なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DIANE BIRCH『Bible Belt』

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米国のシンガーソングライターのデビュー・アルバム。

パンク/ハードコアのみならず女性ヴォーカルものも好きだが、
おんなの声が必ずしも武器になるとは限らない。
結局はミュージシャンシップの高さや表現欲求の強さによる。
声は嘘をつかない。
だからこれには殺られた。
久々にハマったリアル・メジャー・レーベル盤でもある。


ダイアン・バーチはミシガン州出身。
日本盤のライナーによれば80年代生まれらしいが、生年は不明だ。
アルバム・タイトルの由来になっていそうな牧師の父親の仕事の関係で、
幼少時にジンバブエ~南アフリカ~オーストラリアと移り住む。
米国に戻ってきたのは10歳の頃だが、
その時に抱いた周囲との違和感や疎外感が曲を書くモチーフのひとつと想像できる。

ダイアンのルックスには、
保守的な父親に反発していたティーンエイジャーの頃の名残がうかがえる。
JOY DIVISIONやCURE、SISTERS OF MERCY、CHRISTIAN DEATHなどに入れ込んでいたらしく、
そんな“ダークな香り”がヴィジュアルだけではなく音楽にも微妙に表われているのがポイント。
さらに彼女はジャズやサイケデリック・ミュージック、BEATLES、
そしてFLEETWOOD MAC(スティーヴィー・ニックスが加入する前と後の両方だと思われる)にのめりこむ。
もっとも小さな頃から教会で賛美歌を歌っていたらしく、
家でクラシックが流されていた影響でピアノも覚えていったという。
そういう子供の頃の生活が端整な作風の原点と言える。

モータウンの様々なアーティストからオーティス・レディングまでもが曲の中に生きているが、
凛とした語り口であくまでもしっとりとさらりと自分自身の“ソウル・ミュージック”を表現する。
曲によってはソングライティングがルー・リードやデイヴィッド・ボウイにも通じるのは、
彼らがくぐってきたR&Bも聴いているからだろう。
ローラ・ニーロやキャロル・キング、リッキー・リー・ジョーンズを思わせつつ、
ジョニ・ミッチェルやマレーネ・ディートリッヒまでもが頭に浮かぶ奥深さ。
ダイアンが現在拠点にしているニューヨーク録音ならではの都会的な洗練具合が耳に涼しい。
と同時にニューオリンズでもレコーディングしたことにより彼女の熱気も引き出されている。
まっすぐな表現があまりにもまぶしい。

レニー・ケイが3分の1の曲でエレクトリック・ギターを弾いているのも興味深い。
レコード・デビュー前から現在までずっとパティ・スミスの音楽的パートナーであり続け、
スザンヌ・ヴェガのプロデュースもしていたミュージシャンだ。
ダイアンは彼女たちに通じる面もあるが、もっと突き抜けた新世代。
ニューオリンズのファンク・バンドMETERSのジョージ・ポーターもベースを弾いている。

適宜ホーンなどの多彩な楽器が挿入されるとはいえシンプルだし、
ピアノの弾き語りがダイアンの基本スタイルということも重要。
完全な独演でもやれるシンガーソングライターなのである。
やや気だるげな太めの歌声の中にさりげなく意思が覗く。
育ちの良さも透けて見えるが、彼女のアクは鼓膜に引っかかる。
日本盤に追加された曲の「Cheap Ass Love」というタイトルに代表されるように、
お上品なだけで終わらぬ凛としたたくましさにも打たれるのだ。


●ダイアン・バーチ『バイブル・ベルト』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-66901)CD
繰り返し聴いても疲れない音作りも特筆したい。
やや大きめで品のいい質感の二つ折りの紙ジャケット仕様で8ページのブックレット付。
日本盤は2曲のボーナス・トラックや本編の歌詞と和訳が付いて至れり尽くせり。
これで税込み2200円は高くない。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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