なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KORN 初期4作のリイシュー

90年代半ば以降のヘヴィ・ミュージックの一スタイルを作り上げた、
カリフォルニアのロック・バンドであるKORNの最初の4枚のアルバムのリイシュー。
アーティストの意向によりボーナス・トラックとリマスタリングはNGになったらしいが、
すべてワーディング(聞き取り)による歌詞とその和訳(脚注多数)が付いて税込み1890円での再発だ。


KORN.jpg
『Korn』94年10月リリースのファースト。
数ヶ月後に発売された日本盤でぼくが書いたライナーが今回も付いている(94年10月執筆)。
文体もさることながら
“ユニークで型にはめにくいだけに、活動していくうえではいろいろと苦労を強いられるかもしれない”
と書いた読みの甘さも恥ずかしい。
自己弁護するならば当時取り扱いに困るほどこのアルバムは異形の表情を呈していた。
ヘヴィ・ロックを塗り替えた歴史的な作品である。

KORNはアンダーグラウンドのロックに無知でヒップホップが大きなルーツあることを強みにし、
ゴスのテイストもねじまがって混入。
おうおうにして突然変異のサウンドはオ勉強ではなくカン違いから生まれる。
当時無名だったプロデューサーのロス・ロビンソンを時代の寵児に押し上げたアルバムだが、
具を詰めた次作よりも空間を活かしたこのアルバムのフリークスの如き音作りが極めて異形である。
もしかしたら当時の実際のKORNよりもロスがグロテスクにプロデュースしたのかもしれない。
特にドラムの音はロックでもヒップホップでもないノリで独特だ。
本作の前のデモではびっくりするほど本作の曲がヘヴィ・メタルなスタイルだったことから察するに、
ロスがバンド全体の方向性をもプロデュースしたとも想像できる。
ただこのアルバムの不穏な空気渦巻く音は以降のKORNですら出せていない。
やはり“作られた音”ではないのだ。

当時ライナーを書く際に米国のレーベル提供のものと思しき数曲の歌詞を提供してもらったが、
それがもともとメンバーが提供したものかどうかは定かではない。
KORNはパンク/ハードコアとほとんど接点はないが
今回載っている歌詞を見るとBLACK FLAGの初期からの末期までのニュアンスも感じる。
が、泣き虫だ。

音楽シーンの流れとしては出来すぎの運命のいたずらかNIRVANAの終焉に続いて登場した本作、
当時のジョナサン・ディヴィス(vo)の声がカート・コバーンとダブるのはぼくだけではないだろう。
ただKORNは生まれがメジャー・フィールドで育ちがいいから結局のところ“屈託”がない。
1曲目「Blind」の冒頭の一声の“アー・ユー・レディ!?”は
メイン・ストリームのロック・アーティストがステージに立ったとき1曲目を始める前に吐く言葉だが、
パロディでもなんでもなく“地下”の荒波に揉まれてないKORNの素朴な気持ちから出たのだろう。

最初の日本盤にも付いていたジョナサンによる長文の曲解説の和訳もブックレットに載っている。


LifeIsPeachy.jpg
『Life Is Peachy』96年10月リリースのセカンド。
プロデュースは引き続きロス・ロビンソンである。
実際はこのアルバムの影響力が一番大きい。
『Korn』よりも『Life Is Peachy』の方がわかりやすいテクスチャーでコピーしやすいと思うのだ。
カッチリした作りで曲によってははっきりした歌メロも浮き彫りになりつつある。
音のすきまを不穏な音のゲロで埋めたような作りで病んだ中に王者の風格を漂わせている。

アイス・キューブとWARのカヴァーを収めて最もヒップホップ色強く、
ファンクやダブなどの非メタルな中低音がグツグツ煮込まれていてカロリーが高い。
このアルバムの中の“ラップ・メタル・スタイル”はニュー・メタル(nu metal)と呼ばれるようになる。
リー・ドリアン(CATHEDRAL)は
当時ヒップホップの色の強いメタル風の音を“スポーツ・メタル”と評したが、
もちろんこのアルバムは踊ってナンボの“スポーツ・メタル”とは次元が違うドラマを内包していた。
そのへんはトラウマ云々だけでなく露悪趣味も感じる歌詞の世界でも味わいたい。


FollowTheLeader.jpg
『Follow The Leader』98年8月リリースのサード。
賛否両論だった“東京フジロック”出演後まもなくのタイミングでリリースされ、
賛否両論がこのアルバムでも巻き起こった。
もともとアンダーグラウンドのバンドじゃないから適切な言葉ではないが、
当時“セルアウト”というような気持ちを持ったファンもいる。
モッシャーが暴れる修羅場の中でもぼくもかなり間近でその初来日公演を観たが、
肥大化していたジョナサン・デイヴィスはメタボなヲタにも見えた。

スティーヴ・トンプソンとトビー・ライトという完全にメジャー畑のプロデューサーが着いた影響も…、
というかKORNも“そういうもの”を求めたのだろう。
「下手」とも言われたデイヴィッド・シルヴェリアのドラムは余計な音も叩くプレイが好きだったが、
極端にオカズが減った。
硬度を増したヘヴィなサウンドながらも無駄を省いた合理的な音作り。
ヤバい響きを消したのか元から消えていたのか。
曲調が大きく変わったわけじゃないだけにこのスッキリ具合が今もスッキリしない。
ヒップホップ色がやや薄めの一方、
歌い上げるパートが格段に増えてメロディアスに疾走する曲も登場。
雨後のタケノコの如く短期間に当時ホント続々と現れたフォロワーに叩きつけた一枚だが、
明快な音と曲でポピュラリティ五割り増しのアルバムである。

ジョナサン・デイヴィスによる長文の曲解説の和訳付。


Issues.jpg
『Issues』99年11月リリースの4作目。
ブレンダン・オブライエンのプロデュースも功を奏したメジャー感五割り増しの作りで、
前作に引き続き全米チャートのナンバーワンをゲットする。
ジョナサンとフィールディ(b)がドラム・ループのプログラミングで音を加えているが、
ヒップホップ色がさらに薄まったというかブレイクビーツみたいな音は“隔離”して使用。
不穏な匂いを払拭するほどリフを強化し、
まさに“モダン・ヘヴィネス”の王道を王者が突き進む。
厚みを増した音作りとドラマチックな展開の曲作りはまさに“ニュー・メタル”だ。
メロディアスな歌唱や叩き込むシャウトがラップを完全に凌駕したのも大きい。
“泣き”のヴォーカルも多いし歌詞から汚い言葉がほとんど消えていることも特筆したいところだ。


★KORN『KORN』(ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル EICP 1466)CD
★同『ライフ・イズ・ピーチィ』(同 EICP 1467)CD
★同『フォロウ・ザ・リーダー』(同 EICP 1468)CD
★同『イシューズ』(同 EICP 1469)CD


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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