なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BRAIN F≠『Sleep Rough』

BRAIN.jpg


女性と男性がヴォーカルをとる米国南部ノース・カロライナの現在進行形パンク・ロック・バンド、
BRAIN F≠のファースト・アルバム。
以前の2枚の7”レコードに内包した殺気に
今回は歪んだポップ・テイストも2割増で加わって、
これまた非常に行儀が悪く身悶えするほど穏やかならざるブツである。

アルバム・タイトルは“野宿”“どこででも眠る”ことを意味する。
封入されたインナー・バッグ(紙のレコード袋)に書かれたコメントによれば、
ジャケットに写る家に住むことができなくなったメンバーのうち3人が
“家なし子”になっていたことがあるから付けたタイトルのようだ。
似て非なるhomelessではない。
だから途方に暮れながらも突っ走る。
ぬるい無頼なサウンドにピッタリのエピソードである。

「遂に追い出されちまったな・・・これからどうする?」ってな声が聞こえる
のどかなジャケット・センスがまず素ン晴らしい。
このアートワークからこのサウンドを誰が想像できようか。
↑の画像は不鮮明で申し訳ないが、
このレコードの音像もそんなふうに酩酊状態なんだからしょうがない。
けどアンダーグラウンドのパンク・ロックを聴いている人間にとっては
いわゆる“音が悪いレコード”じゃない。
ムカムカを通り越してムラムラしてくる。

芝居っけゼロの“好きにすれば?”ってな突き放しようの女性ヴォーカルがリードし、
男性ヴォーカルが喉の脚を絡めていくように走る。
いわゆるエロい音楽ではないが、
ふしだらなで淫らな文科系の連中の“朝までナマ乱交”みたいなプレイ。
サウンドそのものが素行不良にも程がある。

ハードコア・パンク直前のだるい疾走感はGERMSも思い出す。
よく聴けばロックンロールのフォーマットを踏まえているが、
ヘヴィにドライヴするフリークアウト・パンク・ロックから放射される天然ノイズもたまらない。

“fuck you”というより
“I don’t care”の風情である。
それはRAMONESをはじめとしてパンク・ロックが生まれたときからの肝だ。
ワルに見えても実はイイ人な育ちがいい“優等生パンクス”を冷ややかに見ているような響き。
ニヒリスティックな空気感に窒息する。
胸騒ぎが止まらない。


★BRAIN F≠『Sleep Rough』(GRAVE MISTAKE/SORRY STATE GRAVE049/SSR-38)LP+DLクーポン
レコード盤のレーベル面には“33 1/3 rev/minute”ではなく
A面に“2366694.47 rev/yr.”[1年間に2366694.47回のrevolution]
B面に“473353888.5 rev/score”
と書かれているのも人を喰っていて意味深である。

PS
リリースしたレーベルのサイトのバンド名の表記にならって、
新たにリンクした前の7"レコードの日のブログも含めて
BRAIN F#→BRAIN F≠に修正しました。
2011年11月29日11時
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コメント

あ~、何か凄く聞いてみたくなりましたよ( ̄◇ ̄;)
あ!はじめまして。
いつも参考にしてます。
このブログにて桑田佳祐を聞き直したり、本当にイイと思うものをイイッて言う姿勢には襟を正さなきゃって思わせられます。

聴きたくてしょうがないです...。
早く体感したいですね、その空気に♪♪

書き込みありがとうございます。
>加藤ペンギンさん
どうしても“特定の集団”単位で聴いてしまいがちですから、あえてバラバラなセレクションでブログやっています。埋もれがちな人を積極的にピックアップしたい気持ちは変わりませんが、最近ますます表面的なスタイルではなく、桑田佳祐のCDのところで書きましたが底意地に耳を傾けるようになりました。
>ITOさん
異様な空気の音楽を聞いていると異様な言葉が湧いてくる感じです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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