なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AMEBIX『Knights Of The Black Sun』

amebix_knights_of_the_black_sun.jpg


復活AMEBIXの新曲音盤第一弾。
メンバーは昨年のリメイク作『Redux』と同じで、
ロブ[ザ・バロン]ミラー(vo、)とスティグ・C・ミラー(g)というオリジナル・メンバーに、
ニューヨークのアナーキスト系クラスト・ハードコア・バンドNAUSEAの後期ドラマーで
SOULFLYのオリジナル・メンバーだったロイ・マヨルガ(ds、kbd)である。


レコードの方は6分近くの「Knights Of The Black Sun」の1曲入りで、
秋にリリースされるアルバムからの“シングル・カット”といった様相。
もう片面は刀鍛冶職人のバロンならではと言える仕上がりの“AMEBIX顔マーク”のエッチングで、
音は入ってない。
インナー・シートの類は封入されていないが、
ひとつのトータル・ワークとして完成されている。


ただそういった作りでも別にいいのだが
DIY系のパンク/ハードコア・バンドのレコードを普段買っている人だけではなく一般の音楽ファンでも、
この体裁のレコードの値段を高く感じるのではないだろうか。
リリース元のPROFANE EXISTENCEから直接買っても、
レコード本体が12ドルなのは百歩譲っても日本まで送るとなると送料が15ドル弱で、
トータル27ドル弱。
さすがにザ・クロマニヨンズのLPよりはずっと安いが、
やはり腑に落ちない。

とあるジャズ系の米国のレーベルから二つ折りジャケットの重量盤2枚組LP(16ドル)を買ったとき、
送料7ドルだった(1週間程度で到着)。
ぼくの経験上そのレーベルは格安の送料とはいえPROFANE EXISTENCEは高すぎないか。
実際「レコードは安く売れ!」「金儲け主義反対!」と力説しているかどうか確認はしてないが、
アナーキストなイメージの強いDIYレーベルとしても老舗のPROFANE EXISTENCEだけに、
考えさせられた。

EL ZINE誌 Vol.9に掲載されたPROFANE EXISTENCEの主宰者のインタヴューによれば、
「(以前から)AMEBIXが支援を必要としているなら俺がやるよ」とバロンに伝えていたらしい。
『Redux』のリリースが決まったというのも、
PROFANE EXISTENCEが唯一のアルバムを出したNAUSEAに在籍していたロイからの影響もあって、
バロンがリリースを決めたのではないかとも言っている。
ロイが昔も世話になったから引き続き・・・と思ったのか、
2000年代後半に経済的に厳しくなっていたPROFANE EXISTENCEを救済しようと思ったのか。
今回のレコードも経済的にレーベルを支援しようという意図があるのか、
PROFANE EXISTENCEがリリースする他のバンドのLP(アルバム)よりも高い値段になっている。

むろん安ければいいわけではない。
いくら30曲入っているアルバムや30バンド入っているオムニバス盤で安価だとしても、
数だけ揃えたようなのは底が見える。
安っぽく見られるからか「安い値段で売られたくない」と言う日本のハードコア・パンク・バンドもいた。
実際グレイトなものだったら相応の対価が支払われるべきだ。
たとえばぼくだったらルー・リードのライヴに8000円出しても惜しくはないから。


いきなり物言いをつけてしまったが、
何度も何度も針を落としてしまった。
こんなに何度も何度も短時間にレコード針を落としたのは何年ぶりだろうか。
むろんいいところを探すために繰り返し繰り返し耳を傾けたわけではない。
あまりにもカッコいいからだ。
1曲をじっくり聴かせるためにこのフォーマットで発表した…と言われたとしても説得力がある。
12”レコードに1曲収録という、
ぼくが知る限り最高に彫りが深い音が再生されるフォーマットならではのダイナミックな音像なのだ。

KILLING JOKEでいえば『Night Time』(85年)の「Love Like A Blood」以外の路線のような佇まい。
ジャケットの紙質も当時のKILLNG JOKEのアルバムと酷似しているのは偶然だろうか。
80年代半ばに活動停止する前の87年に出した『Monolith』の次に来る作品が24年を経て遂に登場…
と言うべき空気感である。
レコーディングは2010年11月にAMEBIXの本国のイギリスで敢行。
録音とミックスとプロデュースは『Redux』に引き続きロイが手がけている。
そのためかクラスティーなテイストはゼロと言えるが、
その代わり非常に研ぎ澄まされている。
歌心に磨きをかけたロンのヴォーカルもクール極まりない。
レミーとタイマン張れる渋みにとろける。

84年の12”EP『Sanctuary』の27年後の光景にも思えるジャケットにふさわしい調べが、
ぼくには肯定的に思える。
聴いていると力が湧いてくる。
大きなフィールドに切り込んでいくエナジーがじわじわと迫ってくる。

やはりファンの方は無くなる前に迷わず買いだ。


★AMEBIX『Knights Of The Black Sun』(PROFANE EXISTENCE Exist122)12”
限定2000枚で、
ぼくが買ったレコードにはミュージック・ヴィデオがダウンロードできる
クーポンが封入されていた。


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コメント

共感出来る内容が多大ありました。こういう内容の文章、久々にみました。

ex.GRIFFINの射延氏を思いだしました。

ITOさん、書き込みありがとうございます。
思い出す人が意外性あって鋭いです。射延さんも面白い存在なので地道にソングライティングとライヴを続けてほしいです。

ルーリードのライブに8000円。ぼくは個人的に「BLUE MASK」(1番好きです)含めたクワイン氏在籍時のライブ音源をもっと聴きたいです。リチャードヘルのライブ聴いても痺れます。クワイン氏ファンでもあります。ルーリードのギターにも今だにヤラれます…。ぼくも、自分で値段設定出来るアーティストはやっぱりいます。値段相応な。そういうのって音楽ファンにはありますよね。今回のAMEBIXですが、ぼくはてっきり前作のようにすぐCDも出るんじゃないかと思って待ってましたが、今回はアナログオンリーな事を知って、エッチングもやっぱり捨て難く買う事にしました。ANTISECT再結成らしいですね。やっぱり期待したいのが本音です。関係ありませんが、80年代女スターリンと言われたナースも再発されるみたいですね。1stソノシートに初期衝動が爆発してたのを覚えていますが、それももう手元にないのでまた聴きたいです。

かくさん、書き込みありがとうございます。
クワインはソロ作を探してるところです。ヴェルヴェッツの秘蔵ライヴ音源CDがVol.1以降は、彼が亡くなったからもう出ないのでしょうね。
ルーはギタリストとしても注目されてほしいです。ジョン・ゾーンやローリー・アンダーソンとやったみたいなインプロヴィゼイションものをもっと出してほしいです。最近出たDVDも、まだ見てませんが、有名曲ばかりのポピュラーな内容かもしれません。
AMEBIX、アルバムに入るのと同じものだったらCDは出さないでしょう。やっぱりマニア向けですね。
ANTISECTは再結成したから7"再発されたのでしょう。
ナース、特にファーストは世界的に見ても激レアな女性だけのハードコア・パンクでしたね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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