なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BURZUM『Fallen』

burzum.jpg


ノルウェーの“独りブラック・メタル”のカリスマ。
刑期を終えた後の初のアルバムになった前作から1年後に出した新作。
“監獄レコーディング”の作品もリリースもされていたが、
塀の中では限界があって思うように音楽活動ができなかったことの反動か精力的な制作ペースである。


収監中の録音のアルバムを進化させた淡いアンビエント・チューンで幕を開け、
プリミティヴなパーカッションとアコースティックな弦楽器と声で締める構成。
その間の曲はいわゆるブラック・メタル・スタイルとは言える。
当然ブラック・メタル特有の噛みつかんばかりのスクリーミング・シャウトも披露し、
それもかなり骨っぽくて“覚悟”を決めていることを誇示しているが、
まろやかな歌声も目立っていて紳士的な語りも入ってくる。
歌心すら感じさせるところが逆に怖い。

ブラスト・ビートの嵐の曲もやっているとはいえファスト・パートは少なめで、
綴れ織っていくような曲が大半。
以前よりも構築的だから、
ある意味、より“ヘヴィ・メタルらしい”とすら言える。
だが初期みたいなノイジーな音ではないにもかかわらず残虐に研ぎ澄ましており、
耳を痛撃する音色に殺られる。
聴いているとこっちまで精神に変調をきたすと同時に精神安定ももたらすトーンも健在、
いやもっと深化している。

いわゆるNS(National Socialist)ブラック・メタルと言えるのかどうかわからないが、
映画『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』における
イスラエルのバンドが明かしたネオナチなエピソードなどを総合すると、
やはり“真性”だ。
極端でなければこういう響きは出てこない。

8ページのブックレットに載った歌詞は英語ではないから意味を調べるのは難儀だが、
アルバム・タイトルが珍しく英語なのは気になる。
残虐を超越していて
皆殺しの唄というよりは全編エレジーに聞こえる。
何かに対するアンチなんて意識を突き殺した念の凄みにたじろぐ。

“共犯者”を集めるためのお祭りみたいなオメデタイだけの音楽は気が滅入るばかりだ。
これは凍てついた肯定性で逆のベクトルへと覚醒させる。
後期JOY DIVISIONのようなものかもしれない。

突き詰めている者ならではのリリカルな調べは背筋が凍るほど美しい。
たとえ思想が論外で音が苦手だとしても戦慄を覚えるはず。
やっぱり別格である。


★BURZUM『Fallen』(BYELOBOG PRODUCTIONS BYE008CDS)CD
約48分7曲。
8ページのブックレット付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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