なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Marianne Faithfull『Horses And High Heels』

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女優としても知られる英国出身のベテラン女性シンガーによる3年ぶりの新作。
レミーの一つ年下だから今年65歳と思われる。


女性ヴォーカルものはよく聴くが、
個人的に特別なシンガーが数人いる。
VELVET UNDERGROUNDとも絡んでいたニコが別格中の別格で、
最近だとPORTISHEADのべス・ギボンズが別格だったりする。

マリアンヌ・フェイスフルもその一人だった。
清純派だった頃のLPを集めたりもしたし、
ミック・ジャガーに捨てられて別人みたいな“しゃがれ声”と化した70年代末以降もチェックしていた。
90年の初来日公演も観に行って感動した。
でもそれから自分の中で少しずつ彼女がフェイドアウトしていった。

もちろん存在感十分だし一声出しただけで誰が歌っているかわかってしまう。
METALLICAの『Reload』(97年)も彼女が歌った1曲だけ突出していたのも象徴的だ。
だが若いアーティストとも積極的に絡む流れとして
オルタナ勢と組んでやった『Kissin' Time』(2002年)を聴き、
ぼくにはちょっと底が見えてしまった。
重く見えて“軽い”のだ。
そういう意味でパティ・スミスに近い。

それからはシンプルに単なる個性派の歌手として見ていくようになったが、
アグレッシヴな活動ぶりは健在で、
2007年の映画『Irina Palm(邦題:やわらかい手)』では“手コキ風俗嬢役”で主演。
女優としてもチャレンジ精神旺盛な人だと感心した。


遅ればせながらこのアルバムを買ったのは、
私的別格中の別格のルー・リード(元VELVET UNDERGROUND)が参加しているからでもある。
意外とあちこちに顔を出すことでも知られるルーだが、
デーモン・アルバーン(BLUR)によるGORILLAZの『Plastic Beach』にヴォーカルを入れた件よりは、
このアルバムでギターを弾いている方が意外性は少ない。
そういう縁もあるのか前作『Easy Come, Easy Go』に引き続き
ルー・リードとの仕事でも知られるハル・ウィナーがプロデュースした。

そのルーのギターは2曲のみだが、
特にギター・ソロが入る曲ではそこだけ圧倒的な磁場が生まれていてさすがと言うしかない。
元MC5のウェイン・クレイマーもパッと聴いてすぐわかるギターを弾いている。
他にはROXY MUSICでベースを弾いてThe SMITHSのプロデューサーとして知られる、
ジョン・ポーターも数曲でギターを弾いた。

ただしこのアルバムは基本的に固定メンバーでのロック・バンドで演奏され、
曲によって管楽器やヴァイオリンなどの弦楽器が加わる。

前作に引き続きカヴァーが7曲を占め、
ダスティ・スプリングフィールドの歌で知られBYRDSもやった
ジェリー・ゴフィン&キャロル・キングの曲「Goin’ Back」が聴きどころで、
他にレスリー・ダンカンやアラン・トゥーサンら曲をやっている。
オリジナル曲は5曲のみ。

大半を録ったニューオリンズのノリも出ており、
オルガンやピアノがポイントのリラックスした歌もの“ロックンロール”が大半。
マリアンヌ・フェイスフルの歌声は……フツーである。
聴けば聴くほど物寂しさにも似た複雑な思いが湧いてくる。
まあ歯ごたえはないが、
これはこれでいいのでは……と思うようにした。


★Marianne Faithfull『Horses AND High Heels』(LOVE DA LOVECD109)CD
12ページのブックレット付のデジパック仕様。


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コメント

私も大好きで買っていました。
こちらの品物は国内盤ですか??

ITOさん、書き込みありがとうございます。
ぼくが買ったCDは、ここで書いたカタログ・ナンバーの輸入盤です。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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