なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー』

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80年代の半ばから90年代いっぱいまで英国のシーンを代表するインディ・レーベルだった、
CREATION Recordsのドキュメンタリー。
関係者の証言とバンドの演奏映像で構成。
出演している主な関係者は以下のとおりだ。

レーベル・オーナーのアラン・マッギー(BIFF BANG POW!)
ジョー・フォスター(共同経営者)
ノエル・ギャラガー(OASIS)
ボビー・ギレスピー(PRIMAL SCREAM、元JESUS and MARY CHAIN)
ジム・リード(JESUS and MARY CHAIN)
ケヴィン・シールズ(MY BLOODY VALENTINE)
ノーマン・ブレイク(TEENAGE FANCLUB)
グリフ・リーズ(SUPER FURRY ANIMALS)
アンディ・ベル(RIDE)
マーク・ガードナー(RIDE)
ガイ・チャドウィック(HOUSE OF LOVE)
元HUSKER DUのボブ・モールド(SUGAR)
この他にSWERVEDRIVER、BOO RADLEYS、SLOWDIVEらも顔を出している。

自ら出資してこの映画を作った監督のダニー・オコナーは、
2004年にBBC Radio『ビフ・パン・パウ! ザ・ストーリー・オブ・クリエイション』を手がけており、
それを気に入った主宰者アラン・マッギー(↓の画像の人物)が映画作りにGO!サインを出したのである。

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パンク・ムーヴメントに影響を受けてレーベルがスタートしたのは83年だが、
この映画のタイトルにもなったJESUS and MARY CHAINの85年のデビュー・シングルで発火。
イギリスのシーン的には、
ポスト・パンク/ニューウェイヴから“UKロック”と呼ばれるものへの橋渡しをしたレーベルと言える。
やっぱりオールド・ロックと切り離されていて70年代のパンク・ロックから派生したバンドたちだ。

だから、
パンク・ロックから派生したもう一つの流れのハードコア・パンクやグラインド・コアに入れ込みながら、
当時ぼくもCREATION Recordsものも有名どころはチェックしていた。
アルバムを買うだけでなくシングルもよくチェックしていて、
振り返ってみれば初来日公演もけっこう観に行っている。

シングル1枚でCREATIONを離れたバンドとはいえ
当時の来日ライヴとしては異例の短さの45分足らずの
JESUS and MARY CHAINのグレイト・ライヴも観た
(たぶん87年。前座のD’f[後にウルフルズをやるウルフルケイスケ在籍]の方が長かった気が)。
PRIMAL SCREAMの初来日公演にも行った(たぶん90年)。
『Primal Scream』(89年)のガレージ・ロックンロールな曲中心で、
『Screamadelica』に入る「Loaded」と「Slip Inside This House」も既にやっていて、
興奮して13th FLOOR ELEVATORSのファーストのジャケ風のTシャツまで買ってしまった。

けど『Screamadelica』(91年)直後のPRIMAL SCREAMの来日公演(たぶん91年)を観て、
こりゃダメだと。
シングルもマメに買っていたRIDEの初来日公演を続けざまに観て
(確か場所はNHKホールで92年・・・間違っていたらゴメンナサイ)、
“もうこういうバンドのレコード/CDやライヴをいちいちフォローするのはやめよう”と思った。
既に灰野敬二に入れ込んでいたから、
RIDEにしてもMY BLOODY VALENTINEにしても
轟音!といったところで“お子様ランチ”にしか聞こえなかった
(今はどちらも“別モノ”としてそれなりに楽しめる)。
OASISの初来日公演を渋谷クアトロで観たのが最後のCREATION Recordsもの・・・、
いやPRIMAL SCREAMを“東京フジロック(98年)”で観て途中退場したのが最後だ。

JESUS and MARY CHAINやHOUSE OF LOVEなど今でも楽しめるバンドもあるが、
自分から聴くことがないバンドがほとんどになってしまった。

ストレート・エッジほど極端なものでなくても80年代後半以降ますますストイックな方向性に進んだり
音楽的にはより過激になったハードコアにますます入れ込み、
デス・メタルをはじめとしてメタルを前より聴くようになり、
ノイズやインプロヴィゼイションものを聴くようになったのも大きい。
よりエクストリームなものを求めるようになるとCREATION Recordsものでは物足りなった。

