なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GENTLEMANS PISTOLS『At Her Majesty’s Pleasure』

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ブリティッシュ・ロックの伝統風味たっぷりの
イギリスの現在進行形ハード・ロック・バンドが約4年ぶりに出したセカンド。
本国ではリー・ドリアン(元NAPALM DEATH、現CATHEDRAL)のレーベルの
RISE ABOVE Recordsからリリースされている。
ビル・スティア(元NAPALM DEATH~CARCASS、現FIREBIRD)が加入というのも話題だが、
これまたオイシイ作品だ。

ヴォーカル/ギターのジェイムズ・アトキンソンはファスト・コア・バンドのVOORHEESのギタリストだった。
パワー・ヴァイオレンス一派やDROPDEADなどのUS勢へのUKからの回答みたいなサウンドで、
90年代から2000年代にかけてDIYな活動していて膨大な音源を発表していた。
それだけにこの転進には驚かされもしたが、
個人的にはイマイチ入れ込めなかったVOORHEESの百万倍突き抜けたまっすぐな表現だ。
他のメンバーの影響も大きかったと思われるとはいえ同期の米国ファスト・コア勢と続けて聴くと、
足腰が弱くメッセージ先行気味でイキ切れなかったから、
こういう潤いの“ハード・ロック”の方向性に進んだのも自然な流れと言える。

そもそもVOORHEESはDYS、SSD、NEGATIVE FX、GANG GREEN、JERRY'S KIDSといった、
ブリティッシュな音の“ロック魂”もあふれる初期ボストン・ハードコア勢をカヴァーしていたから、
このサウンドの感覚でも不思議はない。
ビル・スティアにしてもそうだが、
今面白いことをやっているヘヴィ・メタル・バンドはどこかしらハードコア・パンクとリンクしている。
キワモノ&ジョークっぽいバンド名からしてパンクだし、
それでいて実は真剣に肉体を使って音楽に取り組み、
ゆるいロックンロール・フィーリングで共振している。

若干のブルース・テイストが効いてフックも効いたソングライティングが冴え、
LED ZEPPELINとBLACK SABBATHとMOTORHEADとジミ・ヘンドリックスの接点を
ロックンロール・テイストでコンパクトに現代化したようなサウンドだ。
気の抜けたビールみたいなんじゃなくてピリリと神経に響く。
抜けのいいドラムをはじめとして小気味いい音がなんともリズミカルでクラブに投下してほしいほどだし、
ツイン・ギターも妖しく交わってビルによるものと思しき麗しいギター・ソロもナチュラルだ。
なんたって音楽に心を込めている。
ちゃんと耳を傾ければそういういちばん大切なことがわかるもの。

GENTLEMANS PISTOLSで本格的にヴェーカルに取り組んだ思われるジェイムズだが、
線の細さを強みとしつつ、
MOTORHEADのレミーHIGH ON FIREのマット・パイクをはじめとして、
元来シンガーではなく演奏メインのミュージシャンが歌い始めた喉ならではの味わい。
巧いではなく旨い。
カッコつけたわざとらしい歌い方はサヨウナラ。
だから歌いっぷりがいい。
そんでもってデリケイトな歌心たんまりなんである。
やっぱり歌詞の大半は政治的とかではなく“俺とお前”の関係。
結局そこからしか物事は始まらないから。

じっくりと耳で噛みしめたい一枚。
本物に古いも新しいもない。


★ジェントルマンズ・ピストルズ『アット・ハー・マジェスティーズ・プレジャー』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10006)CD
日本盤は本編の歌詞の和訳付でボーナス・トラック1曲追加の約54分13曲入り。


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コメント

たまたま出てきたが

「巧いではなく旨い」
この表現が「上手い!」
そういうアウトプットすばらしいし、そういうテイストも好きですな。

バンド名で検索したら・・・さん、書き込みありがとうございます。
こだわっている言葉の違いなので気づいていただけてうれしいです。雑誌で編集者に勝手に手直されて激怒したこともあります。言葉は一つ一つ、漢字、ひらがな、カタカナ、すごく気をつけて使っているんです。だから書くのに時間がかかって疲れて、さらに文が崩れてしまうこともあるんですけど。
全般的に巧い音楽より旨い音楽が好きです。「巧い」と書くことで、“でも味気ない音楽”という思いを込めることもあるぐらいです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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