なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

IN FLAMES『Sounds Of A Playground Fading』

IN FLAMES_album cover_S


2000年代以降の米国のメタル・ハードコアにも影響力が大きい
スウェーデンのゴセンバーグを拠点とする“メロディック・デス・メタル系バンド”の10作目。
96年発表のセカンド『The Jester Race』から出してきたNUCLEAR BLAST Recordsを離れ、
CENTURY MEDIA Recordsからのリリースだ。

バンドの創始者イエスパー・ストラムブラード(g)が健康面とプライヴェイトな事情で脱退。
オリジナル・メンバーが不在になったが、
そのことで逆にバンド内が一丸になって引き締まったかのようなアルバムだ。


アルバムだとセカンドの)からメンバーになった
ビョーン・イエロッテ(g)とアンダース・フリーデン(vo)が鉄壁のソングライティングを敢行。
ファスト・チューンは少なめでミディアム・テンポとはいえ、
焦点を絞り切っているにもかかわらずヴァラエティに富む楽曲にうならされる。
他のジャンル名を当てはめようもないから便宜上そう呼ばれるが、
ずっと前から似合わない“メロディック・デス・メタル”という言葉は今回もド真ん中ではない。
だが、あらためてIN FLAMESが唯一無二の個性を放っていて影響力が大きいバンドだと再認識した。
コンパクトにまとまった楽曲ながらも彼らの意識がそうさせるのであろうスケールが大きい。

これまでもたびたびIN FLAMESをサポートしてきたニコラス・エンゲリンが
もう一人のギタリストとして加入したが、
本作のレコーディングでのギター・パートはすべてビョーンが弾いている。
むろんギター・ソロも入れるとはいえ美麗旋律の嵐!というわけではなく、
ハードなリズム・ギター主体で進めつつ曲重視でポイントを押さえてギター・ソロを挿入する。
エッジの立ったギター・リフが、
ゴリゴリで意外と音が大きいベースとタイトで意外と跳ねるドラムの歯切れのいいビートや、
ゲスト・ミュージシャンによるDEPECHE MODE風のキーボード/プログラミングの音と相まって、
独特のリズムで曲が進行。
IN FLAMESはこの“まったり感”がたまらないのだ。


デス・ヴォイスともクリーン・ヴォイスとも言いがたいナチュラル・ヴォイスのアンダースは、
以前よりもメロディアスな歌唱が目立つ。
今回いつになくソングライティングの最初の段階から歌メロ作りに関わっていたことが大きいようだ。
ただしメロディアスといっても一般のヘヴィ・メタルや歌もの音楽の基準からいけば
十分にdeathなヴォーカルだろう。
それにしても生々しいイイ歌い手になってきたものだアンダースは。

初来日時に『炎』誌でインタヴューしたとき開口一番「部数は?」と言ってきて、
“なんだコイツ!”と思った記憶がある。
けどアンダースはけっこう色々興味深い発言をする人だ。
数年前にインタヴューしたとき、
「アメリカのバンドは誰がなんと思おうが気にしないでやる。
ヨーロッパのバンドはバランスを考えてやる」みたいな、
音楽だけでなく一般論としても当てはまることを言っていた。
ハードコアでもメタルでも高尚なメッセージを垂れる一方でアメリカのバンドがやっていることは、
結局根の意識がそんなふうにジョージ・ブッシュと同じだったりすることがよくあるのだ。
アンダースはバランスの取れた価値観とセンスで共同プロデューサーとしても本作に貢献している。


IN FLAMESみたいなバンドが“フジロック”や“サマソニ”に出演するような日が来れば、
日本も“メタル差別”の状況が変わってきたと思える。
ビョーンも最近のインタヴューで「メタル以外のオーディエンスも獲得したい」と言っている。
ヘヴィ・メタル・ファンはもちろんこと、
実際いい意味で幅広いロック・ファンにもアピールする佳作だ。


★イン・フレイムス『サウンズ・オブ・ア・プレイグラウンド・フェイディング』(よしもとアール・アンド・シー YRCG-90061)CD
16ページのブックレット付。
日本盤は本編収録曲「Deliver Us」のインスト・ヴァージョンと歌詞の和訳を追加し、
三方背ボックス仕様で大型ポスター封入。


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コメント

大好きなバンドの一つです。毎度毎度の初回限定も楽しみです。
メタルにハードコア通過型のバンドはインフレイムスぐらいだと思います。
楽しみです♪♪

ITOさん、書き込みありがとうございます。
有名になってもイケてないメンバーのヴィジュアルもポイントです。ギスギスしてないのもスウェーデンならではかも。

>>IN FLAMESみたいなバンドが“フジロック”や“サマソニ”に出演するような日が来れば、

でも行川さんはフェスは行かないんですよね。
インビが出ないからですか?

お前は山崎智ちゃんだろ!(笑)

VITOさん、山ちゃん大好きさん、書きこみありがとうございます。
行くかどうかはその時々の自分の状況と気分しだいですね。実際、今年のサマソニも<POP GROUPの今>を複雑な思いで見届けるべきか悩んでいます。

感動!!

 初めてコメントさせて頂きます。つい先程まで「炎」1998年5月号、行川さんの「裏正統派!」の記事を懐かしく読んでいた所でした。今回のニューアルバムをどう思っているのかなあ?と思っていた所、偶然このブログを発見してびっくりしたのと同時に、IN FLAMESについて高く評価をされており、嬉しくなり書きこんだ次第です。今回は音楽性は全く違うものの、初期作品を初めて聴いたときの感情を思い出しました。常に新たな世界感を示す彼等をリスペクトします。行川さん、今後も彼等に対する力強いフォローをどうかお願いします!!

jamezyさん、書き込みありがとうございます。
炎はいい雑誌でしたね。自分の中の埋もれた部分を開拓してくれました。
IN FLAMESはずっと好きです。まったりしたところが、やっぱりいいんですね。表面的には変わったと見られそうですが、正直に音楽をやっている限り変わってないのです。たぶん一番とげとげしい(だからこそデリケイトな)リーダーが抜けて、これはこれでナイス!な方向性で、やっぱり自然なのですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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