なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

JESU『Infinity』『Pale Sketches』

ジャスティン・K・ブロードリックによるJESUの2タイトルが日本盤でリリースされた。
アーロン・ターナー(ISIS)らとのGREYMACHNE『Disconnected』を出したばかりだが、
やはり現在のメイン・プロジェクトはJESUと再認識させられる独演盤だ。


DYMC96.jpg

断続的かつコンスタントに音源を制作/発表しているJESUだが、
『Infinity』は昨年から今年にかけてレコーディングした最新録音盤である。
ジャスティン自身は『Infinity』をアルバムと見なしていないようだが、
それは50分弱の1曲のみで構成というJESUとしては特殊な作りだからと思われる。
でも2年半前の『Conqueror』に続くサード・フル・アルバムとも言いたくなる濃厚な出来だ。
20日発売のCDジャーナル9月号のディスク・レヴューに補足させていただく。

むろん長尺の1曲といってもしっかり構成され、
50分の映画を見ているようなドラマチックな流れになっている。
包容力に富む旋律を薄っすらと滲ませる音は徹底的に美しいのだが、
ギターもビートもJESUにしては刃先が鋭くゴツゴツしており、
ところによってはジャスティンが以前やっていたバンドのGODFLESHを彷彿させる。
優雅な佇まいも見せるヴォーカルがJESUでは珍しく“憤る”瞬間もある。

まばゆいほどメロディアスながらも重い。
自分の中から丹念の“心の糸口”を紡ぎ出して開かれていくようなサウンドだ。
本人が「スーパー・ヘヴィでオーガニック」と言うのは、
むろん表面的なことではない。
深いところまでおのれに向き合ったがゆえに、
すべてを完全に一人で手がけた意味も見て取れる。
もちろんシューゲイザーとは次元が違う。
「JOY DIVISIONがいなかったらJESUは存在してない」という、
ジャスティンの言葉がリアルに響く。

なお、日本盤のボーナスCDは本編の凝縮ヴァージョンみたいな17分半の未発表曲である。


DYMC97.jpg

一方の『Pale Sketches』は一昨年にジャスティンの自主レーベルのAvalancheからリリースしたもので、
ライヴ会場やウェブ通販でほとんど完売状態らしい。
日本のみの再発だ。
本編は2000~2007年にジャスティンが一人で“クリエイト”した約47分8曲入り。
制作した年から察するに、
GODFLESHのラスト・アルバム『Hymns』からJESUの“前作”『Conqueror』に至る時期で、
今までのアルバムやEP/ミニ・アルバムの作風からやや外れた曲をまとめたCDと言えそうだ。
別の言い方をするとJESU誕生の“前夜”から『Infinity』までの歩みの“裏ヴァージョン”である。

既発表の個々の作品の中には収まり切れなかったと思しき曲も含みそうだが、
むろん全曲デモみたいなボツ・テイクではなくてビシッ!と仕上げられている。
いきなりピアノ弾き語り主導のヘヴィ・チューンで始まり、
メロディが際立つダンサブルかつポップなアプローチの曲が多い。
GODFLESHからの移行期と想像できるソリッドなリフの曲あり、
ニューウェイヴのバックグラウンドが強い曲ありで、
思索と試作を繰り返しつつどの曲もダイナミックに展開。
ビートの音色で様々な工夫も見られ、
ジャスティン大好きなCOCTEAU TWINSの初期を思わせるシンプルなリズムが聴けるのも興味深い。

ボーナスCDは約19分3曲入り。
本編の曲のインスト・ヴァージョンヤ別ミックスが入っており、
いずれも未発表とのことだ。


●イェスー『インフィニティ』(デイメア・レコーディングス DYMC-096)CD
●イェスー『ペイル・スケットチズ』(同 DYMC-097)CD
どちらも日本盤は3面デジパック仕様で上記のようにボーナスCD付。
共にジャスティンが自分で撮った写真を自分でデザインした秀逸なパッケージになっている。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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