過剰でステージだとお祭り的になることもあるが、
今回は押せ押せな意味でtoo muchなところがマックスらしい。
マックスほど渾身という言葉が似合うミュージシャンはなかなか見当たらない。
「Orgasmatron」をカヴァーしたMOTORHEADの代表曲「OVERKILL」というフレーズどおりに、
やりすぎだ。
王道の曲とは違うがゆえに埋もれがちな名曲「Orgasmatron」をカヴァーしていることに感謝しつつ、
かつてMOTORHEADのレミーはマックスの歌い方に苦言も呈したが、
デス・ヴォイスとは一違う徹底して気合込めたこのダミ声はマックスの専売特許と言える。
ポリティカルなパンク/ハードコアを通過したメタル筆致の剛直な英語の歌詞もマックスならでは。
マックスの政治的な認識はぼくにとってナイーヴだが、
根がヒューマニストのキャラも彼のも持ち味だろう。

約47分14曲入りの限定盤CDに追加された3曲のボーナス・トラックには、
原曲を尊重しつつ後半加速する
BLACK SABBATHの「Electric Funeral」のカヴァーも含まれている。


DVDには2008年7月のフランスでの野外フェスティヴァル昼の部における出演時のステージを約73分収め、
デビュー・アルバム『Inflikted』(2008年)の収録曲「Sanctuary」のミュージック・ヴィデオも見られる。

ライヴの方はSEPULTURAとNAILBOMBの曲も加速させて“セルフ・カヴァー”し、
DEAD KENNEDYSの「Holiday In Cambodia」の断片的なカヴァーも含む16曲を披露。
マックスはCORROSION OF CONFORMITYのロゴがバックプリントの迷彩のシャツを羽織り、
中にTERRORIZERのTシャツを着て現れ、
中盤からはDEATHのTシャツでステージに立つ。

カメラ・アングルをはじめとしてプロフェッシナルな編集が成され、
録音レベルが大きいのも意図的だろう。
小手先の爆音なんて軽々と吹き飛ばす胆力たんまりの問答無用のパフォーマンス。
CAVALERA CONSPIRACYのというかマックス・カヴァレラの底力を見せつける。
日本だとメタル系のフィールド意外ではほとんど語られない存在になってしまっているが、
そんな状況に極太の中指を高々と突き立てるステージング。
大掛かりな仕掛けは必要としない。
まさに獅子奮迅。
マックスの息子がゲストでヴォーカルを取るところとイゴールの息子がドラムを叩くシーンも、
例によって御愛嬌。


いわゆるスカンジ・スタイルのハードコア・パンクやクラストのファンであることは、
90年代初頭からはっきりと表に出してきたマックスだが、
CRASSちっくな今回のジャケットや曲名などの字体も御愛嬌である。


★カヴァレラ・コンスピラシー『ブラントロ・フォース・トラウマ~スペシャル・エディション~』(ロードランナー・ジャパン RRCY-29235/6)CD+DVD
3面デジパック仕様。
16ページのブックレットに読みやすく書かれた歌詞の和訳も日本盤ブックレットに載っている。


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コメント

今度はジャケ黒すか(笑)

いつ発売されましたか?今から買いに行きたいので(笑)

ITOさん、書き込みありがとうございます。
6日に発売されたと思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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