なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Wilko Johnson at 渋谷クラブ・クアトロ 4月7日

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パンク・ロック前夜のパブ・ロックを代表するDR. FEELGOODの70年代の音楽的なリーダーだった、
ウィルコ・ジョンソン(vo、g)の2日間だけの日本ツアー最終日。
約20日前に来日公演を行なったルー・ルイスの“盟友&心の師匠”である。
わりと頻繁に来日していて、
フジ・ロック・フェスティヴァル出演などのために来日した以来の日本公演だが、
東京での単独ライヴは8年ぶりとのこと。
観る場所を確保するのも大変なほどの超満員だ。

まずは、4月9日(土)からシアターN渋谷などで公開の
映画『ドクター・フィールグッド ~オイル・シティ・コンフィデンシャル~』が、
30分のダイジェスト版で上映された。
“オープニング・アクト”的な感じで盛り上げてもらったあと、
数分後に“ウィルコ・ジョンソン・バンド”が登場。


まずソロ・アルバムの曲を2曲続け、
4曲目はDR. FEELGOODを去った後のSOLID SENDERS時代のアルバム(78年)の曲だ。
熱心なファンにはライヴでお馴染みの曲とはいえ渋い曲を序盤に並べたところに自信を感じた。

話が前後したがソロ活動でのウィルコのバンドは基本的にトリオで今回の来日メンバーは、
80年代の半ばから常にウィルコの片腕としてファンには超お馴染みのノーマン・ワット・ロイ(b、vo)、
モンティから変わった新ドラマーのディラン・ハウ(ds)である。
特に、サイドとバックの髪をなびかせるノーマンの“つるっぱげ”ぶりが健在なのもうれしい。
ウィルコもいつのまにか頭が丸まっているが、
黒のタイトな服装とスリムな体型がまったく変わってない。
ルックスが変わってないのはぼくにとってうれしいことだ。

言うまでもなくウィルコの芸風もまったく変わってない。
ジャンプこそしてないが覚醒しきった表情をキープしながら
観客を一人一人狙い撃ちする“マシンガン・ギター”と
間奏のギター・ソロで突然真横に駆け出す絶妙の脚さばきは健在だ。
アブナイ人を演じ切るウィルコと
濃い笑顔のまま重心低くベースを構えてフィンガー・ピッキングで弾くノーマンとの絡みは
25年以上に付き合いならではのコンビネーションで、
観ているだけでもうれしくなる。

確か85年で東京公演の場所は確か今は亡き渋谷LIVE-INNだった初来日公演から変わってない。
混じりっけなしのロックンロール・バンドがみなそうであるように
AC/DCやMOTORHEADも芸風は変わってないが、
彼らと違ってウィルコは極めて寡作の人だからセットリストもあまり変わってない。

だが懐古趣味をまったく感じさせない。
本物に古いも新しいもないってことだ。
ウィルコはギターのシールドを心臓に直で突っ込んでエレクトリックな音を鳴らしている。
だから響きがピュアなのである。
楽しそうにパフォーマンスしているが、
飄々としているようでストイックに音も声も紡ぎ出している
ヨレヨレに見えてやっぱりシャープ&ソリッドなのである。

ウルトラ・ギター・カッティングはR&Bを研ぎ澄ましている。
“その手のギタリスト”のみならず、
ウィルコの大ファンである灰野敬二のギター・カッティングの元ネタだと再認識もした。
マシンガン・ギター云々のイメージも強いが、
そういう曲は半分程度。
渋くやわらかいギターも持ち味であることを忘れちゃいけない。

もともとシンガーではないとはいえ、
ヴァン・モリソンやボブ・ディランといった歌い手としても別格の人の曲をやったためか、
カヴァーがほとんどの↑ジャケット画像の最新アルバム『Red Hot Rocking Blues』(2003年)を聴き、
ヴォーカルはライヴだともうキツイのではないかと思ったことを正直に告白しておく。
だが完全に杞憂だった。
ぼくは高を括っていた。

終盤の加速度が圧巻だった。
本編ラストまでDR. FEELGOODナンバーの連発である。

実のところこの日はDR. FEELGOODのオリジナル・シンガー/ハーピストだった
リー・ブリローの命日。
ウィルコにとって因縁の人だっただけに、
何か去来するものがあったとしか思えない終盤のDR. FEELGOODナンバー連発の燃えっぷりだった。

