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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

まちゅこけ『愛を告げぬは』

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大阪西成・釜ヶ崎を拠点に活動しているシンガーソングライターの
2枚目のCDあたる5曲入りのミニ・アルバム。


彼女とも
ミュージック・マガジン誌でインディ・コーナーを担当させてもらってなければ
出会わなかったであろう。
同編集部経由でぼくのところに回ってきた2008年1月リリースのファーストの『世界をチャーム』は、
同誌の特集の“ゼロ年代の日本の音楽の私的10枚”にも選んだほど衝撃を受けた。

でも『世界をチャーム』のゲスト陣を見てもわかるようにハードコア界隈ともつながりがある。
先週の東横ツアー最終日の8月27日に高円寺のライヴ・キッチン・バーMOON STOMPに行った際も、
その界隈の某テクニカル・ギタリストの人が観に来ていて「どうしてここに?(笑)」とお互い驚いた。
彼は中島みゆきを思い浮かべるらしいが、
ぼくは最初聴いてイメージしたのがケイト・ブッシュ。
まちゅこけはそれぐらい振り幅が広い。

タトゥーも見えるワンピース姿で椅子に裸足の右足を乗せてガット・ギターで弾き語る
挑みかかるような姿勢もクールで、
ライヴも楽しい。
スタジアムで歌っているようなノリでスケールが大きいポップなパフォーマンスと、
丁寧語を多用してコール&レスポンスや手拍子が苦手な人間もその気にさせるステージング。
最近のインタヴューで語っているように、
「でもほんま西成は最高やで、みんな音楽に対決しにきとる、マジや」という場で
10年鍛えられてきたというのもあろう。

シンガーとして声量がある人とは思わないし、
喉の線は細い。
だが肝は図太い。


前作もゲストを迎えていたが、
今回はさらにアコースティック・ギター弾き語りのライヴとは一味違う仕上がりで意表を突かれる。
キャッチーでありながら独特のソングライティングの彫りの深さがあらわになっている。

1曲目の「マザー マザー」は“まちゅこけ自叙伝”の一つでピアノをバックに母親への愛を伝える。
NHKでも普通に流されても違和感がなく、
まちゅけの歌の魅力が集約されていて伸びやかな歌声の感情の起伏が大きいのも自然な歌だ。

2曲目の「影絵のダンス」はチューバとパーカッションが加わり、
終戦直後の歌謡曲のようなポジティヴ・フィーリングのダンス・ナンバーだ。
まちゅこけのハジケたキャラがよく出ている。

3曲目の「女に生まれてきたのだから」は亡くなった女友達に捧げた曲。
たおやかなギター弾き語りで70年代のフォーク風でもあるメロディ・ラインだが、
まちゅこけの女性ホルモンが包み込んでいく力強い歌だ。

4曲目の「種をまけ」はギターの弾き語りを基本としつつアコーディオンがアイリッシュテイストを加味。
まっすぐな“まちゅこけ節”がストロングに迫ってくる新たな代表曲と言い切りたい。
ぐいぐい押していく堂々としたヴォーカルが圧倒的で、
CDで聴いていても曲が終わったら思わず拍手したくなるほどなのだ。

そして最後の「愛を告げぬは」
再びピアノをバックに真正面から歌い切っていることも相まって学級委員長みたいなラヴソング。
ひがみ屋もヤられること請け合いのまっすぐな純情パワーにヤにられるのであった。


優等生アイドルっぼい歌い方かと思えば包容力に富む歌唱も聴かせる。
でも最近のインタヴューで吐いた「売れてる芸人全員死ね!」みたいな毒も隠し持っている。
やっぱりカッコいい。
彼女にはすごくロックを感じる。


★まちゅこけ『愛を告げぬは』(QWCQ-0407)CD
歌詞が読みやすい8ページのブックレット付の約22分5曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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