なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PUBLIC IMAGE Ltd(PiL) CDリイシュー[2/3]

tokyo.jpg
『Live In Tokyo』
83年の夏に行なわれた初来日公演のうちの東京・中野サンプラザでのライヴから抜粋したアルバム。
7月のステージを録音して翌月日本先行発売された当時のレコードは45回転の12”盤の2枚組だったが、
今回は1枚組CDに収めている。
メンバーはジョン・ライドン(vo)とマーティン・アトキンス(ds)に加え、
ルイス・バーナディ(b)、ジョセフ・ガイダ(g)、トム・ヴォンチェック(kbd)。
ジョン・ライドン初来日!というということでみんな気合が入り、
ぼくも“本公演”と追加公演の2回分、
東京・原宿の竹下通りに事務所を構えていたイベンターの
ヴァン・プロダクション(H.I.P.の前身)に早朝から並んでチケットを取った。

だが、
来日直前に発日本先行売された12”EP『This Is Not A Love Song』は微妙だったし
(後にアルバムに入るテイクではなオリジナル・ギタリストのキース・レヴィン在籍時の録音にもかかわらず)、
公演日間近になってキース脱退!という寝耳に水の最悪のニュースも飛び込んできた。
日本ツアーは急造メンバーを入れて決行。
完全なオフィシャルの形では世に出てないはずの次作のタイトルになぞらえれば、
個人的には苦い思い出が蘇る“コマーシャル・ゾーン”の実況録音盤である。
ライヴ盤『Paris au Printemps(邦題:パリ・ライヴ)』を体験していたから、
とうてい想像もしなかったコール&レスポンスも収められていてあの時の疎外感も思い出した。
次作の3曲もやっているから当時は困惑したスラップ・ベースも含むカッチリしたサウンドの中からは、
背負っていたものを投げ出して一皮も百皮も剥けて殻を破って楽になったジョンの姿が聞こえてくる。
もともとジョンが内包していたエンタテイナー性が露出するのもこのライヴからだ。
新宿駅東口でジョンを捉えたジャケットも今やどちらも様変わりしていることを思えば興味深い。
インナー・シートも復刻。


this is
『This Is What You Want... This Is What You Get』
84年7月リリースの4作目。
メンバーはジョン・ライドン(vo他)、マーティン・アトキンス(ds他)、ルイス・バーナディ(b)、
コリン・ウーア(g)、リチャード・コットル(kbd)、ゲイリー・バーマクル(brass他)。
キース・レヴィン在籍時に作ってお蔵入りになった『Commercial Zone』が原型だから
キース在籍時の曲が過半数を占め、
すべての曲作りに参加しジョンとプロデュースもしているマーティン・アトキンスも比重も高い。

ロックンロールの様式から離れて“ダンス・ミュージック”の要素を取り入れる流れは変わってないし、
『The Flowers Of Romance』の流れを中盤では感じるが、
PiLは完全にルビコン川を渡った。
洗練された音作りが決定的だし、
大半は70年代末のディスコ・サウンドをあえて5年後に消化したみたいなサウンドにも思えるし、
他のポスト・パンク勢がさんざんやったファンクをあえて5年後に消化したみたいなサウンドにも思える。
『Live In Tokyo』の音を派手にした雰囲気でホーンもガンガン鳴って音が跳ねるイケイケアゲアゲ路線。
今につながる“人間ジョン・ライドン”の始まりとも言えるが、
当時は“SEX PISTOLS幻想”と“PiL幻想”を打ち砕くようなアルバムでもあった。
カスタム・インナー・スリーヴも復刻。


album.jpg

『Compact Disc(Album)』
86年初頭リリースの5作目。
主要メンバーはジョン・ライドン(vo)、ジンジャー・ベイカー(ds~元CREAM)、坂本龍一(syn)、
有名になる直前のスティーヴ・ヴァイ(g)、
マイルズ・デイヴィスとも何度も交わったトニー・ウィリアムズ(ds)、
FUNKADELIC周辺で知られるバーニー・ウォレル(オルガン)、
ROLLING STONESのバッキング・ヴォーカリストのバナード・ファーラー(バッキング・ヴォーカル)。
ニューヨーク先鋭シーンの重鎮音楽家であるプロデューサーのビル・ラズウェル人脈だろうが、
それまでのPiLだったらありえないメンツだし今もありえない豪華メンツだ。

サウンドの方は一気にロック回帰でギター・ソロも容赦ない。
頑丈な要塞みたいな音作りのドライかつ美麗で派手な“メタル・サウンド”だが、
ロックっ気のない心根の面々がハードなロックをやっている奇妙なアルバムである。
今となってはMOTORHEADやイギー・ポップのアルバムを手がける前にビルが行なった、
緻密な“cold metal”サウンドの実験台のようにも思える。
臆面もないほどダイナミックなビッグ・サウンドでテクニカルな演奏も随所に顔を覗かせ、
民俗音楽のミックスにも音楽的セレブの香りがしてくる
ジョン持ち前のポップな感覚に包まれており、
非情な音の狭間から切ないジョンの歌メロが聞こえてくるところも聴きどころ。
とはいえこれはこれで喉越しスッキリ!の痛快な開き直りの一枚である。
ちなみに本作のCDのジャケットには従来“compact disc”という文字が書かれていたが、
今回のリイシューはLPの体裁に準じて“album”という文字が踊っている。


★パブリック・イメージ・リミテッド『ライヴ・イン・TOKYO』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-95074)CD
★同『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』(同 TOCP-95075)CD
★同『COMPACT DISC(ALBUM)』(同 TOCP-95076)CD


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プロフィール

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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