なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

JUGGLING JUGULARS『80 Millions Barrels』

JUGGLING JUGULARS


80年代末からフィンランドを拠点に地道な活動をしているアナーコ・パンク系バンド。
コンスタントに細かい音源発表をしてきているが、
これはフル・アルバムとしては約3年ぶりの4作目と言える作品。
45回転で9曲入りだから12”EP扱いなのかもしれないが、
アルバムと言えるヴォリュームだ。

女性シンガーと男性ベーシストのツイン・ヴォーカル体制で、
以前の活動家臭さもここ数年の作品では感じなくなってきた。
英語で歌われるとはいえフィンランドの民謡をイメージする旋律だが、
それっぽいメロディの曲を速くやるだけのバンドではない。
切ないメロディを絶妙にアレンジした琴線を震わせるパンク・ロックに
AUS-ROTTENやD-beat系のハードコア・パンクも絡ませ、
“KILLING JOKE meets BIG BLACK”みたいな曲もやっていて多彩だ。
少なくてもUSAよりは日常生活で競争の必要性がない北欧のバンドならではのまったり感だが、
ハジケていてパンク・ロック以外の何物でもない。

筋金入りのバンドだから根っこは重いが、
メンバーが変わりつつ20年以上活動を続けて吸収したものが活かされている。
歌詞はジャケットどおりの“いかにも”のことがモチーフのようだが、
中学校で学習するような英語で普遍的に綴られており、
具体的なインパクトが強まる半面イメージを限定する固有名詞もほとんど使われていない。
文章にしても小難しい表現は自分を防御するための逃げにもなるし尊大な思い上がりにも映る。
その筋の専門家や身内にしか通用しなてのは閉じた意識の裏返しだ。
映画『はだしのゲンが見たヒロシマ』でも思ったが、
わかりやすく伝えることの大切さをあらためて知るのだ。

音も理屈っぽくなくストレートにパワフル。
むろん民謡に媚びたやつなんかじゃない。
確かなパンク・ロックである。
かっぷくのイイ女性シンガーをはじめとして素朴なヴィジュアルがまぶしく、
頭デッカチなアナーコとは一線を画すプリミティヴな熱量に覆われたナイス!なアルバムだ。


★JUGGLING JUGULARS『80 Millions Barrels』(KAMASET LEVYT/RUIN NATION UKK-046/BOLLOX 026)LP
歌詞が載った分厚いインナー・シート付。


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コメント

くはーっ!聴きたい!感じたい!キリングジョークとビッグブラック!みたいな曲も聴きたい!SWANSの1stアルバムを想像してしまいました。決して2ndでなく。NO SANCTUARYのAMEBIXをもっと重たく潰した感じでしょうか。しかし久し振りに行川さんのパンクレビューを読んでパワーが出ました。ホント、パンク書かせたら右に出る人間は居ません。応援しています。絶食系と表現したのは、飯すら何日か食ってねえんじゃねえかってぐらいの、DAVE KUSWORTHのか細い声です(笑)クリエイションのバンドの人達は見た目もドキュメンタリーの証言通りドラッグばっかりで、やっぱり飯食ってなさそうな人達が多かったと思います(笑)

コレ、私も凄く気に入ってます。
JUGGLING JUGULARSといえばINNER CONFLICTとのスプリットを思い出してしまいます。
凄く好きなバンドの一つなんですが
母国語バージョンの曲とかも聴いてみたいです。

書き込みありがとうございます。
>かくさん
アルバム全体ではパンク・ロックですが、AMEBIX・・・なるほどCRASS系のバンドにはポスト・パンクなニュアンスの音のバンドが多かったから、このバンドにもつながるのでしょう。
確かにクリエイションのバンドには肥満体型の人があまりいないのも特徴(というかあの時代のUKハードコアもそうですが)・・・なのはドラッグやってればメシも食う気もないってことかなと、そう考えると色々見どころ多いドキュメンタリー映画です。あの不健康さやグダグダ感は80年代後半~90年代の日本のその系統のバンドへの影響も大だと再認識しました。
>chumbaさん
INNER CONFLICTは二の足を踏んでいるのですが、何かチェックしてみます。フィンランド語で歌ったらペイガン・メタルな味が出るかも・・・濃そうです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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