なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『タンタンの冒険 ★ユニコーン号の秘密★』

メインカット小


『ジョーズ』(75年)をはじめとして説明不要のスティーヴン・スピルバーグが監督/プロデューサーで、
『ロード・オブ・リング』で知られるピーター・ジャクソンが共同プロデュースを行なった、
2011年のアメリカ映画。

大メジャー映画ならではのビッグ・スケールに圧倒されるだけでなく、
従来の映画からすると革命的とも言えるほど三次元どころか四次元の感覚に襲われた。
二人が初めてフルデジタル3D映画に取り組んで
まさに映画でしかできない未知なるワンダーランドへと誘い、
時間軸を動かし日常から解き放つのである。

どのシーンでもその場に居合わせてしまったかのような臨場感に息を呑み、
恐るべき立体感に度肝を抜いた。
自分の背中の方から何かが出てくるかのようだし、
油断もすきもあったもんじゃない映像から目を離せない。
見終わったあとに肉体ごと別世界に連れ去られたみたいになってなかなか席を立てなかった。
こんな体験初めてだ。

サブカット2

物語は、
ベルギーのアーティストであるエルジェの原作で1929年に連載がスタートした
コミックの『タンタンの冒険』の一部が元になっている。
露天でたまたまユニコーン号という船の模型を買ったことから、
記者タンタンはカオティックな“ドラマ”に引きずり込まれる。
その船の模型には莫大な財宝に関する情報が隠されているためにタンタンは拉致され、
気がついたときにはカラブジャン号という船の中にいた。
なんとか監禁状態から脱したタンタンはアル中の船長と出会いなぜか意気投合。
ここまでが前半で、
中盤以降は財宝狙いの男たちとのスリリングな戦いが繰り広げられる。
まさに冒険だ。

ストーリーは単純明快で終わらず謎解き要素もたっぷり入っている。
海あり砂漠あり空中あり、
労働者階級から国王クラスまでも飲み込み、
手漕ぎボートや飛行機やバイクで国を股にかけたスピード感に貫かれている。
映画も何はともあれテンポとリズムが大切だとあらためて思わされるのだ。

巻き込まれてしまった困難に立ち向かうというメッセージも込められている。
山あり谷ありの展開は速い。
けど見ている最中に万が一細かい話の筋をつかみ損ねても
加速度に貫かれた映像力に持っていかれる。
レトロと近未来をミックスしたかのごとき鮮烈な色合いにとろける。
誤解を恐れずに言えばアシッドな映像感覚なのだ。
3Dを意識したと思われるカメラ・アングルも非常にアクティヴで、
地を這う虫の視点みたいな低位置からの映像も印象的。
それは乳母車に乗った乳児や車椅子に乗ったお年寄りの目の高さでもあったりするわけで、
この映画がいかに幅広い層の人をファックするかを象徴している。

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出演陣のキャラも立ちまくりだ。
少年の面影を残すタンタンもさることながら
片時もウィスキーのボトルを離さないアル中の船長がいい味を出している
(余談だがイベント“エクストリーム・ザ・ドージョー”主催の“スマッシュ・ウエスト総帥”に酷似)。
タンタンの相棒である犬のスノーウィも大活躍。
冷静に見れば残酷に移る場面もあるが、
終始コミック・タッチでポップにハジけている。

役者の表情などをコンピューターに取り込んでコンピューター・グラフィック化する、
“パフォーマンス・キャプチャー”と呼ばれる手法が使われていることも特筆したい。
アニメのような実写のようなとも言うべき登場人物の顔と輪郭がストレンジなのだ。
顔がデフォルメされていることもまた、
日常からトリップした映像と物語の特効性をスピードアップさせる。
そこにまたスピルバーグ作品でもお馴染みのジョン・ウィリアムズによる親しみすく重厚な音楽が、
映像と同様に彫りが深い格調で映画を盛り立てるのであった。


試写会とはいえぼくは初めて3Dメガネをかけてスクリーンで映画を見たが、
それもまた日常生活とは違う覚悟を決めて臨む意識が増幅されてオツなもんである。
ぼくが見た試写会は日本語の吹き替えによる上映で、
まったく違和感がないどころかアニメっぽい趣もある映像だからハマっているし吹き替えも達者。
字幕を追うことで精緻な映像を見逃すようなことはなくなるわけだから、
一家団らんで見るには日本語吹き替え版をオススメしたい。


★映画『タンタンの冒険 ★ユニコーン号の秘密★』
公開日:12月1日(木)より、TOHOシネマズ スカラ座ほか全国拡大ロードショー。
http://tintin-movie.jp/
(C)2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


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山崎智ちゃん、虎視眈眈と書き込むタイミングを狙い中。きっとそうだよ、ね!

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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