本編が終了して10秒後にウィルコらが再登場。
心の加速度が止まらずいてもたってもいられなかったに違いないのは、
まず地震で被災した日本へのメッセージを述べたことに表われていた。
ウィルコのオフィシャル・サイトに載せている簡潔な文に近い内容だったと思うが、、
観客の間からは英語で「日本に来てくれてありがとう!」みたいなレスポンスが上がる。
それからまもなくチャック・ベリーの「Bye Bye Johnny」を長尺で“リメイク”披露したのであった。

告白すると、
映画のダイジェスト上映もあるし還暦を超えた年齢からして1時間ぐらいだろうと思っていたが、
アンコールの1曲を含めてトータル80分14曲。
ただ突っ立って歌ったりギターを弾いているだけではない。
恐るべし。
むろんMCで水増ししたパフォーマンスではなく無駄口叩かず男は黙ってロックンロール。
再度のアンコールを求める拍手がいつまでも止まなかった。

世のポジティヴポジティヴな歌はともかく、
ネガティヴ・キャンペーンみたいなメッセージ・ソングは痛いだけだが、
ウィルコ・ジョンソンはギターのカッティングとヨレ気味の声とシャープな動きで元気にする。
理屈はいらない。
一音で目を覚まさせて活を入れるのがロックということ。
これでいいのだ。


★セットリスト
1. All Right(ファースト・ソロ『Ice On The Motorway』[81年])
2. Barbed Wire Blues(セカンド・ソロ『Barbed Wire Blues』[88年])
3. The More I Give(DR. FEELGOODのファースト『Down By The Jetty』[75年])
4. Dr. Dupree(SOLID SENDERS『Solid Senders』[78年])
5. The Western Plains(Leadberllyのカヴァー『Red Hot Rocking Blues』[2003年])
6. Roxette(『Down By The Jetty』)
7. Sneaking Suspicion(DR. FEELGOODのサード『Sneaking Suspicion』[77年])
8. When The Night Goes By
9. When I’m Gone(ソロ・ライヴ・ミニ・アルバム『Watch Out!』[85年])
10. The Beautiful Madrilena(『Going Back Home』[98年])
11. Paradise(『Sneaking Suspicion』)
12. Don't Let Your Daddy Know」(DR. FEELGOODのセカンドの『Malplactice』[75年])
13. Back In The Night(『Malplactice』)
14. She Does It Right(『Down By The Jetty』)
15. Bye Bye Johnny(チャック・ベリーのカヴァー)
<8日にアップしたセットリストもマネージャーが書いたものでしたが、
今日インタヴューした際に新たにもらったセットリストの曲名をそのまま載せて修正しました。
↑の文章も手直ししています。申し訳ありません。4月9日21時30分>


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コメント

こんにちは

ウィルコ、フジ以来ですね!
私は行けませんでしたが、フジと今回ではどちらが良かったでしょうか?

毎年夏フェスはいろんなアーティストが来ますね。
行川さんもフジやサマソニ、RSRなどフェス三昧ですか?
羨ましいです。

ズービーさん、書き込みありがとうございます。
フジは通称“東京フジロック”の98年のしか行ってないので一昨年のライヴは見ていません。いわゆるフェスものは強烈に見たいものがいくつかないと進んで観に行くことはないので、ここ数年行ってないです。まあホントは何も考えないでボーっとした感じで楽しみたいんですが、なかなかうまくいきません。
ちなみにウィルコ・ジョンソンのセットリスト等を手直ししました。

フェスは行かないのですか・・・
いろんなバンドが出るフェスだと、きっと新しい発見があると思いますよ。

ズービーさん、書き込みありがとうございます。
このブログで扱っているようなバンド/ミュージシャンが出るようなフェスだったら行きますが・・・、今までフェス行ってポジティヴな気持ちになったことがあまりないのが大きいです。
でもやっぱり守りには入りたくないので積極的な姿勢で臨むようにします。話をいただいた試写会は極力行くようにしているのもその一環です。
今日ブログで書いたアーロン・ネヴィルみたいに、普段縁がないような音楽にも発見ありますからね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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