なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ジミ・ヘンドリックス関連のリイシュー『Winterland』『In The West』

ジミ・ヘンドリックスの2タイトル(計3種類)の音源が
デジパック仕様の日本盤で先月下旬にリリースされている。
いずれもジミゆかりのエディ・クレイマーが録音してプロデュースに携わったCDである。

Winterland4CDjacket.jpg

まず68年10月に行なったサンフランシスコのウィンターランドでの3日間のライヴを収めた
JIMI HENDRIX EXPERIENCEの『Winterland』が2種類発売されている。
5枚組CDと、
その中から11曲を抜粋した1枚もののCDである。
ジミ・ヘンドリックスの音楽活動前期のバンドと言えるJIMI HENDRIX EXPERIENCEが、
サード&ラスト・アルバム『Electric Ladyland』をリリースする直前のステージ。
ジミ以外のメンバーは基本的にミッチ・ミッチェル(ds)とノエル・レディング(b)。
既発表の音源もあるようだが、
まとめて聴けるのはうれしい。

5枚組の中身は以下のとおり。
●ディスク1は10月10日のライヴを収めた約72分9曲入り。
JEFFERSON AIR PLAINのジャック・キャサディ(b)が2曲で演奏している。
●ディスク2は10月11日のライヴを収めた約69分9曲入り。
ハービー・リッチ(org)が4曲、ヴァール・ゴンザルヴェス(fl)が1曲に参加している。
●ディスク3が10月12日のライヴを収めた約70分11曲入り。
●ディスク4は約69分7トラック入り。
CD1枚の時間制限のためにディスク1~3からあぶれた以上3日間のライヴ数曲ずつと、
約19分のジミ・ヘンドリックスへのインタヴューが入っている。
●ディスク5はオマケで68年2月4日のサンフランシスコでのライヴを収めた約33分5曲入り。
日本版を含むインターナショナル盤のみに紙ジャケット付で封入され、
ドラムがバディ・マイルスに替わって演奏されるTRAFFICの「Dear Mr.Fantasy」も聴ける。

ボーナス・ディスクのディスク5は時期が8ヶ月ズレているから別として、
他の4枚は一日2セットずつのライヴを3日間やった中からピックアップされている。
当時のバンドは一日2セットの一時間強のライヴをやることが極端に珍しくはなかったとはいえ、
このクオリティで一日2回7~8曲ずつやっていれば音楽的にタフになるのは自然にも思える。
ディスク1~5で曲のダブりはあるが、
むろん同じ演奏はないし有名曲だけでコンパクトにやりすごすわけでもない。
インプロヴィゼイション込みでふくらませる。
ジミのギターだけでなくベース・ラインも色っぽく、
グルーヴィなアシッド・ロックとも言える。

SICP3287_L.jpg
6回分の音源からピックアップしたと思しき1枚もののCDの方も、
つぎはぎにもかかわらず曲間のMCを上手く活かして自然な流れでつながっている。
ライヴ・ベストとも言えるセレクションで、
わかりやすい曲でもサイケデリック・テイストが染み出ている。
代表的なオリジナル曲だけでなくカヴァーも収録。
ボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」も11分弱に展開し、
CREAMの「Sunshine Of Your Love」はインストだが、
これも6分半にふくらませている。


HendrixInTheWestjacket.jpg
今回日本盤が出たもう一タイトルの『Hendrix In The West』は、
ジミが他界した約2年後の72年に出た編集盤に3曲追加した新装リイシュー。
68~70年の4日分のライヴから抜粋された約66分11曲入りである。
ドラムはすべてミッチ・ミッチェルだが、
ベースはビリー・コックスとノエル・レディングのテイクが混ざっている。
「Little Wing」は前述の『Winterland』と同じ録音だ。

LPでリリースされた当時だけでなく今もレア音源集として有効と言える内容である。
BEATLESの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」(1分ちょい)、
チャック・ベリーの「Johnny B. Goode」、
カール・パーキンスの「Blue Suede Shoes」、
といった有名曲のカヴァーもゴキゲンだ。
コンパクトにまとまっているようで実はそんなことなくて
「Spanish Castle Magic」ではドラム・ソロも披露し、
続いてCREAMの「Sunshine Of Your Love」もチラ見せしている。
「Red House」では13分強にわたってベーシックなブルースを聞かせるのであった。
英国国歌(本作では「The Queen」とクレジットされているが、正確には「God Save The Queen」)と、
米国国家(「I Don't Live Today」の中でチラ見せ)を、
一枚のアルバムで聞かせるという構成も
活動ポジション的に英米の国籍を持っていたジミ・ヘンドリックスの微妙なポジションならではだろう。


今回のリイシュー盤は長く演奏した曲も含むとはいえ、
共に全体のバランスを考えてのことかブチ切れたパフォーマンスはほとんどないが、
毎度違うジミのパフォーマンスの面白さがわかりやすく伝わってくる。
また個人的に色々勝手に考えさせられた。
もちろんジミに影響を受けたミュージシャンは無数存在するわけだが、
灰野敬二が不失者でエイト・ビートのパートをやっている姿もイメージできたし、
レック(FRICTION)のことも頭をよぎる。
確かに“ハード・ロック”のルーツであることは間違いない。
だがBLUE CHEERやMC5やSTOOGESやLED ZEPPELINやBLACK SABBATHとは違って、
RELAPSE Records周辺のバンドやストーナー系をはじめとする
90年代以降の“ヘヴィ・ロック・バンド”へのつながりがあまり見えてこないのも興味深い。
ハードなロックであってもリアル・ブラック・ミュージックは微妙に違う“人種”とも思わされる。


時期的に微妙だが、
MOTORHEADのレミーがローディだった時代の音源も入っているのかも・・・と想像するのも楽しい。


★ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『ウィンターランド』(ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル SICP 3282~6)5CD
縦長のハード・カヴァーのデジパックの真ん中に36ページのカラー・ブックレットが綴じ込まれ、
そこに書かれた英文ライナーの和訳と、
ディスク4のインタヴューの聞き取り和訳と、
スタジオ録音のオリジナル・アルバムの歌詞と和訳付。
ディスク5は紙ジャケットで封入されている。
★同『同』(同 SICP 3287)CD
★ジミ・ヘンドリックス『ヘンドリックス・イン・ザ・ウェスト』(同 SICP 3288)CD
共に、
元が英文と思しき長文ライナーの和訳を織り込んだ24ページのオール・カラーのブックレットと、
スタジオ録音のオリジナル・アルバムの歌詞と和訳などで構成したブックレットを封入。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/599-a58310a5

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (123)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん