なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MACHINE HEAD『Unto The Locust』(スペシャル・エディション)

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サンフランシスコ出身の“モダン・ヘヴィ・メタル・バンド”の7作目。

なんだかんだで結成20年近くになる。
しぶとい。
リーダーのロブ・フリン(vo、g)はFORBIDDEN EVIL~VIO-LENCE時代から数えると
25年以上ヘヴィなメタル道を突き進んでいる。
その結晶の一つが前作『The Blackening』(2007年)だったが、
ギター等の機材の意味を超えてイメージそのものがヘヴィ・メタルなバンド名を背負っただけに
覚悟を決めてメタルを突き詰めている。

個人的にロブにはかつてフィル・アンセルモのような虚勢を感じていた。
同時期にファーストを出したKORNとは別の“モダン・ヘヴィネス”とも呼ばれたサウンドで登場した、
94年の『Burn My Eyes』でのアルバム・デビュー時からだ。
本人は否定していたとはいえKORNみたいな路線に走った頃もあった。
“KORNサウンド”を作ったロス・ロビンソンが『The Burning Red』(99年)をプロデュースした際、
「『みんなKORNみたいな音にしてくれ』ってロスに頼むらしいけど俺らは違うぜ!」
とインタヴューで答えられて「なんだコイツ…」と思った記憶も。
ただMACHINE HEADはKORNとは生まれも育ちもまったく違い、
根がとことんヘヴィ・メタルだ。
歌詞もひっくるめてスラッシュ・メタルとハードコア・パンクを形がなくなるまで燃やしてエナジーとし、
堂々とグルーヴィなメタルを叩きつける。
今回さらに一皮剥けた。


『Unto The Locust』でも、
“~~メタル”と細かいジャンルで括れるスタイルとして引き合いに出せるバンドが思いつかない、
“MACHINE HEADミュージック”に磨きをかけている。
ロブが自分でプロデュースするようになった
5作目の『Through the Ashes of Empires』あたりから迷いを捨てた気がする。
やや流動的だったメンバーが現在の4人に固まった時期でもある。
むろん本作もロブのセルフ・プロデュース。
鋼鉄サウンドでありながら風通しのいい音作りだから、
ずっと聴いていても疲れないところがまずポイントである。

これまで以上に長めの曲が揃っており、
一番短いのが6分弱で1曲、
6分台が2曲、
7分台が3曲、
8分台の組曲形式の1曲の、
計7曲で本編は構成されている。
だがハードボイルドな喜怒哀楽を一曲の中でも展開するドラマがドラマティックにアルバムを編み、
一気に聴かせるのだ。
ロブとフィル・デンメル(g)とミキサーの子供たちも合唱(≠シャウト)で参加し、
ストリングス・カルテットもデリケイトな彩りを添えている。

ツイン・ギターをはじめとして、
70年代のハード・ロックからスラッシュ・メタルまでの伝統的なメタル流儀を踏まえてもいる。
メロディック・デス・メタルやブラック・メタルなどの
90年代以降に広まったエクストリーム・メタルの要素も元が聞こえてこないほど溶け込んでいる。
すべては筋肉質の“メタル・グルーヴ”の中に息づく。
それでも力技に陥ってないのは楽曲重視のMACHINE HEADならではだ。

メロディや歌が一層高まってもいる。
リーダーのキイチが新作のスペシャル・エディションのDVDでロブに助言をもらったと語った、
TRIVIUMの新作『In Waves』と共振した方向性とも言えるが、
むろんMACHINE HEADはハードコア濃度が依然として高い。
怒号と歌唱とを強引にブレンドしたような
つまりMACHINE HEADの感情表現そのもののヴォーカリゼイション。
だが荒っぽく歌っていようがすべてが“うた”。
歌詞からも自信が感じられる。
とりわけ本編最後の曲「Who We Are」には意志がみなぎっていて感動的だ。
いい意味で大人になった(≠grow up)と思うのである。


ここまでは“通常盤”も同じだが、
“スペシャル・エディション”には世界共通で3曲ボーナス・トラックが入っている。
1曲は本編に収録されている曲「The Darkness Within」で、
あとの2曲は彼らの得意技のカヴァーだ。
今回はJUDAS PRIESTの「The Sentinel」とRUSHの「Witch Hunt」
普段はシャウト中心だからあまり表に出てきてないロブ・フリンの歌の旨さと繊細な歌心が、
この3曲でもわかる。
日本盤には前作収録曲「Halo」のライヴも音質良好かつロブが観客を煽るテイクで追加されている。

さらにアルバムのメイキング映像をモノクロで収録した約22分のDVDもプラス。
当然日本語の字幕付だ。
ネタバレになるから詳細は割愛させてもらうが、
ポイントになる制作秘話のいくつかを披露しつつ
テクニカルな話に終始しないところが実はMACHINE HEADらしい。
妙に人間味を感じさせるのだ。


今さらながら“いいバンドになったなぁ…”と感慨深くもなる快作である。


★マシーン・ヘッド『アントゥ・ザ・ローカスト~スペシャル・エディション~』(ワーナー・ミュージック・ジャパン WPZR-30418/9)CD+DVD
スペシャル・エディション用のボーナス・トラック3曲の他に、
日本盤はライヴも追加した約73分11曲入りの三面デジパック仕様。
20ページのオリジナル・ブックレットに加え、
もちろんオリジナル曲の歌詞の和訳付だ。


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コメント

ロブフリンが居たのはFORBIDDENではなくVIO-LENCEでは。

VIO-LENCEの前、FORBIDDENの前身のFORBIDDEN EVILにいたよ!

としさん、エクソダスマンさん、書き込みありがとうございます。
元の文は的確ではないと思いますので、手直しさせていただきます。ご指摘、感謝します。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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