なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

WHITE WIZZARD『Flying Tigers』

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LA拠点の“ピュア・ヘヴィ・メタル・バンド”が1年ぶりに出したセカンド・フル・アルバム。

メタルも色々と混ざって種々雑多になってきている状況なわけだが、
一般的な感覚からすればビミョーであろうアートワークやアルバム・タイトルもひっくるめて、
これぞヘヴィ・メタル。
まさにグレイトな純正ヘヴィ・メタルである。

シーン全体から見れば“リベラルな連中”に差別され続けるヘヴィ・メタルだが、
WHITE WIZZARDはそんな状況は知ったこっちゃないし、
“格差社会の是正”なんてウソッパチはハナっから期待しちゃいない。
それどころか忌み嫌われてこそメタルでありロックであることを誇りに思っているかのようで、
ヘヴィ・メタルの血統書を俺らが勝手に作るから関係ねぇ!ってな気概に満ちている。


プログレ的な要素も含めてIRON MAIDEN(特にサード以降)の影響が強いが、
他にもブリティッシュ勢の流れを感じさせる。
ロニー・ジェイムズ・ディオが在籍した一連のバンド、
80年代以降も含めたBLACK SABBATH
初期のサイケデリック時代を除くUFO、
初期を除くTHIN LIZZY、
忘れちゃいけないJUDAS PRIEST
といったバンドがダシになっている。
さらにSCORPIONSの影も見え隠れし、
あとサード以降のVOIVODの精子が泳いでうねる曲もある。

だが明らかすぎるほどノスタルジーを突き抜けている。
そんなもんにふけっている暇があったら音楽に打ち込むのみ!の心意気なんである

やっぱり本物に古いも新しいもない。
音楽は正直だ。
鳴っている響きでウソか誠(まこと)かがわかる。
自己表現に対する
美意識、
誇り、
熱情、
誠意
が音から伝わってくる。

一曲一曲に心血を注いで創作しているしっかりしたソングライティングも素晴らしい。
7分弱の曲や9分強の曲もスリリングに聴かせる。
ベースが本職のメンバーがメインに曲を書くという点でもIRON MAIDENに通じ、
よく動くベースが核の音作りだから足腰がしっかりしていて官能的だ。
そのリーダーのジョン・レオンは本作ではギターも弾くが、
ツイン・ギターの絡みみたいなオーヴァーダビングをしてないのも特徴で、
あまりギターを重ねず基本的にギター一本でパワーを発電するシンプルな演奏も功を奏している。
ジョンはブズーキやクラシック・ギターも演奏しており、
インスト・ナンバーにはヴォーカルがなくても“歌心”を感じさせる自信がみなぎっている。
ポイントを押さえたギター・ソロも心に染み入る。

RUSHやCONFESSORも思わせる脳天直下型ヴォーカルが綴るは、
ファンタジーとリアリティがファックした世界。
女も黙示録も連続殺人鬼リチャード・ラミレスも同次元なのは当たり前。
デイヴィッド・ボウイAMEBIXも見えてくる世界観である。
と同時に「Night Train To Tokyo」というチープな歌も微笑ましいのだ。

このアルバムが英国ではEARACHE Recordsからリリースされたことも興味深い。
血迷ってテクノな浮気もしてきたレーベルだが、
ハードコアもメタルもひっくるめてロックの本質を音で追求しているレーベルということを再認識する。
日本盤は昨年出した7”シングルの2曲がボーナス・トラックになっており、
うち1曲はDIOの「We Rock」のカヴァー。
能書きこくよりロックするのみなのである。

今年はミュージャンやバンドの“変節”や“変説”を見るにつけ落ち込むばかりだが、
このアルバムは揺ぎ無き確信と強固な意志に満ちている。
ヘヴィ・メタルのクールさとロックのカッコよさを体感し、
聴いていると浮世のわずらわしさから解き放たれていく自分を感じる。
グレイト!


★ホワイト・ウィザード『フライング・タイガーズ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10015)CD
日本盤は2曲追加の約70分14曲入りで、
ロマンあふれる彼らの世界観が表れている16ページのブックレットに載った
本編の歌詞と“物語”の和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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