なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PUBLIC IMAGE LTD.(PiL) CDリイシュー[1/3]

SEX PISTOLSを78年1月に脱退したジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)が始めた
PUBLIC IMAGE LIMITED(PiL)のアルバムと、
ジョンのソロ・アルバムがSHM-CDでリイシュー。
PiLの『Paris au Printemps(邦題:パリ・ライヴ)』とジョンの『Psycho's Path』の
ライナーを書かせてもらいました。

缶ケース仕様の『Metal Box』とプラケース仕様の『The Great Hits, So Far』以外は、
オリジナル盤のデザインに準じた紙ジャケット仕様。
『Metal Box』『Second Edition』は2009年のマスタリングで他は2011年のマスタリングだ。
日本のオリジナル盤のデザインに準じた帯付で、
ぼくも『Public Image』から『Flowers Of Romance』までのLPの帯を制作者に貸与したが、
“ポスター付”などの当時のLPの特典みたいな文句は誤解を招くためかカットされている。
『Metal Box』以外は歌詞と和訳付だ。

public.jpg
『Public Image』78年末リリースのファースト。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、キース・レヴィン(g他)、ジャー・ウォブル(b)、ジム・ウォーカー(ds)。
SEX PISTOLSを抜けたジョンがCLASHを抜けたキースと意気投合し、
ほぼ素人のジャーとカナダのパンク・バンドのFURIES出身のジムと結成というストーリーも実は重要だ。
サイキックなギターが独創的なのはもちろんのこと後に露わになるポップな感覚はこの時点で芽生え、
クールなドライヴ感の曲も多くてポスト・パンクというよりプログレッシヴなパンク・ロック。
GERMSがライヴで「Public Image」をカヴァーし、
SOME GIRLSが「Religion Ⅱ」をカヴァーしたことが象徴するように、
70年代終盤から2000年代以降までのユニークなパンク・バンドの基になっている
ダブをデフォルメしたような1曲目の「Theme」は極端なドゥーム・ロックでもあるし、
語りどころありまくり。
完成度は次作に譲るが今もなお斬新かつPiL史上最も刺激的な必聴アルバムである。
カスタム・インナー・スリーヴも復刻。

metal.jpg
『Metal Box』79年11月リリースのセカンド。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、キース・レヴィン(g他)、ジャー・ウォブル(b)。
ドラムは曲によってキース、ジャー、デイヴィッド・ハンフリー、リチャード・ドゥダンスキ、
マーティン・アトキンスが叩いている。
このうち半数近くの曲で叩いているリチャードがジョー・ストラマーの101'ers出身で、
後にRAINCOATSの『Moving』で叩くつながりも興味深い。
ドラマーが固定してない時代ゆえにファーストよりもバンドとしての一体感には欠けるが、
もともとバンドではなく“Ltd.(≒会社)”を志していたPiLならではの人事と言える。
内容はダブをメタリックに染めた極上の“メタル・ダンス・ミュージック”で問答無用の最高傑作。
ある程度ヴォリュームをあげてスピーカーから音を出すとそこいらのものが震える。
ATAXIAをはじめとして本作の影響も計り知れない。
16ミリ・フィルムのケースを模した缶と45回転12”レコード3枚組のオリジナル盤に近い形状の
メタル缶入り3枚組CDでインナー・シートも復刻。

second.jpg
80年初春リリースでレコードだと2枚組だが1枚ものの約61分のCDでの発売。
限定盤『Metal Box』の普及版である。
収録曲は『Metal Box』と同じだが曲順が若干異なる。
日本ではこの仕様のみでの発売で2枚組だったが『Metal Box』よりはレコード裏返す手間省けるから、
個人的にはこの『Second Edition』の方ばかり聴いていてこの曲順の方が流れも滑らかに感じるし、
最も聴きつぶしたレコードの一つだ。

pari.jpg
『Paris au Printemps(邦題:パリ・ライヴ)』
80年1月のステージを収めた80年11月発売のライヴ盤。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、キース・レヴィン(g他)、ジャー・ウォブル(b)、
マーティン・アトキンス(ds)。
PiLのピークを捉えたドキュメンタリーである。
今時流行りの“友愛ライヴ”やお祭りノリのオメデタイ集団幻想に馴染めない方にも快感だ。
ライナーでも書いたがこの冷ややかな質感がポスト・パンクの本質だし、
80年代初頭の“黒いハードコア・パンクやアナーコ・パンク”の多くも
こういうニヒリスティックな空気感だった。

flowers.jpg
『The Flowers Of Romance』
81年春リリースのサード・オリジナル・アルバム。
メンバーはジョン・ライドン(vo他)、キース・レヴィン(g他)、マーティン・アトキンス(ds)、
ジャネット・リー。
ジャケットを飾ったジャネットは演奏には関与してないという説が有力で、
マーティンが参加してないと思われる曲もあるようでジョンとキースが中心の作りだ。
ジャー・ウォブルが去ってベースレスの編成になったことを逆手に取ったアルバムで、
なんだかんだ言っても結局は寄りかかっていた伝統的なロックンロールのフォーマットから完全に抜け出て、
同時に既成のロックの筋肉を削ぎ落としている。
ただプリミティヴなビート主導でベースレスの音は斬新だったが、
やはり混血の音楽性でロックに収まっているのは口でどうこう言おうと根がロックなPiLの性だろう。
今となってはその葛藤が聴きどころかもしれないが、
ベース無しでドラムとシンセサイザーがうにょうにょする音の中でジョンが虚空に吐き、
苦肉のアイデアにも思えるとはいえ久々に聴いて奇形ぶりにびっくりもした。
一方でPiL史の中では引きこもりから外に出ていくダイナミズムが見え始めたアルバムだし、
宗教にまつわるニュアンスが強く表れているのも興味深い。
12”EP『Flowers Of Romance』に収録のタイトル曲のインストと、
その7”にも入れてアルバム未収録の「Home Is Where The Heart Is」(ジャー・ウォブルのベース入り)、
『Metal Box』収録の「Memories」のシングルのB面曲「Another」(「Graveyard」の歌入りリメイク)
が追加されている。
なおアルバム・タイトルはキースがシド・ヴィシャスと一時期やっていたバンドの名前でもある。


★パブリック・イメージ・リミテッド『パブリック・イメージ』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-95070)CD
★同『メタル・ボックス』(同 TOCP-95081~83)3CD
★同『メタル・ボックス(セカンド・エディション)』(同 TOCP-95071)CD
★同『パリ・ライヴ』(同 TOCP-95072)CD
★同『フラワーズ・オブ・ロマンス』(同 TOCP-95073)CD


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プロフィール

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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