なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PUBLIC IMAGE LTD(PiL)+John Lydon CDリイシュー[3/3]

happy.jpg
87年9月リリースの6作目。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、
MAGAZINE~Siouxsie & the BANSHEESのジョン・マクガフ[マッギーオ](g)、
『Music For Pleasure』の頃のDAMNEDのメンバーだったルー・エドモンズ(g、kbd)、
ジェイムズ・ブラッド・ウルマーなどのジャズ系の人と絡んでいるアラン・ディアス(b)、
元The POP GROUPのブルー・スミス(ds)。
これまた豪華メンバーだが完全に体勢を立て直した。
プロデューサーはART OF NOISEのメンバーだったゲイリー・ランガン。
初期の要素をキャッチーに凝縮しつつ
『Album』のカッチリした路線をニューウェイヴ・テイストで展開したかのようなサウンドで、
どの音も歯切れが良くて迷いがなく爽快である。
ジョンも完全に吹っ切れた喉を震わせる。
バンドとしてのまとまりもいいしタイトルに“yes!”と答えたい肯定的な響きで、
この後のアルバムや2009年の再編以降も含めて“第二期PiL”の幕開けと言えるクールな一枚。
カスタム・インナー・スリーヴ復刻。

9.jpg
『9』
89年5月リリースの7作目だが、ジョンとしては2タイトルのライヴ盤も含めて9作目ということらしい。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、ジョン・マクガフ[マッギーオ](g)、アラン・ディアス(b)、
ブルース・スミス(ds他)。
全曲ソングライターとしてルー・エドモンズの名前がクレジットされていることから察するに、
レコーディング直前で去ったと思われる。
プロデュースは。
PET SHOP BOYSなどのエレクトロニクスを駆使したニューウェィヴ系を多く手がけるスティーヴン・ヘイグと、
80年代にTALKING HEADSとも仕事をしてジョー・ストラマーのリミックスもしたエリック・ソーングレイ。
共にメジャー感があって洒落た仕上がりをすることに定評があった人たちで、
クレジットによれば二人とも曲作りに関与しているようだ。
『This Is What You Want... This Is What You Get』と『Happy?』を『Album』を介して混ぜたかのようで、
ダブっぽかったりファンクっぽかったりもするが、
より洗練された当時のオシャレなアプローチのロック・サウンド。
曲によっては女性コーラスも目立ち、
SOUL Ⅱ SOULのプロデューサーとして知られるネリー・フーバーがミックスした曲もある。
ややブラック・ミュージック寄りの曲ながらもギターは耽美に鳴り響き、
にぎやかな路線に徹したアルバムである。
ぼくは観に行かなかったが、
リリースに合わせて行なった筋肉少女帯を前座にした日本公演がハマっていたとも想像できる一枚だ。
カスタム・インナー・スリーヴ復刻。

that what
『That What Is Not』
92年2月リリースの8作目でPiLの目下の最新オリジナル・アルバム。
メンバーはジョン・ライドン(vo)、ジョン・マクガフ[マッギーオ](g)、アラン・ディアス(b他)で、
ドラムは本作のあとミック・ジャガーとも仕事をしたカート・ビスクェーラがペルパーで叩き、
TOWER OF POWERが2曲でホーンを演奏するなどゲストが参加している。
プロデューサーはデイヴ・ジャーデン。
当時USオルタナティヴ・ロックの感覚をハードな音でメジャー・フィールドに反映させた売れっ子だが、
TALKING HEADSの『Remain In Light』やROLLING STONESの『Dirty Work』の録音などで、
80年代前半からキャリアを重ねてきた仕事人だ。
ラテン音楽テイストの曲もやっているし引き続きポップ路線ではあるが、
デイヴのアメリカン感覚が明快な方向性に作用し、
助っ人ドラマーのビシビシしたビートも気持ちいい。
彼のキャリアの中でも最もラフでハードな音のジョンのギターが冴えわたり、
スティーヴ・ジョーンズすら思わせるから再編SEX PISTOLの音作りの原型みたいだし、
『Album』以上にロックなストレートでダイナミックに突き抜けた明快なサウンドだ。
初期のPiLと比べると別物でデリカシーに欠けて大味にも思えるが、
ジョンの声によって湿った一線は守っており、
これはこれで好きなアルバムだ。
カスタム・インナー・スリーヴ復刻。

greatest.jpg
『The Greatest Hits, So Far』
90年リリースのベスト盤。
というわけで本作のオリジナル盤には上記の『That What Is Not』の曲は入ってないが、
この日本盤にはその収録曲「Acid Drops」が追加されている。
“グレイテスト・ヒッツ”とタイトルを付けただけにシングル曲を時系列でまんべんなく収めており、
アルバム未収録曲やアルバムとは別ヴァージョン等の曲が半数近くを占めるのがポイント。
アルバムを聴き慣れているとシングル・ヴァージョンはかなり違って聞こえるから要注意だ。
ステージでよくやってきていると思しき曲ばかりだからライヴ前の“予習”にも最適な盤だろうし、
こうしてまとめて聴くと先鋭的である以前にフックのある曲をいっぱいやってきたんだなと再認識する。

psycho.jpg
『Psycho’s Path』
ジョン・ライドンの唯一のソロ・アルバムであり、ジョン関係の目下の最新オリジナル・アルバム。
日本盤は97年3月に先行発売され、英国などでは同年7月にリリースされた。
キーボードなどを駆使してほとんどの音をジョンが一人で作り、
ジョンの弟さんがギターやキーボードや録音でサポートしている。
CHEMICAL BROTHERS、MOBY、LEFTFIELDらによる編集/ミックスの5曲も加えられているが、
本編10曲はそれほどテクノっぽくなくて素朴。
プリティとすら言える。
PiLの『Album』以降の路線で民俗音楽のメロディもブレンドしているが、
ギターの比重が低くてよりメロディアス。
SEX PISTOLSやPiLでジョンがどの程度曲作りに関与したか実際のところ不明だが、
全部自分で書いた本作はポップで哀愁も漂い、
当然おちゃめなんであった。
シニカル&冷ややかなジョンの声と視点は変わってない。
ライナーには当時ミュージック・マガジン誌で書いた戸惑いのアルバム・レヴューも抜粋してみたが、
今聴くと色々発見ある。
ジョンの手書き書体で歌詞が綴られた16ページのオリジナル・ブックレットとイラスト・カード封入。


★パブリック・イメージ・リミテッド『HAPPY?』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-95077)CD
★同『9/ナイン』(同 TOCP-95078)CD
★同『ザット・ホワット・イズ・ノット』(同 TOCP-95079)CD
★同『グレイテスト・ヒッツ』(同 TOCP-95084)CD
★ジョン・ライドン『サイコパス』(同 TOCP-95080)CD


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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