なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BETWEEN THE BURIED AND ME『The Parallax : Hypersleep Dialogues』

HWCY-1292_convert_20110620153026.jpg


アメリカ南東部のノース・カロライナを拠点にする
“メタル/ハードコア・プログレッシヴ・ロック・バンド”の2年ぶりの新作である。
次々とバンドが離れていくVICTORY Recordsで7年近く世話になった後に彼らも去り、
米国ではMETAL BLADE Recordsに移籍。
新録作品とはいえ約30分3曲入りという体裁だが、
アルバム級の濃さだ。
3曲共長い組曲風にもかかわらず米国ビルボードのアルバム・チャートに初登場54位というのも、
支持の層が広く厚いことを示している。

バンドとともに共同プロデュースしたのが、
90年代のKING CRIMSONや一連のTOOLのアルバム制作で知られる
デイヴィッド・ボトリルというのもハマりすぎだ。
2002年のファーストの『Between the Buried and Me』からプロデュースしてきた
ジェイミー・キングがミキシングとマスタリングを担当して、
今までの路線の音の仕上がりをキープしているところもポイントである。


2000年代の米国のメタルコアとプログレッシヴ・ロックのテクスチャーで展開するような路線を
さらに深化させている。
変拍子も叙情性もひっくるめて70年代から2000年代までのKING CRIMSONを、
ハードコアの流儀でふくらませていくみたいなのだ。
ところによってはブラスト・ビートも交えながらスラッシーに走ったかと思えば、
ドラムやベースだけではなくツイン・ギターの変則的なリズムでジャズ・ロックにも“変調”する。
もちろん演奏が上手くなければこういう曲はできないが、
いい意味でテクニカルに聞こえないのは根がプログレではなくメタル・ハードコアだからであろう。
小難しく聞こえないし、
トリッキーにも聞こえないナチュラルでツボを心得た曲作りも見事。
最近のアルバムよりも激度が高めの作りで、
展開が忙しめだから一種のカオティック・ハードコアとしても楽しめる。

ハードコア怒号ヴォーカル主体で
デリケイトにメロディアスな歌唱にもスムーズな転換をする。
適宜弾くキーボードを弾きながら一人のシンガーが全部歌っているのだ。
歌詞はファンタジックなSF的ストーリーにも思えるが、
実は普遍的でありリアリスティック。
根がタフ・ガイみたいにブルータルではないことを象徴する思索的な歌詞だが、
ニュースクール・ハードコア直系のストイックなメンタリティを内包している。

さらに広いフィールドにアピールしてしかるべき、
現在進行形のプログレとして楽しむのもいい佳作だ。


★ビトゥィーン・ザ・バリィド・アンド・ミー『ザ・パラレックス:ハイパースリープ・ダイアローグ』(ハウリング・ブル HWCY-1292)CD
特異なヴォーカル・スタイルだと一人称は“私”だけではなく“俺”がベターな箇所も多いが、
内ジャケットに載っている歌詞の文字が小さく言葉数たくさんから
その和訳が付いているのはありがたい。


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コメント

『KING CRIMSONをハードコアの流儀でふくらませた』という所でかなりシビレ上がりました。
個人的にKING CRIMSONから受けた影響は大きいので(特にEARTH BOUNDはヤラレました)思い入れも強く、今回のようなレビューを読むと即座に反応してしまいます。イタリアのAREAやスイスのCIRCUS等の変拍子を多用したテクニカルなプログレにも入れ込んでた時期がありましたが、衝撃が違いました。
今回紹介されているバンドは全然知らなかったです。これはもうぜひチェックします。
今回も刺激的な作品紹介ありがとうございます。

chumbaさん、書き込みありがとうございます。
もちろんモダンな音なので70年代命!な人にはあわないかもしれませんが、ヘヴィ・ミュージック大好きな現代っ子のプログレ解釈みたいな感じでたのもしいです。
昔むさぼるように聴いたKING CRIMSONは普段接することはなくなっていますが、ロバート・フリップのコンセプトを無視するかのように他のメンバーが暴れているライヴの『Earthbound』は今でも興奮すると思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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