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CREATION Recordsは、
90年代以降に“UKロック”と呼ばれるものの基礎を築いたレーベルといっても過言ではない。
そのへんのほとんどものは個人的に
グダグダ、ウダウダしたムードにウンザリしてNGとなってしまった。
90年代以降に英国でパンク/ハードコアがホントにアンダーグラウンドなものになったのも、
このへんのUKシーン全体と関係があるとも思っているし、
CREATIONの関係者やバンドの赤裸々な会話や赤くなった顔からそういったことが匂ってくる映画だ。、
いわば草食にも肉食にも成り切れないグダグダ、ウダウダした精神性が
関係者の話だけではなく音楽や演奏シーンも含む全体の映像から圧倒的なほど伝わってくる。
CREATION Recordsの音楽特有のストレンジなスピード感が全体を貫いているのも特筆すべきところだ。
映画はウソつかない。

映画で何度も話題になっているように、
とにかくエクスタシーをはじめとするドラッグ漬けだったようである。
CREATION Recordsのバンドの音楽性にも少なからず影響したとみんな認める。
それでも個性豊かでアイデアいっぱいのバンドは残ったが、
レーベル自体は堕ちていった。
崩壊の原因ははっきりとは明かされてないが、
大メジャーのソニーと手を組まざるを得なくなったことで推して知るべしだろう。

だが、ただハイになっているだけでは進まない。
オーナーのアランの人を信じる姿勢と音楽に対する情熱と積極的な行動力でシーンを変えた。
以下の言葉がCREATION Recordの歩みを象徴していると思う。

「ぼくらはバンドよりも異常だった。6年間もパーティーを続けていたんだ」(アラン・マッギー)
「ロックンロールに情熱のない人が入ってきた」(ボビー・ギレスピー)


★映画『アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー』
シアターN渋谷にて8月27日(土)よりロードショー!
ヒューマントラストシネマ有楽町 他、全国順次公開
http://www.udcrs.net/
© Document Films 2010


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コメント

かなり濃そうなドキュメントですね。ファクトリーのは何か見る前から少しわかってしまう感じですが。ラモーンズの「END OF THE CENTURY」やった時もジョニーが「暗いドキュメントだ」なんて言ってるのを覚えてますが、このクリエイションもそんな匂いがするのはぼくだけでしょうか。今日の音楽の世界にさえ影響を放っているレーベルだと思います。一枚のクオリティが高かったですね。ジャケも含めトータルで。今でも聴いているクリエイションの一枚で、NIKKI SUDDENと一緒に、JACOBITESをやってたDAVE KUSWORTHの「ALL HEARTBREAK STORIES」です。アコギ主体のソロですが、草食にすらなってなく絶食系とでも言いたい内容です。当時、FIRE RECORDSなんかが出て来て、CLOSE LOBSTERSやROSE OF AVALANCHEにも夢中になりましたが、クオリティではクリエイションには敵わなかったですね。ぼくも、灰野さんのお話じゃないですが、うるさいノイズとかも聴いてたんで、JESUSもRIDEもどこがうるさいのか解りませんでした。でもやっぱりRIDEは好きで、今もたまに聴きます。この辺のUKバンドにも影響を受けてるENGINEERSっていう現行バンドはかなり好きです。またシアターNで嬉しいです(笑)

かくさん、書き込みありがとうございます。
確かに、ファクトリー・レコードが純潔とは言いませんが、クリエイションはいかがわしい匂いがぷんぷんします。古典的な世で言う不良とかのイメージではないですが、今回載せた画像の面構えもみんなふてぶてしいですからね。同時代のアメリカのオルタナが健康的にすら見えます。ネタバレになるから書きませんが、ノエル・ギャラガーが初めてクリエイションの事務所に行ったときの冒頭の話も、朽ちてたんだなと思わされます。
色々チェックされていますね・・・知らないものはチェックしてみたいと思います。ROSE OF AVALANCHEは当時大好きで12”シングルもけっこう買いました。
シアターNは支配人がDOLL大好き人間でプリミティヴなパンク気質なので、「シアターNに行けばナニかある!」という映画館になっていて、素敵です。

最近もあるショップの店長さんとお話する機会があったのですが、DOLLの影響は計り知れないです。(当たり前なんですが)とあるレコード屋さんはDOLLがなくなって困っていました。シアターNは渋谷のアウトサイドにあって、あの辺の雰囲気も好きです(笑)「朽ちていた…」。早く観たい!楽しみが増えました。ROSE OF AVALANCHEの「ALWAYS THERE」は名曲ですね。元気が出ます。

かくさん、書き込みありがとうございます。
なんだかんだいっても影響はあったんでしょうね。なくなってからパンク/ハードコアの中をはじめとして、ますます分かれてきてしまっている感もあります、ライヴのメンツでもそう思いますし。たとえばDIIY系のパンク/ハードコア・バンドとRELAPSE周辺のバンドを聞く人がますます分かれてきているような・・・でもその両者をミックスしたようなバンドも出てきていて、自分で探求する人も増えているのかもしれません。
そういえば「絶食系」って名言ですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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