なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DECEMBERISTS『The King Is Dead』

TheKingIsDeadsmall.jpg


“現在進行形フォーク/カントリー・ロック・バンド”とも言いたくなる、
2000年にアメリカ北西部オレゴン州ポートランド産で結成された5人組の6枚目のアルバム。
今年1月に発売された本国でビルボードのアルバム・チャート1位に輝いているが、
アメリカの田舎臭さがイイ感じに染み出た一枚である。

メンバーの一人のクリス・ファンク(g他)はプロデューサーとして知られる人だ。
ポートランドつながりってことで、
RELAPSE Recordsからリリースされたばかりの
ヘヴィ・ロック・バンドRED FANGの『Murder The Mountain』も手掛けた。
こういう意外性のあるつながりは大歓迎だし、
単なるレイドバック・バンドじゃないという証拠である。
DVD『The Decemberists: A Practical Handbook』(2007年)を
ポリティカル/フェミニズム系のKILL ROCK STARS Recordsからリリースしているのも、
彼らの立ち居地の面白さを象徴している。


メンバーは以下のとおり。
●コリン・メロイ(アコースティック・ギター、テナー・ギター、ハーモニカ、パンプ・オルガン、ハーモニカ、バリトン・ギター、12弦アコースティック/エレクトリック・ギター、パーカッション)
●クリス・ファンク(ブズーキ、ペダル・スティール、オクターン・ギター)
●ジェニー・コンリー(アコーディオン、オルガン、ピアノ、エレクトリック・ピアノ)
●ネイト・クイアリ(ベース、チェロ)
●ジョン・モーエン(ドラムス、タンバリン、シェイカー)


フロントマンのコリンが一人で曲を書いていて今回は歌がメインのソングライティングだが、
アコースティックな楽器主体の多彩な音が艶やかに鳴り響くインスト・パートも比重も高い。
曲によって全員が参加してないのも特徴で、
前述のクリスが参加してない曲も半数近くある。
使える楽器の数が多いからこそ余計な音は入れない。
曲の表情を引き出すための最小限の音だけで作られているということだ。
まったりした曲も疾走する曲もパワフルなサウンドにびっくりする。

バンド名を、
1825年にロシアで起きた反乱事件“デカプリストの乱”の首謀者
Decemberists(十二月党員)から引用したというだけに、
歌詞も深い。
ほとんどはポリティカルではないしアメリカだなぁ~ってな内容とも言えるが、
長い曲は抑えてコンパクトなサイズに徹した今回の曲と同様に、
わかりやすい表現や言葉で深く表現することの素晴らしさもあらためて知る。
石原慎太郎みたいに難しい言葉を入れたがるのは尊大な上から目線の表れだったりするが、
フツーの人の目の高さで綴られているから心に響くのだ。
アルバム・タイトルをThe SMITHSの『Queen Is Dead』に引っ掛けたというのもうれしい。
彼らの痛烈なセンスが見て取れる。
USAにとってのkingとは何か……と考えるとまた音楽がふくらむ。

プロデュースはR.E.M.の最新作アルバム『Collapse Into Now』も録音したタッカー・マーティン。
ヴォーカルがちょっとマイケル・スタイプっぽいので、
R.E.M.に近いところもあるなぁ……というのはそれだけが理由ではなくて、
そのメンバーのピーター・バックが2曲でエレクトリック・ギター/バリトン・ギター、
1曲でマンドリンを弾いている。
シンガーソングライターのギリアン・ウェルチが5曲で歌い、
曲によってはヴァイオリン/フィドルもゲストが入れている。


日本盤にはGRATEFUL DEADの「Row Jimmy」のカヴァーが
アンコールみたいな感じでボーナス・トラックになっている。
これがまた7分近くの熱演だから聴きどころなのであった。


★ザ・ディセンバリスツ『ザ・キング・イズ・デッド~春夏秋冬』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-71079)CD
日本盤はボーナス・トラック1曲入りの約48分11曲入りのプラケース仕様。
本編の全曲に邦題が付いているのだが、
ほとんど直訳で曲の本質を捉えた重み十分のタイトルになっている。
今井スミによる歌詞の対訳も適宜<注>を注を付けた丁寧な和訳で、
赤尾美香執筆のライナーもわかりやすく深いつところを突いて良。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/442-7525190b

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん