なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Mark Stewart『On/Off Mark Stewart POP GROUP to MAFFIA』

マーク


数年前に再編したThe POP GROUPのフロントマンとして知られ、
80年代以降はバック・バンドのMAFFIAらとともにマイ・ペースでソロ活動を展開してきている、
英国ブリストル出身のマーク・スチュワートのドキュメンタリーDVD。

NTSCとPALの両面DVDで日本製のDVDプレイヤーでも鑑賞できる。
だが日本製のDVDではないから当然日本語字幕はない。
発言メインで進行する作品にもかわらず、である。
ただドイツ語の字幕は出せる作りになっているから、
多少英語が聞き取れて多少ドイツ語の文法構造の知識があれば、
インターネット上のドイツ語辞書/翻訳機能を使って食らいついてある程度は意味を汲み取れると思う。
いや熱心なファンであれば何しゃべっているかわからなくても映像だけで十分楽しめる。
要は理屈を超えたアーティストだと再認識させるのだ。


82分の本編は、
The POP GROUPやソロでのミュージック・ヴィデオや
ライヴ(フジ・ロック・フェスティヴァル08の模様もチラリ)の断片的な映像と
写真やアートワーク、フライヤーなどの画像を挿入しながら、
本人や関係者の言葉で構成。
マーク・スチュワート以外の発言者を抜粋しておく。
●母親
●兄弟2人
●ギャレス・セイガー(The POP GROUP~RIP RIG & The PANIC)
●ジョン・ワディトン(The POP GROUP~MAXIMUM JOY)
●ダン・カトシス(The POP GROUP~GLAXO BABIES)
●ニック・ケイヴ(BIRTHDAY PARTY~BAD SEEDS~GRINDERMAN
●ミック・ハーヴェイ(BIRTHDAY PARTY~BAD SEEDS)
●マイク・ワット(MINUTEMEN~fIREHOSE~STOOGES)
●フリッツ・カトリン(23 SKIDOO)
●キース・ルブラン(TACKHEAD~MAFFIA)
●ダグ・ウィンビッシュ(TACKHEAD~MAFFIA)
●スキップ・マクドナネルド(TACKHEAD~MAFFIA)
●ダグラス・ハート(JESUS and MARY CHAIN)
●ダニエル・ミラー(マーク・スチュワートのソロ・アルバムを出してきたMUTE Recordsの創始者)
●エイドリアン・シャーウッド(マーク・スチュワートのプロデューサー、ミキサー)
●3D(MASSIVE ATTACK)
●キース・レヴィン(CLASH~PiL


むろんパンク、ファンク、フリー・ジャズ、ダブ、ヒップホップ、テクノ云々の
音楽の話もたっぷりとしている。
ぼくも絶大な影響を受けた政治的な話も欠かせない。
ただ「俺の曲はすべてラヴソング」みたいなことを言っているのが映像だけでも妙に納得できる。
昔から歌詞にしろ発言にしろ
反体制を気取りながら実は逆に“保守的”でナイーヴなアーティストや論客とは一線を画すからこそ
個人的に特別な感情を抱く人だが、
無邪気で愉快なオッサンの姿もさらけだしている。
発言を細かく分析すればまた違った面も浮き彫りになるだろうが、
パッと見た映像では特大XXLサイズのボディも相まって豪傑キャラ全開である。
24時間二日酔いみたいな、酒焼けしているみたいな、キメているみたいな、眠そうな顔も
憎めない大男。
街を俳諧するシーンも楽しい。
絵になる人だ。

母親と仲良しの光景も微笑ましい限りだ。
ファミリー・パーティの場面を見ると、
少なくても映像からは恵まれた家庭環境で育ってきたんだなと想像できて色々と思いをはせる。
親を扶養するどころか逆の生活を送れた経済状況は30年前からインタヴューで明かしていたし、
もちろんそれで評価が変わることはない。

ソファーでくつろいで母親と一緒にテレビを見ながら、
ビデオに合わせてデイヴィッド・ボウイの「The Jean Genie」を歌うマーク。
MC5のTシャツもお気に入りのようだ。
発言の端々からも結局はロックが一番好きということもうかがえて嬉しい。

DVDタイトルの“ON OFF”は“表の顔”と“裏の顔”という意味か?と勘ぐったりもできる。


なお70分のボーナス映像は以下のとおりだ。
●計約35分の別口インタヴュー
[母親、ニック・ケイヴ、キース・ルブラン、マーク・スチュワート、ギャレス・セイガー]
●ミュージック・ヴィデオ(一曲丸ごと)
★The POP GROUP「She’s Beyond Good And Evil」「Boys From Brazil」
★マーク・スチュワート「Loner」「Hysteria」「Dream Kitchen」
●ライヴ(一曲丸ごと)
★Mark Stewart & MAFFIA「Hysteria」(2008年)9分程度
★マーク・スチュワート&ダグ・ウィンビッシュ(b)の公開ジャム・セッション(2007年)5分弱
●フォトギャラリー[POP GROUP、MAFFIA、マーク・スチュワート(日本でのショットも収録)]


今年のサマー・ソニックにThe POP GROUPは出演したが、
ぼくは観に行かなかった。
単独公演だったら出向いたかもしれないが、
再編後のライヴをいくつかYOUTUBEで見て行くのは止めにした。
ぼくにとってカンニングペーパーを見ながら歌っているみたいなマーク・スチュワートはありえないし、
まさかエアギターを弾くマーク・スチュワートを見る日が来るとは思わなかった。
なんでクールなソロ・アルバムを作っているにもかかわらず・・・とも考えたりしたが、
本作で見られるここ数年のソロ・ステージも思いっ切りまったりしている。
最近のテンションはこんなもんなのか・・・と、またまた複雑な気分になった。
2度目の来日公演のときに東京でのライヴを2日間観る機会があったのだが、
一日目を観ているときに強烈な磁場のステージ上から
「おまえはこんなところでなにやってんだ!? 俺なんか観て踊ってる場合じゃないだろ?」と
叱咤された気がして2日目は観に行かなかったことも思い出した。

でもこの人間臭いDVDを見て、
この人から一生離れられないと思ったしだい。
「おれのgodですから」とずっと言ってきた人だが、
自分にとって今も昔も唯一の“アイドル”だから。


★Mark Stewart『On/Off Mark Stewart POP GROUP to MAFFIA』(MONITOPPOP MPE-DVD 28)DVD
8ページのブックレットに加え、
初回製造分には“マーク・スチュワート”ポスト・カード5枚封入されている。
デジパック仕様。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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