なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

EXPLOITED『Punks Not Dead』『Troops Of Tomorrow』『Let’s Start A War』

英国北部スコットランドのエジンバラで70年代末に結成された、
“キング・オブ・UKパンク・バンド”の最初の3枚のオリジナル・アルバムが紙ジャケットで再発。
すべてライナーを書かせてもらいました。
例によって“プロフィールは前作のライナーを参照”という書き方はせずに全部まったく内容は違うが、
初めてEXPLOITEDを聴く人が一枚買っただけでも入りこみやすい内容にしています。

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『Punks Not Dead』
歴史的な81年のファースト・アルバム。
ロックンロールをベースにした70年代のパンク・ロックと
Oi!に代表される労働者階級のストリート・パンクをベースにした、
ハードコア・パンク誕生の瞬間の野蛮な息吹が充満して血湧き肉躍る。
たとえるなら今のアメリカのメタルコア勢の音よりも暴力衝動を掻き立てられる喧嘩っ早いサウンドだ。
粗削りのレコーディングであると同時にSEたくさんの作りもポイント。
以降のEXPLOITED自身の作品も含めて、
こういうサウンド・スタイルの“パンク・ロック・アルバ”ムは他にない。
むろん今でもライヴでやる曲多数。
最近シングルが再発されたPUNCTUREのカヴァーを収録したセンスでポイント倍増である。
81年までにリリースした4枚のEP/シングルの全10曲がボーナス・トラックだ。

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『Troops Of Tomorrow』
最高傑作と評するファンが多い82年のセカンド・アルバム。
この漫画ちっくなジャケットとメタリックな音は当時、
ぼくも含めてシリアスなハードコア・パンク・バンド好きの間での反応は“微妙”だった。
だが今となってみればこのジャケットはEXPLOITEDのキャラとアルバム・タイトルの絶妙なミックスだし、
音も今の耳ではそんなにメタリックでもなく以降のEXPLOITEDの音作りの原型がここで鳴っている。
やはり早すぎた。
問答無用の肉食ハードコア・パンク全開なのだ。
最先鋭パンク・ファッションでキメまくっていたバンドだが、
こざっぱりしたオシャレとは無縁。
当時UK SUBSの天才ドラマーのスティーヴ・ロバーツが大半の曲で叩いている。
アルバム・タイトル曲はVIBRATORSのカヴァーだし、
SLAYERがアイスTと組んで替え歌でメドレー・カヴァーした3曲も含み、
70’sパンク・ファンもスラッシュ・メタル・ファンもまとめて面倒見る太っ腹アルバム。
82年の出した2枚のシングルの全曲と3分割スプリット盤に提供した計5曲がボーナス・トラックだ。

ex3.jpg
『Let’s Start A War』
83年の重厚なサード・アルバム。
短期間だったとはいえフォークランド紛争直後の当時の世相がモロに表れたヘヴィな作品である。
シリアスなトーンはDISCHARGEやCONFLICTにも通じる、
いや同時期の作品だったら彼ら以上にヘヴィといっても過言ではない。
特にアルバム・タイトル・ナンバーは、
80年代も90年代も2000年代もライヴのオープニングを飾ることが多く、
政治家の宣戦布告を逆手に取ったような名曲だ。
初期EXPLOITEDの音の要で末期NIRVANAのギター・テク(ギター調整の仕事)も務めた、
ビッグ・ジョン・ダンカンが弾いた最後のアルバムでもある。
ジャケット画は有名になる前のパスヘッドによるものだが、
“すったもんだのエピソード”がプラスされているのもEXPLOITEDらしくて憎めない。
同時期にリリースしたEPの3曲がボーナス・トラック。

★★★★★★★★★★

DISCHARGEやCRASSに入れ込んでいたぼくにとって、
当時EXPLOITEDはプライオリティが低いバンドだった。
この後のLPもEPもリアル・タイムで買ってはいたが、
EXPLOITEDに対する思い入れはそれほどではなかった。
今に至るまでのポリティカルなDIYパンク・シーンが彼らに向ける視線みたいに低く見ていた。
要はわかってなかったのだが、91年の初来日公演を観て目覚めた。
DISCHARGEやCRASSもやONFLICTは今でも大好きだが、
今はEXPLOITEDでも燃えるし、
2009年の3度目の来日公演で原始的パワーの強さをあらためて思い知ったのだ。

BLACK FLAGのアナーキーともまた違った感じで、
CRASSが唱えたアナーキーよりもEXPLOITEDが吐く動物的な直感のアナーキーの方が今リアルに響く。
いわゆる活動家や市民運動家のバンドじゃない。
親と“援交”しているみたいな“おぼっちゃんバンド”じゃない。
養護施設育ちで最前線”も体験した軍人出身のワッティー(vo)は、
猪突猛進のヴォーカルで机上の空論インテリ/セレブを蹴り一発でデストロイ!する。
そんなアティテュードがぼくにとって“今居る場所”から突き抜けるエナジーになる。


★エクスプロイテッド『パンクス・ノット・デッド』(ESTADO EX-1)CD
約60分25曲入り。
★同『トゥループス・オブ・トゥモロー』(同 EX-2)CD
約52分14曲入り。
★同『レッツ・スタート・ア・ウォー』(同 EX-3)CD
約43分15曲入り。


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コメント

EXPLOITEDは『THE MASSACRE』しか持っていないのでそのイメージが強いですが好きなアルバムです。他の作品はほとんど聴いてないのでこの機会にチャレンジしてみます。2ndはスティーブ・ロバーツが参加しているという事も知らなかったのですごくソソられます。

chumbaさん、書き込みありがとうございます。
『THE MASSACRE』は個人的に起死回生のアルバムでした。EXPLOITEDは過小評価にも思うので(自分も以前そうだったから何となくそれもわかりますが)、名前は知っていても聴いたことがない方にもチャレンジしてみていただきたいです。

1stはアナログとCD合わせると3回買ってます(笑)80年代ぼくは10分テープに「PUNK'NOT DEAD」「USA」「DEAD CITIES」「RIVAL LEADERS」を入れて毎日聴いていました。確かにEXPLOITEDはSEを上手く使うバンドだと思います。「BEAT THE BASTARDS」でもとても効果的だったし、その後原点回帰したような感の「FUCK THE SYSTEM」のイントロSEもメッセージ突き刺さります。早く新作も聴きたいです。メンバーチェンジが個人的に全く気にならない珍しいバンドでもあります。

かくさん、書き込みありがとうございます。
ファースト、ぼくはSECRET盤のオリジナルLPとVAPレコードの日本盤を買いました。CDは今回のを含めて3
回日本盤のライナーを書いたからいただいています(初のライナーがこのファーストでした)。
10分テープにって話、いいですね。自家製EPみたいな。アルバムでSEを多用するのは、ヴォーカルのワッティーがパンク・ロックを聞く以前にSENSATIONAL ALEX HARVEY BANDのドラマチックな作風を好んでいた影響も大きいと思います。
そのワッティーのブレがなくて、メンバーの選定も厳格で音楽的にも厳しくて(だからチェンジ激しいのかも)、クオリティが保たれていると思います。アルバムをなかなか作らないのは「ツアーが楽しいし、なにせ俺らはlazyだからな!」とのこと。ワッティーも50才を越える年だと思うから、すごいなと思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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