なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RWAKE『Rest』

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米国中南部アーカンソー州を拠点に活動している“ヘヴィ・ロック進化形バンド”の6人組
RWAKE(ウェイク)の5枚目のオリジナル・フル・アルバム。
4年前の前作『Voices Of Omens』は個人的年間ベスト10アルバムに入れるほど気に入ったが、
またまた一言では言い表せない今回も佳作である。
BRUTAL TRUTHの前作にも関わった
サンフォード・パーカー(BURID AT SEA、MINSK、TWILIGHT)が、
前作に引き続き録音やミックス、共同プロデュースを手がけている。

90年代のNEUROSISにHIGH ON FIREのロック魂が混入したかのように、
ゆっくりと渦を巻きながら上昇していく。
16分強の曲を筆頭に長い曲がほとんどながら、
構成力と表現欲で押して約53分で6曲という堂々たるスケールを一気に聴かせて、
あっという間だ。
カオティックな音像は得体の知れぬ無数のイキモノを体内に宿しているみたいで、
ハングリーな反骨の南部魂がじわじわと燃え上がる。
アートワークが象徴するようにオーガニックなアプローチだが、
ポスト・ロックには足を突っ込まない。
気合が入っているのは聴けばわかる。

ツイン・ギター、ベース、ドラムスを核に、
モーグ(・シンセサイザー)、サンプラーをメンバーが演奏し、
曲によってゲストがマンドリン、マリンバ、フルート、スライド・ギターを挿入。
全体で使った楽器が多めとはいえシンプルに編み上げている。
具を詰め込まず音が響く空間を大切に司り、
目覚めの轟きでインナー・スペースを描き出す。

アルペジオを絡めたリリカルなフレーズも目立ち、
アコースティック・ギターも使って濃度が増したメランコリックなメロディも印象に残る。
叙情性もたたえているヘヴィ・リフを引き寄せて引き寄せてタメを効かせてから、
押し出す。
一般的なプログレ・ファンにはプログレと認められないかもしれないが、
長い曲をやっていた頃のPINK FLOYDや70年代のKING CRIMSONの遺伝子も感じる。
変拍子多用というよりはリフレインを応用したミディアム~スロー・テンポの、
ハードコア以降の現在進行形のヘヴィ・プログレッシヴ・ロックとも言えよう。
なにしろ時間を掛けて持っていく道筋がゾクゾクするのだ。
2本のギターはソロ演奏も躊躇せず、
味わい深いオールド・ロックも愛する顔をさりげなく覗かせる。

実質的にツイン・ヴォーカル体制というのも特徴だが、
別々に歌ったりユニゾンをしたりでは終わらず、
“クロス・カウンター”なシャウトも突き刺さってくる。
何しろ生々しい。
でかい声を出せばオッケーな単細胞ヴォーカルとは違う。
感情を震わせるのだ。

本物は策を弄しない。
自己保身に務めるバンドをよそに挑み続ける。
アメリカの奥深さをあらためて思う力作。


★ウェイク『レスト』(リラプス・ジャパン YSCY-1223)CD
8ページのブックレット付。


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コメント

毎日舐めるように読んでいます。が、更新の瞬間をとらえたのは今日が初めてなので、記念にコメントします。では恥ずかしいので短めに。あなたの日本語はうつくしいと思う。紹介するものに対する敬意が見えるからだ。主体があればいくら音楽だって食わず嫌いが発生してもよいと思う しかし 仕事だとはいえそれを超越している。小説にも歌の歌詞にもまねできない表現でこれからも書き続けてほしい。と願ってこれからも舐めるように読むつもりです。ではでは。

れれれさん、書き込みありがとうございます。
初めて言われるようなことばかりで驚き、恐縮します。25年やってても文章が巧くならないから、逆にそうなっているのかもしれません。とある同業者の方に「手癖で書いてない」と言われたのも、そういうことかと。
たとえ批判的なことを書いたとしても敬意は常に持って向き合っているつもりなので、そこも感じていただいてとてもうれしいです。
れれれさんの文章も人柄と思いが伝わってくるニュアンスでグッときます。パワーが出る言葉、感謝します。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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