なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RAFVEN『Svensk Kultur』

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2003年から活動しているスウェーデンの8人組のインスト主体の“ジプシー・パンク・バンド”、
RAFVEN(レーヴェン)が今年2月に録音した新作。
邦題は『スウェーデン物語~Svensk Kultur』である。


RAFVENはスウェーデン南西部ヨーテボリ(イエテボリ[英語表記だと"ゴセンバーグ"])出身。
スウェーデンも地域によってシーンができあがっていてカラーも微妙に異なり、
たとえば首都ストックホルムには音楽性問わず都会的なバンドが多い。
パンク・ロック・バンドMASSHYSTERIで知られる北東部ウーメア(Umea)ほど地方色濃厚ではないが、
ヨーテボリも洗練され切らないバンドが目立つ。
IN FLAMESをはじめとするヨーテボリ特有のメロディック・デス・メタル・バンドたちも、
バンド名や歌詞が英語とはいえイイ意味で田舎っぽい香りがする。
RAFVENもそんな味わいをキープしている。

ギター、ダブル・ベース、ドラムス、アコーディオン、ヴァイオリン、サックス、トロンボーン、
さらにインドの弦楽器のタンブーラを演奏し、
適宜ソロ・パートも設けている。
ギターはスパイスで、
ホーンとビートがリードし、
ヴァイオリンとアコーディオンが潤いとなり、
アコースティックな楽器で走る走る。
メンバー個々が曲ごとに一人でソングライティングを行なっているが、
8人のメンバーすべてが作曲しているところも特筆すべきだし、
それでいて一貫性した疾走感で加速するところもさらに特筆したい。

“フォーク・パンク”とも呼ばれているバンドである。
“フォーク”というとアコースティック・ギターのイメージも強いが、
“folk music”で民俗音楽、
“folk song”で民謡ということで、
“folk punk”は民謡のメロディやリズムを取り込んだエネルギッシュな音楽となる。

スウェーデンを含む北欧の民謡に加えて東欧のユダヤ人の民謡から発祥したクレズマーを核にしつつ、
ポルカやチンドンなどともニアミスし、
フツーの人々の生活から滲む哀切の旋律が生命力を与えている。
ワルツなどのリズムも絡めつつ何しろ速い曲が大半で、
フォーク・ダンスのレコードを78回転で再生したようなツー・ビートの曲が目立つ。

サーフ・ロックとの接点も聞こえてくる曲のテクスチャーだが、
ほとんどハードコア・パンクな曲も多い。
90年代以降のファスト・メロディック・パンクをスウェーデンのタレにたっぷり浸したかのようで、
ASTA KASKなどのスウェーデン語で歌っているパンク・バンドともメロディアスな接点がある。
“Oi! Oi!”という掛け声がチラリと聞こえる曲もあるし、
ビシッとキメたファッションで与太者風情を聴かせる佇まいもポイントだ。
スタジオでのライヴ・レコーディング(≒一発録り)ならではのダイレクトな音もピッタリである。

アルバムの原題を訳すと“スウェーデンのカルチャー”みたいな意味になるようだ。
ライナーによれば本作は“スウェーデンの旗の元に、世界を旅する航海記のようなもの”らしい。
世界中の悲しみを快活に“転調”したかのような仕上がり。
言葉がなくても熱い。
ハジケた響きの音そのものがメッセージであることをあらためて知らしめる一枚。
言い訳を必要としない音楽だ。


★レーヴェン『スウェーデン物語~Svensk Kultur』(UNCLEOWEN HUCD-10100)CD
日本盤は、
写真満載の12ページのブックレットに載った英文ライナーの和訳+αの解説が封入された
味のある紙質のデジパック仕様。
約44分15曲入り。
9月頭には東名阪ツアーを予定している。
http://www.uncleowenmusic.com/LIVE_11nian9yue.html

PS
9月4日に恵比寿リキッドルームでライヴを見ました。
衝撃的なほど本物の芸人魂を見た感じで。
色々かなりインスパイアされました。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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