なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SLIPKNOT『Iowa[10th Anniversary Edition]』

Iowa10th cover_DC


米国産“エクストリーム・ハイブリッド・メタル・バンド”が出身地をタイトルに冠した
セカンド・アルバム(2001年)の10周年記念版。
新アートワークでの3枚組である。

オリジナル日本盤で当時ぼくが書いたライナーも載せてもらっています。
最低限の情報は押さえているとはいえ気恥ずかしいほど取り乱した文章だが、
音をもらってひそかに聴いて興奮した様子は伝わってくる。
こういう永遠のマスターピースを浴びて理路整然とした文章には成り得ない。
久々に読んだが、今もここで書いた思いはまったく変わってない。
『Iowa』リリース直前に出演したサマーソニックにおける千葉マリン・スタジアムでの狂騒ぶりも
一生忘れない。

全英チャート1位で全米チャート3位。
日本でも当時オリコン総合チャート初登場4位になったことには腰を抜かした。
デス・メタルとブラック・メタルのエキスが血しぶきを上げるアルバムがそこまで上がったのは初めてだ。
その時の日本のオリコン・チャートのトップ10は以下のとおり。

1位:竹内まりや
2位:浜田省吾
3位:マライア・キャリー
4位:SLIPKNOT
5位:今井美樹
6位:Mr.Children
7位:ビョーク
8位:エルヴィス・プレスリー
9位:SMAP
10位:Mr.Children

今眺めてみても痛快極まりない並びではないか。


ディスク1には『Iowa』本編を収録。
共同プロデューサーは変わらずロス・ロビンソンだが、
99年のファースト・フル・アルバム『Slipknot』で感じられたKORN色を完全に突き抜けている。
メンバーも自認しているようにSLIPKNOT史上で最も暗く重く憎悪に満ちたアルバムだから、
必然的にぼくが一番好きなアルバムにもなる。
デス/ブラック・メタルの隠し味もさることながら、
当時の大胆不敵ぶりが表れた15分強の本編ラストのアルバム・タイトル曲は“畸形ドゥーム・メタル”だ。
最後の最後には「My Plague」の“ニュー・アビューズ・ミックス”が追加されている。


ディスク2は2002年2月15日のロンドンでのライヴDVD『Disasterpieces』からセレクトした
78分のCD。
演奏以外のシーンも収められていた『Disasterpieces』の曲の部分はほとんど入っており、
DVDとCDの音の特性の違いも相まってギッチリ凝縮した仕上がりである。
『Iowa』のツアーだから悪かろうはずはない。
想像を絶する熱量の音の軋みにたじろぐばかりだ。


そして約75分収録のDVDは大きく分けて2部構成になっている。
まずはSLOPKNOTを95年に始めたメンバーの一人であるショーン(per)が監督し、
『Goat』というタイトルが打たれたドキュメンタリー。
『Iowa』制作当時のバンド内の状況や気持ちをメンバーたちが語る最新インタヴューと、
未発表ライヴ映像の断片などで構成されている。
ファーストで商業的に大成功したことでバンドを取り巻く状況が大変化して混沌とした当時の話に加え、
ライヴ映像に歪んだ音が多いのも意識的と思われるだけに興味深い。
そのドキュメンタリーのラストが
「Iowa」のミュージック・ヴィデオと呼ぶべきヤギの死骸の頭にハエがたかっていく長回しの映像なのも、
アルバム『Iowa』を象徴する作りだ。
さらにミュージック・ヴィデオとして「Left Behind」「My Plague」、
前述のライヴDVD『Disasterpieces』から「People = Shit」「The Heretic Anthem」を抜粋して収めている。


★スリップノット『アイオワ~10thアニバーサリー・エディション~』(ワーナー・ミュージック・ジャパン WPZR-30403/5)2CD+DVD
本編の歌詞も掲載の20ページの新装ブックレットに加えて、
日本盤は本編の歌詞の和訳とディスク2の曲のスタジオ録音盤の歌詞/和訳が付き、
DVDはインタヴュー部分の日本語字幕も出せる。
オリジナル盤の流れをくみつつ本体からバーコードを外した新デザインも特筆したい4面デジパック仕様。


スポンサーサイト

コメント

『IOWA』も10周年エディション出すんですね。個人的にとても思い入れがある作品なので舞台裏がDVDで暴かれることに期待したいです。

ところで前々から気になっていたのですが、行川さんから見て『Vol.3』以降の彼等はどう写っているのでしょうか。これを機にお尋ねしたくてコメントした次第です。

eristさん、書き込みありがとうございます。
ぼくもすごく思い入れが強いアルバムで、当時2枚組みLPでも買いました。今回のDVDはわかりやすい王道の作りから外れているからこそ、当時の混沌の雰囲気がよく表れています。書きましたが、本編ラストの長い曲「Iowa」の一種の“ミュージック・ビデオ”も、実験的な映画みたいにエクストリームに簡素な作りだからこそ強烈です。
『Vol.3』は「ウ~ン」・・・・って感じでしたね。今回のDVDでも言及されていますが、9人もメンバーがいることで混乱し、ものすごく大ざっぱに言うと、どうにかシンプルにまとめたかなという印象で。ただその後に見たライヴが強烈で根本は変わってないんだなと。吹っ切れたのか4作目は全体的にさらにメロディアスですが、そういう曲だからこそ伝わる軋みみたいなものを感じ取れて好きです。もちろんメロディアスだからNGということはないので。これを機会にサードも久々に聞いてみますね。

あれだけ『IOWA』を絶賛していた行川さんが、三枚目はともかく四作目を肯定的に受け止めていらしたのは正直いい意味で予想外でした。
それから返答を読んで、しっくりこない作品を出されてもそれだけで判断してはいけない、もっとバンドの本質を見ようとしなくてはいけないと思いました。

ぶしつけな質問に丁寧に答えていただいだ上に大事なことに気付かせてくれて本当にありがとうございます!
これからも行川さんの文を楽しみに読ませていただこうと思います。

eristさん、書き込みありがとうございます。
ぼくにとって『IOWA』は歴史的なアルバムなので、その次ということでサードは色々な意味で落差を感じたのかもしれません。ルー・リード+メタリカのアルバムのところで書きましたが、一回目でしっくりこなくて時間おいてまたトライしてみると別の聞こえ方がするかと思います。激しくて速くて重いもの中心に求めていた十代~二十代頭の頃だったらは、ハードでヘヴィなアルバムの次にメロディアスなアルバムだったらガックリしたと思います。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/600-3b6b1250

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん