なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

書籍『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』

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村尾泰郎監修のタイトルどおりのディスク・ガイド本。
アメリカ(+カナダが多少)のアーティストの400枚以上のアルバムが取り上げられているが、
50タイトル以上書かせてもらいました。


全180ページ中の114ページまではカラーで、
以降はモノクロでアルバムの写真が載っている。
数編のコラムをはさみつつ年代順に並べられ、
その中でアルバムを
大枠(1ページ~裏ジャケット付)と中枠(1/2ページ)と小枠(1/4ページ)のスペースで混ぜて紹介。
一アーティストにつき一枚に限ったわけではなく、
数タイトルのアルバムが取り上げられたアーティストも含まれている。
ぼくも『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975 - 2003』を監修して、
複数枚を選びたいアーティストは多い方がいいし全アルバムの字数を同じにするのは良し悪しと思った。
それはともかくリリースしたレーベルと年に加えて曲名が載っているのも、
アルバムのイメージを広げるのに一役買うことだろう。

年代が1978年からというのはCONTORTIONSも入ったオムニバス盤『No New York』から始めるからだ。
いわば幅広い意味でのポスト・パンクをUSオルタナティヴ・ロックの直接のルーツとする感じである。
RAIN PARADEらのペイズリー・アンダーグラウンド、
オルタナティヴ・ロックにつながるMINOR THREATのようなハードコア・パンク、
DINOSAUR JRをはじめとするギター・ロック、
日本ではジャンクと呼ばれたノイズ・ロック
グランジと呼ばれたシアトル勢、
FUGAZIをはじめとするポスト・ハードコア、
NINE INCH NAILSなどのインダストリアル・ロック、
当時はSEBADOHも含められたローファイ勢、
PAVEMENTをはじめとするいわゆるインディ・ロック、
TORTOISEなどのポスト・ロック、
JIMMY EAT WORLDなどのいわゆるエモまで網羅。
今や主流みたいになったスタイルのアルバムも多少含まれているが、
いわばメインストリームのロックに対して
少なくてもリリース当時はすべて“オルタナティヴ”だったロックなのである。

ガレージ・パンク系のGORIESが入っているのは
本書の最後を飾る同郷デトロイトのWHITE STRIPESが影響を受けているから自然だろう。
パンク/ハードコアがシーンの中でつながっているとかの狭い話じゃなく、
ホントUSAは色んなものがつながっている。
だから音楽の“胃袋”が強いのだ。

時系列でアルバムが並んでいるからおおよそのUSオルタナティヴ・ロックの変遷や流れがわかる。
R.E.M.とかNIRVANAとかBECKとか大ヒットしたアーティストも含まれているが、
大半はアンダーグラウンド、というか“マイナー”という言葉を使いたくなるアルバムが多い。
それがこの世界だ。
“こんなバンドいたな~!”というアルバムもいっぱい。
たとえメジャー・レーベルからリリースされていようがイイ意味で貧乏臭く見えるのが、
この系統の魅力とも言える。

だからこそ、
表紙がMUDHONEYというのも本書のキャラやUSオルタナティヴ・ロックを象徴していてナイスなのだ。
しかもマーク・アームはCRASSのTシャツを着ている。
この器のでかい(≒アバウトな)センス(+音楽をよく聴く旺盛な探究心)こそがUSオルタナティヴ、
いやそれこそパンク/ハードコアやデス/ブラック・メタルも含めたアメリカのロック全般の面白さである。
POISON IDEAのメンバーがBON JOVIのTシャツを嬉しそうに着ている写真も思い出した。

小枠だとやや小さめだが、
ジャケットを眺めてみてアーティスト自身の写真を使っているアルバムがあまりないことに気づく。
それもUSハードコアの流れかなとも思ったが、
むしろ70年代のヒットしてないアメリカのロックのアルバムみたいなセンスも感じ、
革新的なようで田舎っぽいアメリカン・ロックの伝統の血が少なからず流れていることも再認識する。

という具合に色々と発見があるのは、
とりあえずロックとはいえ音楽的に無限大だからとも再確認した。
幅広さと底無し沼具合は樹海みたいな地下世界。
その一端を垣間見ることができる本である。


最後にクロスビート誌の企画で2001年に行なわれた、
サーストン・ムーア(SONIC YOUTH)とJ・マスキス(DINOSAUR JR他)の対談がノーカットで載っている。
「ジョン・ブラノン率いるNEGATIVE APPROACH(中略)までがBIRTHDAY PARTYそっくりのサウンドに変わっちゃった」とか
(百歩譲っても本書でもアルバム紹介したジョンの次のバンドLAUGHING HYENASのことだろう)、
おかしな発言もあるが、
初期USハードコアにも親しんだ二人ならではのUSオルタナティヴ・ロック黎明期の面白い話が読める。


★書籍『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』
シンコーミュージック・エンタテイメント刊。
全180ページ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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