なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DESPISE YOU/AGORAPHOBIC NOSEBLEED『And On And On…』

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アメリカ西海岸と東海岸の“高速バンド”同士のスプリット・アルバム。
どちらもブラスト・ビートを使ってきたとはいえ微妙にポジションが違っていたから
90年代の後半にはこの2つのバンドがスプリット盤、
しかもRELAPSE Recordsから出すなんてことは思いもしなかった。
ある意味シーンが狭くなっていることを実感する。


カリフォルニアのファスト・コア・バンドのDESPISE YOUは、
NO COMMENTをはじめとする90年代初頭のパワー・ヴァイオレンス勢の次に来たバンドだ。
これまでアルバムのリリースはなく7”レコードやオムニバスで多数の音源を発表してきたが。
今回提供した18曲は約10年ぶりの新録だ。

もちろん大半の曲が1分以内でややCROSSED OUT系のハードコア・コア・チューンが基本だが
曲によってグラインド・コアやデス・メタルやパンク・ロックも噛ませ、
DESPISE YOUにしては長い3分を越えるスロー・ナンバーで締める。
男臭いLAパンクのFEARの「I Don't Care About You」」もカヴァー。
音源集のCDは別として今までこれだけたくさんの曲を収めた作品を出してなかったバンドだけに、
ヴァラエティに富んだ構成で“パワー・アップ・デート”。
多少タイト&ヘヴィな音作りとはいえ、
RELAPSEちっくなカッチリした仕上がりとは一線を画している。
男性ヴォーカルが主体ながらも女性ヴォーカルもときおり叫ぶ歌詞は、
中東問題のキーワードも含みつつ断片をつなげたかのごとき抽象的な内容だが、
とりわけ“非常時”に犠牲となる子供と思しきアートワークの写真にフィットしている。


一方のAGORAPHOBIC NOSEBLEEDは、
マスタリング・エンジニアとしても活躍中のスコット・ハル(g)がPIG DESTROYER以前からやっている、
打ち込みグラインド・コア・バンドである。
最初と最後が長めのヘヴィ・スロー・チューンで、
最近のアルバムのように昔よりは長くなっている曲も多く、
うっすらとエレクトロニクスの音も絡めている。
ただし1分以内の曲は短期決戦のグラインド・コアで、
長めの曲をやるようになった成果で起伏が激しく、
ギターとベースが生演奏とはいえプログラミングならではの強迫的なビートがサディスティックだ。

歌詞は先ごろ亡くなったANAL CUNTのセス・プットナムも真っ青の“危険ネタ”は少なめだが、
動脈硬化を起こしそうなヘイト・フィーリングに磨きを掛けて根っこでウズウズしていることが
声でもわかる。
手垢にまみれたデス・ヴォイスとは違って太い芯が通った声。
敵が一つ二つじゃ済まないから虚空に向かって目いっぱい叫ぶ。
その奮闘ぶりが潔い。


★デスパイズ・ユー/アゴラフォビック・ノーズブリード『アンド・オン・アンド・オン…』(リラプス・ジャパン YSCY-1211)CD
“延々と、きりがない”というアルバム・タイトルにふさわしいアートワークの8ページのブックレット付。
日本仕様版には歌詞の和訳もプラスだ。


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コメント

このレビューは、各バンドに伝えてあげたいですね。実は、どちらのバンド昔から知ってましたが、聴いた事がありません。今回のレビューで聴きたいと思いました。基本的にパワーバイオレンスもゴアもパンクテイストが入っているものに惹かれます。グラインド/ノイズコアのANALCUNTはどの作品を聴いてもパンキッシュでしたね。パンクバンドも顔負けなパンクの「間」を持っていたと真剣に思っています。もう20年経つんですね。まだアルタにシカゴがあった頃(笑)、7インチの「ブラー(英語省略)」を買って5秒か6秒の「5songs」を聴いてヤラれました。数多く売ったレコードの中で今だに家に生き残っています。特に初期がパンキッシュでしたね。行川さんが、DOLLのノイズ特集で「初期リハーサル」を取り上げてるを見た時はニヤリ(笑)ドイツで番長も悲しんでるでしょう(T-T)

かくさん、書き込みありがとうございます。
DESPISE YOUは音源を買い集めていたので復活うれしいです。そう考えるとAGORAPHOBIC NOSEBLEEDは息が長いバンドですね。
ANAL CUNTに関しては思い入れが強くて、VHSのライヴ・ヴィデオを、確かPSYCHOのメンバーのレーベルに$を送って通販もしました。セスに手紙送っても返事は来ませんでしたが、音楽的な変遷も好きです。実際何もかもエクストリームな人のようで、曲名をはじめとしてセスのセンスも好きです。アルタのシスコにSLAP A HAMの7"EPも売ってたんですか!?
ところで「ドイツで番長も」の意味とは? スイマセン

あのVHSなんか今観たら涙しそうです(T-T)。必殺の「ゼロ秒」の曲もやってましたね。ALTAで買ったブツで覚えてるものを少し書いておきます。SORE THROAT/SID LP,CHAOTHIC DISCHORD/VERY FUCKIN BAD,確か、SONS OF BLUR…もだと思います。以上は記憶違いという事はないですね。ドイツの番長というよりドイツに移住した番長、7monです。同じくノイズ特集で行川さんが「初期Demo集」を取り上げてるのを見てニヤリ(笑)

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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