なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『歴史は女で作られる』

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ドイツ生まれでフランスに帰化してハリウッドでも活躍した
マックス・オフェルスの監督・脚本で1955年に完成させた映画。
だが8億フランをかけて当時斬新な横長のシネマスコープを活かして作り上げたにもかかわらず、
パリで初公開されたとき商業的に失敗し、
製作者が勝手にカットした形で再上映するも興行的に失敗する。
そんな中で1957年にオフェルスは他界。
今回は“デジタル・リマスター完全復元版”での日本初のロードショーだ。

主演女優マルティーヌ・キャロルのサディスティックな魔性の美貌と
音楽を担当したジョルジュ・オーリックの高貴な調べが相まって、
フランス文化のイメージどっぷりの豪華絢爛な映像にめまいがする。
映像と音楽と物語がトータルになったフランス映画ならではの“雅び”の味わいもたっぷり。
芳醇なアルコールの酔い心地であり、
年代モノの媚薬みたいな痺れ具合である。

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19世紀に実在した踊り子ローラ・モンテスが華麗なるクールな男性遍歴の物語とも言える。
作曲家、国王、学生など、
映画の中で“世界記録の恋人の数”と称されるほど、
無意識も意識的も含めてとにかく男を引きつける。
だが彼女の人生が映画に力を行使したか如く一筋縄ではいかない作りになっている。

すべてを吹っ切った後に身を投じたサーカスの場においてローラは、
空中ブランコで危険な技を見せつつ恥ずかしい質問責めも受ける。
“芸人”として人前に出たそんな“リアル・タイム”のローラと、
“再現フィルム”的な回顧ストーリーのローラとで映画が展開される。
最初のうちはぼくも面食らったが、
“現在”のローラと“過去”のローラが交わって見る者の心を惑わせる。
微妙に顔つきの違うローラと不変の凛然とした佇まいのローラ。
男たちを掻き乱したのもこういうことかと
見た後にぼくは溜め息をついた。
これもまた映画ならではの“魔力”である。

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生活環境の変化や外国人排斥運動によって結果的に、
パリ、英国スコットランド、ロシア、ドイツなどを股にかけたローラ。
でも爛熟のエロティシズムとすら言える映像で一貫しており、
『カサノバ』あたりのフェリーニの映画も思い出す。
いかがわしくも高貴な空気が鼻から入ってくる。
サーカスが舞台のシーンではローラとは関係なくあちこちで絶え間なく“芸”が行なわれ、
目を休める暇を与えない。
誰に何が起ころうが世の中はあちこちで勝手に動き続けていることを表しているかのようでもある。
19世紀を復刻したと思しき彫りの深い様々な事物のひとつひとつも琴線に触れる。
ディテールに情熱を注いだことでローラたちの心の機微もデリケイトに描かれているのだ。

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ローラはまさに“ファム・ファタル(femme fatale・・・宿命の女)”である。
ある種の男にとってはたまらない存在だが、
ファム・ファタルと言えばVELVET UNDERGROUND/ルー・リードの同名の名曲を思い出す。
となると男性遍歴の観点も含めて、
その曲をはじめとしてVELVET UNDERGROUNDのファーストで歌いまくってルーの逆鱗に触れた、
音楽家女優ニコを想起するのはぼくだけではないだろう。
でもローラはニコとは違って堕天使にはならない。
終始ストロングだ。

貴族のポジションから“見世物小屋”に自ら入り込んだようなローラは、
大衆に身をさらして希望者には肌も触れさせるようになる。
最後のシーンは
男たちの慰め者になったローラだろうか、
男たちに愛されているローラだろうか。

「夢を見ぬ女性に夢を見せるのです」
「スキャンダルが好きなわけじゃなく自分に忠実でいたいだけです」
そんなローラの言葉が耳から離れない。

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★映画『歴史は女で作られる』
1956年-2009年/フランス/110分/カラー/シネマスコープ/原題『Lola Monte’s』
デジタル・リマスター完全復元版
12月23日(金・祝)-1月13日(金)に3週間限定で
渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開。
http://www.eiganokuni.com/meisaku4-rekishi/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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