なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Peter Murphy『Ninth』

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BAUHAUSのシンガーとして知られるピーター・マーフィーが7年ぶりに出した9作目。
いや、もう完全に“元”と言った方がいいのかもしれない。
制作中も仲たがいしてまた分裂したBAUHAUSの復活作『Go Away White』(2008年)の何倍も、
生き生きしているのだから。


曲によってハードorポップor耽美なテイストも内包するパワフルなロック・サウンドだから
80年代のソロ・アルバムを思わせる。
やっぱり少なくてもソロだと“王道”が似合う人だ。
BAUHAUSを思わせるスロー・ナンバーも含むが、
むろんあくまでもヴォーカルを前面に出している。

と同時にバンド編成によるレコーディングで楽器の音も引っ込めないバランスだからダイナミック。
適度に手数の多いドラムと適度にソリッドなギターと適度に麗しい鍵盤楽器もナイス!なサポートだ。
ギターは90年代に入ってからのMISSIONで弾いてきたマーク・スウェイト、
ドラムはQUEENS OF THE STONE AGEの『Rated R』で叩いていたニック・ルチェーロで、
共にポール・レイヴンがKILLING JOKEと並行してやっていたMOB RESEARCHのメンバーだった。
そういうキャリアも納得のツポを心得た演奏なのである。


『Idiot』『Lust For Life』に代表される非パンクな音のときのイギー・ポップと
デイヴィッド・ボウイの流れをくむピーター・マーフィーの歌声も当然健在。
解散間際だった83年のBAUHAUSの初来日公演は個人的に一生忘れられないライヴの一つだし、
あのときのステージングだけでなく後のソロ・ライヴも楽しんできただけに、
このヴォーカルには抗しがたい魅力がある。

摩擦や軋轢も耐えなかった他のメンバーとの緊張感の中で歌っていたBAUHAUSでの歌唱と違う、
優雅な佇まいがますます増している。
繊細なアーティストだが、
“決して堕とせない美学”を背負っているシンガーだからこその強さを秘めている。
そういう点では故ロニー・ジェイムズ・ディオにも通じるのだ。


ファンは間違いなく買い!の一枚。


★ピーター・マーフィー『ナインス』(インペリアル TECI-24662)CD
16ページのブックレット付。
日本盤は、
歌詞の和訳とボーナス・トラック「Gaslit」を追加の約51分12曲入りで、
シングル「I Spit Roses」のPVのメイキング映像(日本語字幕は無し)がPCで数分見られる。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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