なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Omar Rodriguez Lopez関連の2作『どういたしまして』『Mantra Hiroshima』

MARS VOLTAの音楽頭脳である“多作家”
オマー・ロドリゲス・ロペス(g他)関連の日本にゆかりにあるタイトルの2作が日本盤でリリースされている。


SKMN-005_convert_20110509145638.jpg

『どういたしまして』は昨年9月のライヴを収めた約41分7曲入り。
Omar Rodriguez Lopez GROUP名義では1年ぶりのライヴ盤だが、
本作はまず昨年11月にダウンロードで発表された。
『どういたしまして』はいわゆる邦題ではなく、
オリジナル・タイトル自体が“どういたしまして”なのだ。

メンバーは以下のとおり
●ディーントニ・パークス(ds)
●ホアン・アルデレッテ(b)
●マルセル・ロドリゲス・ロペス(kbd)
●ラーズ・スタルフォース(kbd、サウンド・マニピュレーション)
●ヒメナ・サリニャーナ(vo)
●オマー・ロドリゲス・ロペス(g、kbs)

ディーントニとホアンはMARS VOLTAの一員になっており、
マルセルはオマーの弟で、
ラーズはプロデューサーとして知られ、
ヒメナはメキシコ出身のシンガー&女優である。
本作に近いメンバーで録音された2009年の『Solar Gambling』の曲が半数以上を占めるが、
未発表の一曲を含む。

本作では『Larks' Tongues In Aspic』~『Starless And Bible Black』の頃のKING CRIMSONを
SLY & The FAMILYSTONEがファックしたみたいな“ヘヴィ・ロック”を展開するが、
もっとシンプルだ。
ファンキー&スペーシーな音の中にダブも絡ませてギター・ソロなどのインタープレイも長めで、
いわゆるパンク・ムーヴメント以前の70年代ロックに通じる。
と同時にビョークに中米スパイスをまぶしたかのごとき伸びやかなヴォーカルが、
ポップなテイストも加えている。
ハードコア以降のアグレッシヴな感覚も内包しているが、
MARS VOLTA同様に“プログレッシヴなプログレ・ファン”の方もイケる思う。

研ぎ澄まされた音質というよりは微妙に土臭く、
中低音が目立つパーカッシヴな音ながらも丸みを帯びた音像で疲れない一枚。


SKMN-006_convert_20110509145757.jpg

もう一枚の『Mantra Hiroshima』はソロ名義での約41分のインスト9曲入り。
こちらも昨年11月にまずダウンロードで発表された音源。
オマーはギター、シンセサイザー、キーボードを演奏し、
上記のCDにも参加しているホアン・アルデレッテ(ds)と
HELLAのザック・ヒル(ds)が全面参加している。

ダブっぽいステップのベースも混ぜながらホアンは曲のペースをキープ。
シンプルなドラム・セットが目に浮かぶ音でザックの手数多く乾いたビートが走りまくる。
オマーは、
ローレン・マザケイン・コナーズがロックに挑んだみたいなジリジリしたギターと
縦横無人の鍵盤楽器で応戦する。

3人とも曲の中でほとんど音を止めていない。
あまりユニゾンになってないが、
好き勝手にやっていてもいつのまにか収斂している。
1分前後の曲と5分前後の曲の二刀流で進めていくが、
ラストは15分近くの“フリー・ジャズ・ロック”である。
凄まじいというよりはクールなパフォーマンスが印象的だ。

どの曲もオマーの中でサン・ラーの精が加速している。
ザックの多発ビートに呼応しながら
あくまでも悠然としたオマーの演奏。
我を抑えて我をおくゆかしく紡ぎ出す。
言葉がなくともマントラである。

と同時にゲゲゲの目玉親父っぽい画が描きこまれているジャケットなどのアートワークが象徴するように、
何気にポップなのもオマー流なのだ。


★オマー・ロドリゲス・ロペス・グループ『どういたしまして』(スリープウェル SKMN-005)CD
★オマー・ロドリゲス・ロペス『マントラ・ヒロシマ』(同 SKMN-006)CD
共にデジパック仕様。
余談だが、吉田達也+ナスノミツルと組んだオマーのレコーディングも聴いてみたくなった。


スポンサーサイト

コメント

オマーのソロ作品はずっとスルーしてたのですが最近やっと購入しました。何せ沢山ありすぎてどれを買おうか迷って(何となく)「マントラヒロシマ」を購入したのですが、やはりすごいですね。
初めてマーズヴォルタを聴いた時と同様、一撃必殺でヤラレました。
今までスルーしてた事を後悔しました。
あのドラム!渋いです。好き勝手やってるようですが最後はちゃんと帰って来るというか・・・。

ところで行川先生はプログレとかジャズロックなども好んで聴かれるのですか?

chumba さん、書き込みありがとうございます。
作品数が多い人は買うほうも迷いますが、特にオマーの場合、短期間で膨大な量を出しているので熱心なファン以外は選ばざるをえませんね。『マントラヒロシマ』はソロ作ではありますが、やはり“バンド”はドラムで決まります。
プログレやジャズ・ロックは、昔のバンドだったら有名どころはだいたい聴いています。KING CRIMSONは80年代までは入れ込みましたね。ジャーマン(クラウト)・ロックも有名どころはだいたいアルバム買っています。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/439-e8200ddd

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん